日本の未来に期待すること - WITH/AFTERコロナ時代に日本が果たす役割(ピョートル・フェリクス・グジバチさんコラム - 第3回)

WITH/AFTERコロナ時代に日本が果たす役割

みなさん、こんにちは。ピョートル・フェリクス・グジバチです。

僕は2000年に来日し、今は人材育成や組織開発に関わる仕事をしています。外国人ならではの視点で、日本の働き方改革やイノベーションにつながる提言もさせていただいています。このコラムでは、WITH/AFTERコロナ時代の社会や日本人の生き方について、僕が思うことをお伝えしています。第2回では、新型コロナウイルスが与えた日本人への影響や、これまでの当たり前の生活が一変したことについてお話ししました。

コロナ禍は、日本社会の問題点とともに、この国が秘めている可能性を改めて浮き彫りにしたと思います。最終回ではこれからの社会の姿や、日本に期待することをお話しします。

ますます加速化するデジタル化とグローバル化

「ニューノーマル」という言葉があるように、コロナ禍は僕たちの暮らしや働き方を大きく変えました。このパンデミックが終息しても、前と同じような暮らしに戻ることはないでしょう。コロナ禍が人類に大きなパラダイムシフトをもたらしたことは間違いありません。とはいえ、コロナ禍によって、今までなかった新しいムーブメントが起きているわけでもありません。多くの人が世界はこれからこうなっていくだろうと考えていたことが、一気に加速したのです。

デジタル化がまさにそうです。マイナンバーカード専用サイトの接続手続きの不備や特別定額給付金の業務対応から見ても、世界水準と比較して日本のデジタル化が遅れていることがコロナ禍によって浮き彫りになりました。ただ今後、日本では遠隔医療のニーズが高まり、カルテの電子化など現場のデジタル化が進むでしょうし、お金の分野でも感染予防や会計スピードの向上を理由に完全キャッシュレスにする店舗が多く出てきています。加えて、5GやVRの普及とともに、バーチャルな世界と現実との融合が進み、その境は徐々になくなっていくでしょう。

特に今回、日本の教育現場でIT導入が大幅に進みました。多くの学校で、オンライン授業ができる環境が整備され、タブレットの利用も広がりました。仮にコロナが収束した後であっても、このような教育のデジタル化が元に戻ることはないと思います。例えば、大勢に向けた一方的な講義をオンラインで行い、教室ではアクティブラーニング型の対面授業をきめ細かく行うなど、教育のあり方も先進的な形に変わっていくのではないでしょうか。

グローバル化も、今後ますます進んでいくでしょう。今は、人やモノの物理的な移動は大幅に減っています。それだけに、オンラインでの国境を越えたつながりはますます進むはずです。例えば、日本でもオンラインイベントが増えていますが、オンラインであれば海外のイベントにも気軽に参加できます。あるイベントコミュニティのプラットフォーム調査では、6月中旬時点で公開中のイベントの約8割がオンラインイベントになっているようです。これにより地方と首都圏というエリアの分断もなくなると思います。またオンラインで完結する仕事が増えると、日本にいながら世界を相手にスピード感をもって仕事ができる機会も増えます。残念ながら日本人は英語力が弱いこともあり、このことに気づいている人が少ないようです。逆に言えば英語ができる人には、大きなチャンスが待っています。

国際社会で日本が果たすべき役割は大きい

国際社会における日本の役割も、重要になるでしょう。今、世界はパンデミックによって大きな分断が起きています。アメリカや中国、ロシアなどの大国では、強力なリーダーのもと自国第一主義がとられ、ナショナリズムも強まっています。このままでは、国際社会の分断はますます広がっていきます。このようなときこそ、相手の立場を考え、和を重んじることのできる日本が、調停役として国際社会に必要だと思います。

コロナ禍は、僕たちの世界が密接に結びつき合っていることを改めて認識させました。自国でウイルスを抑えこめても、他国で感染が広がれば自分たちの安全はありません。世界的なパンデミックの終息には、国際社会の連携が不可欠です。そのような時代には、自分だけでなく、常に全体のことを考え、行動する日本人の集団主義の考え方が、世界から再び注目されることになるのではないでしょうか。

現実に起こることは単純に「イエス」「ノー」と言えないことばかりです。未曾有の危機に少しでも被害を抑えるには、ものごとを単純化せず、全体を見ながら、きめ細かく調整していく必要があります。日本人は欧米人より、そのようなことが得意です。ただその姿勢はどっちつかずに見えがちな側面もあります。今後はそのような日本の姿勢や取り組みを、海外の人にも分かりやすく説明していく力も大切でしょう。

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みんなで助け合いながら、自己実現できる社会へ

日本は世界一の高齢化社会を抱えており、かつ他の東アジア諸国のようなSARS・MERS危機のような経験がないのにもかかわらず、早期から対応を行い、死亡率がかなり低い水準で推移しています。加えて「自粛要請」という他国と比べても緩い対応であっても国民が「STAY HOME」の意義を理解して、家にきちんととどまりました。このように今回のコロナ禍は、変化や危機に対する日本人の対応能力の高さを明らかにしたと思います。日本人は自分たちの意識と社会にもっと自信をもつべきです。WITH/AFTERコロナ時代には、欧米やグローバルスタンダードに追随するだけでなく、それらの良さを取り入れながらも、日本ならではの独自の方向に進んで欲しいと思います。

例えばこのコラムの第1回で、日本人は自己実現より、社会の規範や仕組みに自分を合わせて生きる傾向があると言いました。そういった生き方が、日本人の幸福感の低さにつながっている面は確かにあります。日本の会社を、多様な人が、自分らしく働ける場所にする改革は不可欠です。また周囲や全体のことを気遣う日本人の感性は、これからも大切にしていただきたい。ただ競争を勝ち抜いていくのではなく、協調し、助け合いながら、自己実現できる。そんなサスティナブルな時代に合った生き方が、日本人ならできるのではないかと思います。

いずれにせよ今回のコロナ禍を経て、社会の規範や仕組みを見つめ直し、無駄なことはやめる。同時に、大切にすべきことは守っていく。そうすれば、WITH/AFTERコロナ時代の日本は、世界に誇れる豊かな国となるのではないでしょうか。

そのような思いもあって、僕は47都道府県とともに、理想的な2047年の日本社会を目指す「MIRAI47プロジェクト」を進めています。47都道府県を舞台に、これからの働き方、消費、教育、家族や健康、技術をテーマに議論を重ね、日本の良さを再発見し、世界に発信していきたいと考えています。

大変な状況はまだまだ続いており、ご苦労されている方も多いと思います。でもみなさんが力を合わせれば、輝かしい未来をつくりあげることができると信じています。

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PROFILE

ピョートル・フェリクス・グジバチ(ぴょーとる・ふぇりくす・ぐじばち)

ピョートル・フェリクス・グジバチ(ぴょーとる・ふぇりくす・ぐじばち)

プロノイア・グループ株式会社 代表取締役

ポーランド生まれ。2000年に来日し、ベルリッツ、モルガン・スタンレーを経て、2011年Google Japanに入社。アジアパシフィックにおけるピープルディベロップメント、グローバルでのラーニング・ストラテジーに携わり、人材育成と組織開発、リーダーシップ開発などの分野で活躍。2015年に独立し、未来創造企業のプロノイア・グループ株式会社を設立。

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