ネット保険の仕組み <生命保険編>

はじめに
前回までは、ネット保険のがん保険・医療保険それぞれの「仕組み」と「ベースになる保障」についてみてきました。
今回取り上げる、生命保険の「ベースとなる保障」は、家族への保障となる「死亡・高度障害等の保険金」になり、がん保険や医療保険に比べて「ベースになる保障」は明確だと思います。そこで、生命保険については、「仕組み」を中心にみていきます。
それでは、ネット専業の保険会社と、ネット申し込みができる保険会社の商品を参考に、「定期保険」に絞って、各社の商品を比較検討しながらみていきます。
設定できる保険金額は
定期保険は、一定期間の万一(死亡や高度障害)の場合に備える保険になります。
特約を付加しない基本の死亡保険金額を比較しますと、死亡・高度障害の保険金額の下限の設定は500万円でした。上限金額は、最大1億円まで設定できる保険会社から、3,000万円が上限の保険会社まで様々でした。
各社とも、上限金額まで100万円単位で保険金額を設定できる仕組みになっています。ただし、年齢によって設定できる上限金額は、保険会社それぞれで異なります。
特約や申し込み条件によって、保険金額の上限を引き上げることができる保険会社もあります(災害などでの死亡時に保険金額が割り増しになる特約を付加できたり、過去2年以内に健康診断・人間ドックを受診された方は、割り増しの保険金額で契約できたりする場合など)。
保険期間に注目
次に、設定できる保険期間についてみていきます。
生命保険の加入を検討されている方は、それぞれ将来のライフイベント(結婚・子育て・老後など)の時期や期間が異なります。それに合わせて、必要な保険期間や保障金額もそれぞれ異なってきます。
下記の表は、各社の定期保険が設定できる保険期間の一覧表になります。
「年満了」とは、設定した期間(10年・20年など)が保険対象期間になり、更新時の健康状態にかかわらず、契約時と同じ保険期間および保険内容で、保険会社が定めた最長年齢まで自動更新できるのが一般的です。保険料は、更新時の年齢で計算されます。
「歳満了」とは、設定した年齢(保険期間満了)まで保険料が変わりませんが、「年満了」のように、更新や再加入の仕組みがない場合があるので、注意が必要です。
保険期間の各社比較
保険期間 | A社 | B社 | C社 | |
---|---|---|---|---|
年満了 | 10年 | ○ | ○ | ○ |
15年 | - | - | ○ | |
20年 | - | ○ | ○ | |
25年 | - | - | ○ | |
30年 | - | ○ | ○ | |
歳満了 | 55歳 | ○ | - | - |
60歳 | ○ | - | ○ | |
65歳 | ○ | ○ | ○ | |
70歳 | ○ | - | ○ | |
75歳 | - | - | ○ | |
80歳 | - | ○ | ○ |
資料:各社ホームページを参考に執筆者作成
上記表をみますと、設定できる保険期間が保険会社ごとにバラつきがあることがわかります。「年満了」では、10年~30年の期間を5年刻みで用意している会社や、期間設定が10年のみの会社等、各社異なります。「歳満了」についても、70歳までの会社、80歳までの会社等、設定にそれぞれ特色があります。80歳に設定している場合でも、「年満了」のみ対応している会社と、「年満了」「歳満了」ともに対応している会社があります。
また、各社とも契約年齢によっては、選択できない保険期間が「年満了」「歳満了」ともにありますので、加入を検討する時には、各社のホームページで確認を行うようにしましょう。
次は、保険料を見積ってみます。
保険料の見積りは、今回参考にした保険会社各社のホームページ上で簡単にできました。以下、30歳男性の平均余命50.69年(約81歳)をベースに、A社の終身保険とC社の定期保険「80歳満了」の月額保険料の見積りをしてみました。
<条件:30歳男性 保険金額 1,000万円>
- A社の終身保険:月額保険料 約12,500円
- C社の定期保険:月額保険料 約3,500円
という見積り金額でした。
解約返戻金がある終身保険と解約返戻金のない定期保険を、月額保険料によって単純に比較はできませんが、保険選択の1つの目安になるかと思います。また、定期保険を選択する場合は、平均余命を考えて、保険期間終了後の生活に必要な資金等を預貯金で用意しておくことも考えておきましょう。
まとめ
生命保険を選ぶ場合、月々の保険料を比較して、安い保険料の商品を選択する方が多いかと思います。また、保険会社のCMでも保険料の安さをアピールしています。
しかし、定期保険を選択する場合には、必要な保障期間を考えた上でリーズナブルな保険料はどれかという観点が必要です。そのため、今回のコラムでは、各保険商品の保険期間の違いに焦点を当てました。
まずは、お子さまが小学校、中学校、高校や大学に進学される時期を表形式で見ることができる「ライフイベント表」を作成する等、必要な保障期間を知ることから生命保険選びをスタートさせてみてはいかがでしょうか。

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コラム執筆者プロフィール
恩田 雅之 (オンダ マサユキ) マイアドバイザー.jp®登録 - 1959年東京生まれ。
2004年3月にCFP®資格を取得。
同年6月、札幌にて「オンダFP事務所」を開業。
資産運用をテーマとした個人向けのセミナー講師や3級、2級FP資格取得の講師やライフプラン、金融保険関連のコラムやブログの執筆など中心に活動中。

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コラム監修者プロフィール
山本 俊成 (ヤマモト トシナリ) マイアドバイザー.jp®登録 - ファイナンシャルプランナー。
大学卒業後、株式会社三和銀行(現三菱UFJ銀行)入社。
2003年、外資系生命保険会社入社。
2005年、総合保険代理店株式会社ウィッシュ入社。
2010年、株式会社ファイナンシャル・マネジメント設立。
銀行と保険会社に勤めていた経験を活かし実務的なコンサルティングを行う。
ファイナンシャルプランナー 恩田 雅之
※この記載内容は、当社とは直接関係のない独立したファイナンシャルプランナーの見解です。
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