医療費控除の対象になるもの、ならないもの
毎年2月には「確定申告」があります。この確定申告は、個人事業主の方々等が、前年の1月1日から12月31日までを課税期間として、その期間内の収入や支出、扶養家族状況などから所得を計算した申告書を税務署へ提出し、納付すべき所得税額を確定することです。
ただし、確定申告書を提出する義務のない人でも、給与等から源泉徴収された所得税額が年間の所得金額について計算した所得税額よりも多いときは、確定申告をすることによって、納め過ぎの所得税の還付を受けることができます。この申告を「還付申告」といいます。
この還付申告の対象となるものに「医療費控除」がありますが、今回はこの「医療費控除の対象になるもの、ならないもの」について紹介していきましょう。
■医療費控除とは
納税者本人や納税者と生計を一にする親族のために医療費を支払った場合には、一定の金額の所得控除を受けることができます。
また、この医療費控除の対象となる期間は、その年の1月1日から12月31日までの間で、その期間に実際に支払った金額が医療費控除の対象となります。
■医療費控除の対象となる金額
医療費控除の対象となる金額は、次の計算式で計算した金額ですが、200万円が限度となっています。
(実際に支払った医療費の合計額-①の金額)- ②の金額
- ①保険金等で補てんされる金額
(例)生命保険契約等で支給される入院給付金や、健康保険等で支給される高額療養費・家族療養費・出産育児一時金等 - ②10万円
(注)その年の総所得金額等が200万円未満の人は、総所得金額×5%の金額
では、この聞きなれない言葉「総所得金額」について説明しましょう。給与収入だけしかない会社員の方で、雑損失等も無かった方の場合、給与収入から会社員の必要経費といわれている給与所得控除額を差し引いた金額の事になります。
たとえば、給与収入の金額が300万円だった場合は、給与所得控除額が108万円となり、給与所得金額は192万円となります。②の金額は192万円×5%ですから、9.6万円となる訳です。
②の金額は、一般的には10万円といわれていますが、総所得金額が200万円未満の場合は異なりますので注意しましょう。
■医療費控除を受けるための手続き
医療費控除を受けるためには、医療費控除に関する事項を記載した確定申告書を、所轄の税務署長宛てに提出しなければなりません。このときに、領収書等の医療費の支出を証明する書類を確定申告書に添付する必要があります。
また、会社員等の方の場合は、源泉徴収票の原本も添付しなければなりません。ちなみに、還付申告ができるのは、確定申告義務のない方の場合は、医療費を支払った翌年の1月1日から5年間となっています。
■医療費控除の対象となるもの、ならないもの
では、医療費控除の対象になるのはどんな費用なのでしょうか?次の表に医療費控除の対象となるもの、ならないものをまとめてみました。
医療費控除の対象となるもの | 医療費控除の対象とならないもの |
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※国税庁「医療費控除の対象となる医療費」をもとに筆者作成
同じような費用でも、治療にとって必要なのかどうかによって医療費控除になるものか、ならないものかが決まってきます。詳しく知りたい方は、国税庁の「医療費控除の対象となる医療費」を参考になさってくださいね。
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コラム執筆者プロフィール
瀬尾 由美子 (セオ ユミコ) マイアドバイザー.jp®登録 - ファイナンシャルプランナー(CFP®)、宅地建物取引主任、エフピーおふぃす瀬尾代表。
銀行勤務後、FP資格取得。
家計を預かる生活者としての視点を活かし、個人向けに生活設計や保険の見直しなどのセミナー講師として活動。
同時にFP資格取得講座などの講師も務める。
モットーは「難しい話をわかりやすく」。
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コラム監修者プロフィール
山本 俊成 (ヤマモト トシナリ) マイアドバイザー.jp®登録 - ファイナンシャルプランナー。
大学卒業後、株式会社三和銀行(現三菱UFJ銀行)入社。
2003年、外資系生命保険会社入社。
2005年、総合保険代理店株式会社ウィッシュ入社。
2010年、株式会社ファイナンシャル・マネジメント設立。
銀行と保険会社に勤めていた経験を活かし実務的なコンサルティングを行う。
ファイナンシャルプランナー 瀬尾 由美子
※この記載内容は、当社とは直接関係のない独立したファイナンシャルプランナーの見解です。
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