衣食住の充実が幸福をもたらす-衣食住の充実が幸福をもたらす~その2 ロジカルクッキング(勝間 和代さんコラム-第2回)

勝間 和代 (かつま かずよ)

こんにちは、勝間和代です。前回は衣食住の充実がなぜ生活に必要なのか、経済学は幸福度を追究する学問という観点からお話しをしてきましたが、「衣」については

  • 自分の美点を生かし、欠点を特徴に変える
  • 全体を3色以内に抑える
  • 白を基調にする

などのロジックを習得することが必要という話をしてきました。今回は、料理編です。

勝間 和代 (かつま かずよ)さんの料理

実は、私が衣食住の中で、一番好きで、時間をかけているのは

「食」

なんです。

いまではおかげさまで、クッキング教室をたまに開いたり、クッキングの本を出版したり、テレビ番組では短時間で複数の品をおいしく作る方法、などを紹介するようになりました。

とにかく、目指すところは

「外食よりも、早くて、安くて、おいしくて、体にいいこと」

です。なぜなら、そうでないと、自炊する意味がないからです。また、いろいろな長寿の調査がありますが、こちらでもはっきりわかっているのは

「食生活が寿命を決める大きなファクターである」

ということです。

もちろん、私も普通には料理をしていましたが、ずっと、いわゆる家庭料理の域を出ませんでした。それがずっと悲しくて、40代のはじめ、一念発起して

「調理科学に関する本」

を買いまくったのです。普通のレシピ本や、家庭向けの本ではなく、調理学校や、調理師になりたい方や、プロ志望向けの本です。

そこでわかったことは

「ああ、個別のレシピをまねしても、それは英会話集の会話をコツコツ覚えるようなもので、効率が悪いんだ。それよりは、文法とボキャブラリーを覚えて、英会話集がなくても英語が自由に話せるように、レシピがなくても、自由に作りたいものを作れるようにならないといけないのだ」

という気づきでした。

そう、調理について、ほとんどの人は「調理ネイティブ」でないから、レシピという会話集がいるのです。

しかし、以下のような簡単な文法を覚えるだけで、実は、料理にレシピはほとんど要らないのです。

その1 塩分量のコントロール

その2 熱変性のコントロール

その3 風味、匂い、色のコントロール

まず、その1からやっていきましょう。こちらはなんと、黄金比率があって

「料理の総分量の0.6%~0.8%の塩分であれば、だいたいの人はだいたいおいしいと思う」

ということなのです。味噌汁やスープのような、口に直接大量に入れるものは0.6%くらい、サラダだったら0.7%くらい、ご飯のおかずなら、0.8%くらいが適切です。

すなわち、煮物も、焼きものも、すべて、煮汁などを入れた総分量に対して、0.7%前後の塩分を計算することができれば、塩、しょうゆ、味噌などの記憶は一切不要になります。味見もいりません。

例えば、大根と椎茸と鶏肉と煮汁が合わせて1,000gだったら、その0.7%ですから、7g相当の塩分を入れればいいわけです。そうすると、水分が少し飛んだときに、ちょうど味がよくなります。塩でしたら、そのまま7gですし、これをしょうゆにするのなら約42g(塩の6倍を目安)、味噌にするのなら、約56g(塩の8倍を目安)を入れればよくなります。

さらに、これを塩と味噌としょうゆ、あるいは塩こうじなどを自由自在に組み合わせることが可能です。

しかも、あとでお話ししますが、適切な熱変性を行うと、具材から十分な甘みが出るので、わざわざ砂糖やみりんなどの糖分を足す必要はほとんどありません。

これらを管理するのには、スケールと大さじ・小さじなどが必須になります。三つ星のお寿司屋さんですら、ちゃんとすべて計って調理をしていますから、ましてや、素人の私たちが計量せずに料理をするのは無謀なのです。

次、その2ですが、これも

「食材ごとに、何度で何分通すとどのくらいおいしくなるのかを覚えておく」

ということが必要です。

例えば、肉類は68度を超えると急に固くなるため、できれば63度くらいで温め続けます。ただ、そうすると、芯が温まるのが3~4時間後になるため、その分を見越すのか、あるいは、わりきって70度で1時間とかにするのか、などを選びます。

あるいは、焼くときにでも、表面は確かに100度とかになりますが、芯の部分をちゃんと70度くらいまでに抑えるような管理をするのです。そういう意味では、

「焦がしたり、ぐつぐつ煮たものはみなまずくなる」

と覚えてください。ニンジンだったら85度くらい、大根だったら95度くらい、ほうれん草だったら70度くらい、など、それぞれ何度くらいが一番おいしくなる温度かを知っておくのです。

そして、それぞれのターゲットに合わせた調理方法

  • 低温で蒸す
  • オーブンで焼く
  • 真空パックに入れて煮る

などを選択して、全部の具材がほどよく熱変性をしたところで、はじめて、合わせて、調味料を加えるのです。

ただもちろん、普段忙しいでしょうから、一気に煮たり、焼いたりしても、かまいませんが、そのときにでも「煮すぎない」「焼きすぎない」ということが必要で、ほとんど強火はいらないということがわかります。

これらを管理するためには、調理用の温度計が必須ですし、いちいち計るのがめんどうな場合は、温度が管理できる鍋やスチームオーブンが必要になります。

最後のその3は、調味です。塩分は決まっていますから、あとは何を足すかですが、ここも想像力が必要になります。しかも、多くの人は気づいていませんが、いわゆる「舌で感じる味」は料理の全体のごくごく一部で、多くは

  • 食感
  • 匂い
  • 色合い

で味を全体に感じているのです。そして、それをおいしく見せるためには、歯ごたえが異なる具材同士を組み合わせたり、スパイスで適度な匂いを加えたり、色をなるべく組み合わせる必要があります。

とにかく、金融の勉強もそうですが、クッキングについても、ただ単に作っているだけではなかなかうまくなりません。

「今、自分は何をしようとしているのか」

ということを分解していくと、冷蔵庫の残り物や、特売品でも、プロに負けないくらいおいしいものが作れるようになりますし、また、そのためにはどんな知識が必要なのか、常にアンテナを張って、必要な情報にピンとくる習慣が必要なのです。

※このコラムは、保険市場コラム「一聴一積」内に、2016年7月13日に掲載されたものです。

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PROFILE

勝間 和代 (かつま かずよ)

勝間 和代 (かつま かずよ)

経済評論家、中央大学ビジネススクール客員教授

1968年東京都生まれ。慶應義塾大学商学部卒業、早稲田大学大学院ファイナンス研究科MBA取得。当時最年少の19歳で会計士補の資格を取得。大学在学中から監査法人に勤務。アーサー・アンダーセン、マッキンゼー、JPモルガンを経て独立。現在、株式会社 監査と分析 取締役、内閣府男女共同参画会議議員、国土交通省社会資本整備審議会委員としても活躍中。ウォール・ストリート・ジャーナル「世界の最も注目すべき女性50人」選出、世界経済フォーラム(ダボス会議)選出。少子化問題、若者の雇用問題、ワークライフバランス、ITを活用した個人の生産性向上など、幅広い分野で発言。ネットリテラシーの高い若年層を中心に高い支持を受けている

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