遺族年金の失権と婚姻の関係
遺族年金を受け取っている人が、その後再婚を考えることもあります。再婚と遺族年金についても質問をよく受けますが、年金事務所には質問しにくい内容かもしれません。
遺族年金には、どんなときに失権する(権利を失う)のかという決まりがあり、その一つに「婚姻したとき」があります。婚姻とは、法律婚だけではなく、事実婚も含みます。
事実婚とは、戸籍上の届けは出さないけれど、事実上は夫婦になったということです。
夫婦としての実態があれば、戸籍には関わらず、遺族年金の権利を失います。事実婚の届け出をすると、自治体によって違いはありますが、住民票に「未届の妻」「未届の夫」等と記載されます。
通常は住民票で事実を確認しますが、たとえ住民票を別にしていても、同じ住所に住民票があり、同居しているという実態があれば失権することもあります。
遺族年金を失いたくないために、友達以上にはならないという人もおり、お金の影響は強いものですね。再婚を考えるときは、遺族年金を失うことになると理解してください。
その後、別れてしまっても、遺族年金は復活しません。
また、遺族年金を受給中の人が、様々な理由で、復籍を希望されることがあります。復籍とは結婚前の戸籍に戻るということです。しかし、復籍で遺族年金の権利はなくなりませんので、ご安心ください。
遺族厚生年金は再婚等の失権理由に該当しなければ、一生受け取れる年金です(遺族基礎年金は子どもが年齢条件等に該当しなくなると失権します)。
一生受け取れるお金を途中で手放すには、それなりの決断が必要かもしれませんが、これからの人生を考えてみてください。手放して後悔することがあるかもしれませんし、それ以上の幸せをつかめるかもしれません。
年金は人生に深く関わっています。いろいろな場面でいろいろな選択があるでしょうが、「終わりよければすべてよし」とは年金にも言えるのではないでしょうか。
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