法人向け保険の変遷から考える、原点回帰の保険選び!

バブル崩壊から30年。生命保険は、規制緩和により保険会社の統合・新規参入などがあったり、保険の加入経路が拡大したり、さらには幾度もの税制改正もありました。
法人保険選びでは、税制面だけではなく保険の本来の目的・役割も考える必要があります。今回は法人保険の選び方について、これまでの税制の変遷を踏まえながら解説していきます。
法人保険の今
会社経営者には、生命保険を活用した資産形成という手段があります。
保険商品は、金融庁に申請して認可されれば販売可能となるので、ある商品が人気を博すと他社が類似した新商品を投入して、販売が過熱することがあります。
法人の税負担減に役立つとされた「節税保険」商品についても、商品販売の過熱とそれを規制する国との、いたちごっこが続いてきました。
そもそも生命保険加入の目的は、経営者に万一のことがあった場合に相続・事業承継を円滑に進めることや、役員・従業員の退職金を準備すること、従業員の福利厚生などであるはずです。規制が強化されつつある昨今、節税目的ではなく、本来の保険の目的に立ち返る時期に来たといえるのではないでしょうか。
表 法人保険税務規定の変遷
※スクロールで表がスライドします。
時期 | 規定・改正内容 |
---|---|
1980年 | 法人保険の取扱規定 |
1984年 | 特約保険料の取扱規定 |
1987年 | 長期平準定期保険の取扱規定 |
1990年 | 個人年金保険の取扱規定 |
1996年 | 逓増定期保険の取扱規定 |
2001年 | 終身がん保険・終身医療保険の取扱規定 |
2002年 | 払済保険変更の取扱規定 |
2006年 | 終身傷害保険の取扱規定 |
2008年 | 逓増定期保険の取扱改正 |
2012年 | 終身がん保険の取扱改正 |
2019年 | 定期保険等の取扱改正 |
2021年 | 法人から個人への名義変更についての改正 |
資料:国税庁ホームページ[1]をもとに執筆者作成
原点回帰の保険選び!
本来の生命保険選びでは、何がポイントになるのかを考えてみましょう。
まずは近年投入されている商品を見てみます。法人保険として加入することで、被保険者である経営者や役員、従業員が保障を受けられます。
図1 近年投入されている法人保険商品
- (1)収入保障保険
- 経営者に万一のことがあった際に法人の収入を保障する保険
- (2)治療費用一時金給付型保険
- 病気やケガなどでまとまったお金が必要なときに役立つ保険
- (3)健康体割引型の死亡保険など
- タバコを吸わないなど健康な方の保険料がお手頃になる保険
資料:執筆者作成
生命保険は法人にとって「保障」のメリットがある他、貯蓄性のある商品であれば「貯蓄」のメリットなども享受できるアイテムの1つです。
しかし保険の入口(加入時)では、顧客である法人は、商品の価値や効用を実感することはできません。その出口(保険金や給付金、解約返戻金の受け取りなど)までしっかりとサポートされて、初めてそれらを感じることができると思います。
そんなサポートができる担当者と巡り合った経営者は、今後の税制改正にも適切に対応していけるでしょう。この基本はこれまでもこれからも、変わらないと思います。
さらには、利益を確保し、配当として顧客に還元できるかどうかも、保険会社選びの基準にできます。これからの保険会社選びのポイントをまとめます。
図2 これからの保険会社選びのポイント

※1 三利源とは、「死差(危険差)」「利差」「費差」のことで、保険会社の3つの利益源を表します。
※2 無配当の保険に加入した場合、保険会社の利益にかかわらず配当はありません。
資料:執筆者作成
総じていえば「顧客に対して努力をし続ける保険会社」を選ぶことが重要ではないでしょうか。保険の本質を把握して原点回帰すること、頼れる保険会社から商品を選ぶこと、法人にはこれらを押さえておいてほしいと思います。
出典 |
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執筆者プロフィール

勝田 謙一カツタ ケンイチ
AFP、防災士
大学卒業後、大手生命保険会社、外資系保険会社を経て、2014年に勝田FP事務所を開業。自然災害被災者への情報提供の必要性から、SNSグループを開設。現在、自助・共助・公助を生かしたコロナショックからの生活再建相談、執筆活動、オンラインセミナーなどを展開。
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- ※ この記載内容は、当社とは直接関係のない独立したファイナンシャルプランナーの見解です。
- ※ 掲載されている情報は、最新の商品・法律・税制等とは異なる場合がありますのでご注意ください。
- ※ 掲載日は2021年8月12日です。
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