【家計マネー塾】 第9回 「マイナンバー制度」が始まると、私たちの暮らしはどう変わる?

「マイナンバー」を知っていますか?住民票を持っている全ての人に1人1つの番号を付け、「社会保障」「税」「災害対策」分野の情報を紐付けて管理する制度のことです。なぜ導入することになったのか。私たちの生活はいつからどのように変わるのか。マイナンバー制度の背景と特徴について解説します。

2015年10月から通知が始まる、マイナンバーって何?

マイナンバーは、正式には「社会保障・税番号制度」といいます。社会保障、税、災害対策の分野で各機関が保有する個人情報を紐付けて、公平・公正な社会を実現することを目的に導入が決まりました。

日本は従前、各行政機関において縦割りの個人情報管理を行っており、非効率な面があったために、今回の制度が導入されることとなりました。これまで、公的年金の基礎年金番号、健康保険被保険者番号、パスポートの番号、運転免許証番号、雇用保険被保険者番号など、各行政機関が個別に番号をつけていましたが、あらゆる行政サービスを包括する個人情報番号は存在していませんでした。

そこで、1人1つのマイナンバーを付与し、各機関が管理している個人情報と紐付けて、必要に応じて相互に引き出すことができるようにします。2015年10月に配布される通知カードにより、原則として生涯変わらない、12桁の番号(マイナンバー)が届くことになります。

この番号が使えるのは、2016年1月からになります。導入されると、次のようなメリットがあります。

  1. (1)社会保障・税に係る行政手続きの添付書類の削減
  2. (2)マイ・ポータル(お知らせサービス)等による国民の利便性の向上
  3. (3)行政を効率化して、人員や財源を国民サービスに振り向けられる
  4. (4)所得のより正確な捕捉により、きめ細やかな新しい社会保障制度が設計できる

たとえば、毎年6月に児童手当の手続きをしますが、2016年からは、この手続きのときにマイナンバーの提示を求められることになります。

これまでは、1月1日時点の居住地と6月1日時点の住所が異なる場合、1月1日に住んでいた自治体から「所得証明書」を入手し、それを現在居住している自治体に提出しなければ、児童手当の手続きができませんでした。しかし、マイナンバーによってこれらの情報が紐付けられるようになると、所得証明書の入手が不要になります。現在住んでいる自治体が、1月1日時点に居住していた自治体にマイナンバーを使って問い合わせをすることができるようになるからです。

つまり、マイナンバーにより、国民は手続きにかかる時間・費用を削減でき、行政機関は事務コストが軽減され、国家としては公平で正確な給付ができるようになるといわれています。

マイナンバーが使われるシーンはこれだ!

マイナンバーの通知は2015年10月に行われますが、実際に提出を求められるようになるのは2016年1月以降です。社会保障、税、災害対策の分野で、行政機関などにマイナンバーを提示することになります。たとえば、確定申告であれば、2017年(平成29年)2~3月に行う「平成28年分の確定申告」からマイナンバーを記載することになります。

マイナンバーがどのような場面で使われるかについては、法律や条例で定められています。行政機関等でマイナンバーの提示を求められることになる手続きは次の通りです。

【マイナンバーの提示が求められる手続き(例)】

  • 国民年金や厚生年金の給付に関する手続き
  • 国家公務員共済組合法、地方公務員等共済組合法、私立学校教職員共済法による年金給付に関する手続き
  • 確定給付年金、確定拠出年金の給付に関する手続き
  • 独立行政法人農業者年金基金法による、農業者年金事業の給付に関する手続き
  • 失業手当などの雇用保険の給付に関する手続き
  • 労災に関する手続き
  • 児童手当に関する手続き
  • 母子家庭自立支援給付金などの手続き
  • 障害者総合支援法による、自立支援給付に関する手続き
  • 特別児童扶養手当法による給付手続き
  • 生活保護の手続き
  • 介護保険法による保険給付の手続き、保険料の徴収に関する手続き
  • 健康保険や後期高齢者医療制度の保険給付の手続き、保険料の徴収に関する手続き
  • 日本学生支援機構による奨学金貸与に関する手続き
  • 公営住宅に関する手続き
  • 確定申告
  • 被災者生活再建支援金の手続き

これらに付随して、勤務先、金融機関などでマイナンバーの提出を求められることがあります。

【民間事業者・金融機関でマイナンバーの提出を求められるケース(例)】

  • 年末調整
  • 就職するとき
  • 退職するとき
  • 原稿料などの報酬支払い時
  • 証券会社で特定口座を開くとき
  • 株取引等で配当金や売却益などを得たとき
  • 保険金等を受け取った場合

セキュリティについて

マイナンバーは使い方次第で便利な制度になり得ます。しかし、個人情報が外部に漏れるのではないか、他人のマイナンバーで成りすましが起こるのではないか、といった懸念を抱いた方も少なくないでしょう。このような不安を払拭するため、制度面とシステム面の両方から個人情報を保護する措置が講じられています。

制度面では、法律に規定があるものを除いて、マイナンバーを含む個人情報を収集したり、保管したりすることを禁じています。また、「特定個人情報保護委員会」という第三者機関を設置し、監視・監督にあたります。法律に違反した場合の罰則も、従来より重くなっています。

システム面としては、マイナンバーで個人情報の紐付けをしても、一元管理ではなく、情報を分散して管理することで外部への漏えいを防ぎます。従来通り、年金の情報は年金事務所、税の情報は税務署と分けて管理するのです。行政機関同士での情報のやりとりをするときも、マイナンバーを直接使わないようにしたり、システムにアクセスできる人を制限したり、通信する場合は暗号化を行ったりすることになっています。

通知カードとともに送付される申請書を郵送するなどして、希望者には「個人番号カード」が通知カードと引き換えに付与されることになります。このカードに関しても、プライバシー性の高い個人情報を盛り込まないなどの工夫がされることになっています。

個人番号カードとは、券面に氏名、住所、生年月日、性別、マイナンバーなどが記載された写真付きのカードです。身分証明書として利用できるほか、カードのICチップに搭載された電子証明書を用いて、e-Tax(国税電子申告・納税システム)などの各種電子申請が行えたり、お住まいの自治体の図書館利用証や印鑑登録証など、各自治体が条例で定めるサービスが利用できたりするようになる予定です。ただし、個人番号カードのICチップには、病気の履歴や所得情報のようなプライバシー性の高い情報は記載されないことになっています。

マイナンバーは、生涯にわたって利用する番号です。個人番号カードをうっかり置き忘れたり、盗まれたりしないように大切に保管してください。また、むやみにマイナンバーを教えないこと。前述した法律や条例で決められている、社会保障、税、災害対策の手続きで、行政機関や勤務先などに提示する場合以外は、他人に教えてはいけませんよ。

※このコラムは、保険市場コラム「家計マネー塾」内に、2015年1月20日に掲載されたものです。

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執筆者プロフィール

柳澤 美由紀(やなぎさわ みゆき)

柳澤 美由紀(やなぎさわ みゆき)

CFP®/1級ファイナンシャルプランニング技能士

関西大学社会学部卒。大学時代に心理学を学び、リクルートグループに入社。求人広告制作業務に携わった後、1997年ファイナンシャルプランナー(FP)に転身する。
相談件数は800件以上。家計の見直し、保険相談、資産づくり(お金を増やす仕組みづくり)が得意で、ライフプランシミュレーションや実行支援も行っている。

家計アイデア工房 代表

※この記載内容は、当社とは直接関係のない独立したファイナンシャルプランナーの見解です。
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