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高額療養費と医療保険
掲載日:2013年12月20日
「高額療養費制度」をご存知ですか?
病院等の窓口で支払う医療費の自己負担額が1ヵ月(同一月の初日~月末を1つの計算単位とする)に一定の金額(自己負担限度額)を超えた場合に、超えた部分が健康保険または国民健康保険(以下健保等とする)から払い戻される制度です。
高額療養費の概要
自己負担限度額は所得によって異なります(表1、表2参照)。計算例として、70歳未満の一般の場合で医療費が100万円の場合、自己負担額が30万円になるので、限度額が87,430円になり、212,570円が払い戻されます。
尚、差額ベッド代、先進医療の技術料、歯科治療の特別料金等、保険の適用を受けないものや、入院時の食事療法、生活療法は対象外です。
高額療養費の負担軽減措置として、自己負担額は世帯単位で合算する事が可能です。その場合、70歳未満の方は、1人ひと月21,000円以上のものが、70歳以上の方は全ての自己負担分が対象になります。
合算する場合は、医療機関単位で計算します。また同一医療機関であっても、診療科ごとに、また入院と外来は別に分けて計算します。但し、調剤薬局で調剤を受けた場合は、処方箋を発行した医療機関の中に含める事ができます。
※自己負担限度額の表は、平成25年9月現在のものです。
表1:自己負担限度額(70歳未満・平成18年4月~)
上位所得者(標準報酬月額53万円以上) | 150,000円+(医療費-500,000円)×1% |
---|---|
一般 | 80,100円+(医療費-267,000円)×1% |
低所得者(住民税非課税) | 35,400円 |
表2:自己負担限度額(70歳以上75歳未満・平成18年4月~)
通院の一部負担 (個人ごと) |
世帯全員の一部負担(入院含む) | |
---|---|---|
現役並み所得者 (標準報酬月額28万円以上等) |
44,400円 | 80,100円+(医療費-267,000円)×1% |
一般 | 12,000円 | 44,400円 |
低所得者Ⅱ(住民税非課税) | 8,000円 | 24,600円 |
低所得者Ⅰ(住民税非課税) | 15,000円 |
医療保険は不要?
高額療養費制度があれば、医療保険の加入が不要では?という意見があります。
しかし、適用されるのは保険適用の治療だけであり、また療養費のみが高額療養費の対象なので、療養費以外にかかる交通費等の経費や、療養期間中、就労できない場合は収入が減る事への対策が必要です。
また、診療報酬明細書を審査するため、払戻までに3ヵ月以上かかる事があります(高額療養費貸付制度があらかじめ予想される場合には、事前手続きをする事で医療機関等に直接支給される現物支給の制度があります)。
そのため、これらに備えた対策が必要になります。そういう意味において、医療保険は重要な役割を担えるといえます。
まとめ
重い病気等で長期に入院や療養する場合、療養費以外の経済的負担が意外に重いものになります。医療保険は療養費の自己負担額を軽減するだけでなく、むしろ療養費以外の経済的負担を少しでも軽減するためにあるともいえます。医療保険以外には、病気・ケガ等による就労不能にともなう収入減を補う「所得補償保険」もあります。
コラム執筆者プロフィール

松山 智彦(マツヤマ トモヒコ) (マイアドバイザー.jp®登録)
CFP®、講師業、ITコンサルタント、俳優。
1964年 大阪生まれ。証券会社・生損保のSEとして、また証券ネット取引システム立上げに参画。2003年にファイナンシャルプランナーとして独立、各種資格・セミナー講師等で活躍。また俳優ドナルド松山として、舞台、ドラマ、映画等に出演。
- 監修者 山本 俊成
- ※この記載内容は、当社とは直接関係のない独立したファイナンシャルプランナーの見解です。
- ※掲載されている情報は、最新の商品・法律・税制等とは異なる場合がありますのでご注意ください。
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