失業から再就職へ、無料の職業訓練制度を徹底的に利用してみませんか?

職業訓練制度であるハロートレーニングのなかで、離職者訓練(公共職業訓練)・求職者支援訓練とは、「失業中だけれどまた就職したい」という方に必要なスキルアップを支援する訓練です。国の制度で、原則的に受講は無料です。正社員になりたい方、職歴が浅い方をはじめ、就職を目指す方は制度をとことん利用して、安定した雇用を手に入れましょう。
今回は失業中の方向けに、職業訓練制度の概要や訓練を利用した事例などをお伝えします。
失業中の方向けの職業訓練制度は2つある―離職者訓練と求職者支援訓練―
離職者訓練と求職者支援訓練は、どちらも就職に必要なスキルや知識を得るための無料(テキスト代など一部は自己負担)の職業訓練です。
離職者訓練は、雇用保険の失業給付を受けることができる方が主な対象です。求職者支援訓練は失業給付を受けられない方が主な対象となります。
内容にも違いがあり、離職者訓練は、ものづくり系の訓練が充実しています。一方で求職者支援訓練は、ビジネスの基本コースなどをはじめとして幅広い訓練がそろっているといえるでしょう。
学びに専念できるよう、離職者訓練であれば訓練受講中も失業給付を受けられ、求職者支援訓練でも、一定の条件に合えば月に10万円の給付金を受け取れます。どちらの訓練でも、出費がかさみがちな交通費も一定額までは支給されるため、お金のことを心配せずに就職に必要なスキルアップがしやすいわけです。
表1 離職者訓練と求職者支援訓練の違い
※スクロールで表がスライドします。
離職者訓練 | 求職者支援訓練 | |
---|---|---|
対象者 | 雇用保険の失業給付を受けられる方 | 雇用保険の失業給付を受けられない方 |
訓練や コースの 種類 |
■施設内訓練 ■委託訓練 |
■基礎コース ■実践コース |
訓練期間 | 2カ月から2年 | 2カ月から6カ月 |
費用 | 無料(ただしテキスト代自己負担) |
※「施設内訓練」は国または地方自治体が主体となって実施する訓練で、「委託訓練」は民間の訓練機関に委託して実施する訓練です。
※都道府県や時期により実施訓練が異なる場合があります。訓練を詳しく知りたい方は、ハローワークのWebサイトを参照してください。
※一部の1年以上の科目などでは有料となる場合があります。
資料:東京労働局「公共職業訓練の種類」[1]、厚生労働省「求職者支援制度について」[2]をもとに執筆者作成
受講するには「試験に合格」
訓練を受講するには、訓練機関で行われる面接や筆記試験に合格し、受講のあっせんを受ける必要があります。面接や試験は苦手という方も、就職への第1歩としてぜひチャレンジしてみましょう。
訓練を受講したらスムーズに就職できる?
訓練の最終目標は就職です。訓練を修了した方はスムーズに就職できるのか、気になりますね。筆者がハローワークで職業相談員をしていたときの事例をご紹介します。
表2 訓練修了者の就職事例
<事例1 専門技術を習得したことで就業先とのマッチングに成功したケース> 30代後半の女性のケースです。出産後に職場復帰をしましたが、育児と仕事の両立が難しく退職。その後はアルバイトのみでしたが「専門技術を習得したい」「長く勤務できる職種が良い」という条件から医療事務の訓練を受講し、クリニックに就職されました。 |
<事例2 訓練を終えて改めて適職に気付いたケース> 50代後半の男性のケースです。「介護職に従事したい」と介護福祉訓練を受講し、無事修了されましたが、再就職は前と変わらぬ職種でした。訓練をとおして、ご自身には負担が大きいことを知り、これまでの就業経験を生かせる職場を選んだためです。 |
資料:執筆者作成
訓練を生かして就職された方も、そうでなかった方も、さまざまです。就職にはスキルアップが大切ですが、学び直し(リカレント教育)を経験することも重要です。そこで得たものが糧となり、スムーズな就職につながることは間違いないでしょう。
さまざまな保険を活用しましょう!
今回お伝えした訓練制度は雇用保険の一環です。つまり、公的な保険を利用することになります。失業という予期せぬ出来事が起きた、そんなときこそ保険を徹底的に利用してください。
就職先が決まれば、自分では対処しきれない大きな問題に備えて、民間の保険も考えてほしいと思います。
例えば自動車通勤をする方なら、通勤途中の事故があります。「労災で補償してもらえるから大丈夫」と思っていても、労災(通勤災害)の認定を受けるには一定の条件がある他、誰かにケガをさせてしまった場合の補償はありません。自動車通勤をする方には、自動車保険の検討が必須といえるでしょう。
また、病気やケガで長期間働けなくなるリスクもあります。その際に就業不能保険があれば、生活の助けになるはずです。
公的な保険、民間の保険の両方をうまく利用できるよう、積極的に考えてみましょう。
出典 |
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執筆者プロフィール

馬渡 初代マワタリ ハツヨ
1級ファイナンシャル・プランニング技能士、AFP
短大卒業後、外資系メーカーに就職。専業主婦を経て行政相談員として社会復帰するが、父の介護のため離職。無職中にお金の悩みを解消すべくFP資格を取得し、現在は笑いが絶えない終活セミナー、「数字が苦手な人の家計改善」ワークショップを中心に活動。生活密着型FP。
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- ※ この記載内容は、当社とは直接関係のない独立したファイナンシャルプランナーの見解です。
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- ※ 掲載日は2021年7月8日です。
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