4月10日を「交通事故死ゼロを目指す日」として、4月6日から15日までの10日間は「春の全国交通安全運動」が実施されます。
春の全国交通安全運動は、「自転車の安全利用の推進」「後部座席を含めた全ての座席のシートベルトとチャイルドシートの正しい着用の徹底」「飲酒運転の根絶」の三つを重点としています。
三つの重点項目は基本的なことのようですが、安全には欠かせないものです。
春の全国交通安全運動を好機に、くるまの事故にかかわる基本的な補償を見直してみましょう。
なかでも、他人にケガや死亡させた場合に備える保険を確認します。
くるまの事故によって他人を死傷させた場合に支払われる保険には「自賠責保険(自動車損害賠償責任保険)」と「対人賠償保険」の2種類があります。
「自賠責保険」は法律で加入が義務付けられており、未加入のまま走行した場合には、たとえ事故を起こさなくても、法律によって罰せられ、懲役または罰金が科せられます。
一方、「対人賠償保険」は民間の保険会社が提供する保険で、任意で加入します。
自賠責保険の加入が義務付けられているのに、民間の保険まで加入する必要はあるのでしょうか。
そこで「自賠責保険」と「対人賠償保険」の違いとして2つのポイントがあります。
1つめのポイントは保険金額です。
自賠責保険では、被害者1人あたりの金額が、ケガによる損害は120万円、後遺障害による損害は4,000万円、死亡した場合は3,000万円の支払限度額があります。
一方、対人賠償保険では、一定の上限額を定めることもできますが、保険金額は無制限にすることをおすすめします。
理由として、交通事故による損害賠償金額は高額になる場合があり、過去には5億円を超える判決もありますので、自賠責保険だけでは補償が不足してしまうためです。
2つめのポイントは補償の範囲です。
自賠責保険では、運転者・運行供用者以外であれば補償の対象になります。
一方、対人賠償保険では、被保険者の父母や、配偶者、子は補償の対象外になっています。
また、被保険者の業務をしているその使用人や、被保険者の使用者の業務をしている他の使用人も対象外です。
例えば慌てて自宅を飛び出したときに妻をひいてしまっても、対人賠償保険では補償されません。
このように自賠責保険や対人賠償保険のどちらか一方では補えない部分があり、損害額が大きくなる可能性があるため、両方の保険への加入が必要といえます。
なお、自賠責保険と対人賠償保険は、一般的に保険では免責とされる飲酒運転や無免許運転など違法行為による事故であっても、被害者救済の観点から保険金は支払われます。
この場合でも被害者が相手の保険会社に保険金を請求することができます。
「自賠責保険」と「対人賠償保険」。
似た保険のようですが、支払われる金額や対象が違うため、どちらも加入することをおすすめします。
もう一度、交通ルールと自動車保険を基本から確認し、これからも安全・安心な自動車ライフを送ってください。
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執筆者プロフィール
松原 季恵(まつばら きえ)
CFP®
銀行、損害保険会社での勤務経験から、多くのお客様の相談に乗ってきました。
ファイナンシャルプランナーとして独立した際は、ライフプランを軸に「お金で楽しい毎日を」を心がけて情報発信しています。
※この記事は、「金融・保険メールマガジン【保険道場】」で、2016年4月8日に配信されたものです。
※この記載内容は、当社とは直接関係のない独立したファイナンシャルプランナーの見解です。