なぜ台湾は親日なのか-同じ歴史を共に歩んだ50年(金 美齢さんコラム-第2回)

金 美齢 (きん びれい)

多くの台湾人が親日である基本は、1895年から1945年までの日本統治50年の日々に由来するものである。日清戦争で勝利して、日本は清朝から台湾を割譲され、新しい領土を得た。日本人は真面目なので、この新しい領土、つまり当時清朝に「化外(けがい)の地」と言われていた台湾をなんとか本土並みにしたいと努力した。「化外の地」とは「文化果つるところ」という意味で、北京が都の皇帝には、南の彼方、途方もなく遠い「文化果つるところ」だったのだ。それに対して日本は、台湾をなんとか近代化させよう、本土と同じレベル、とは難しいかもしれないが、どうにかして開拓しようという基本的な心がけがあった。

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蔡焜燦氏と執筆者

これは欧米の植民地政策とは異なるもので、欧米は現地を近代化させるとか教育するとかの意思は全くなく、もっぱら搾取の対象だった。日本の植民地統治は基本的な姿勢が違い、できるだけ本土並みにしよう、と。そういうのを「いらんお節介、皇民化」と批判するか、「近代化のために努力をした」と解釈をするのかで評価が分かれるわけだが、台湾人は比較的客観的に、後者として評価をした。つまり、インフラの整備を通して、前回も述べた日本精神、日本人の真面目な姿勢を目の当たりにして高く評価したのだ。

近代的な設備の基礎は全てその50年の統治期間に作られた、と言っても過言ではない。交通、医療、生産設備など、目に見えるインフラは日本の近代化の歴史と歩調を合わせた進展、時には日本本土を上まわる建設が行われたケースがあった。金沢出身の土木技師八田與一さんが自分の人生の大半を賭けて作り上げた烏山頭ダムは東洋一であり、台湾中部の荒野を一大穀倉地に変身させた。ダムを見下ろす小高い丘の中腹に建立された八田さんの銅像には、献花が絶えない。そしてつい最近その横に外代樹夫人の銅像が並んだ。

それ以上に大切なことは、教育に力を注いだことだ。島の津々浦々まで基礎教育の場を作り、現在の台湾に文盲が存在しないのはその政策が原点である。1928年に設立された台北帝大は日本における7番目の帝国大学である。「台湾人と日本精神」(日本教文社)の著者蔡焜燦(さいこんさん)さんはご自分のことを愛日家と言っている。この人は「台湾紀行」(朝日文庫)で著者の司馬遼太郎さんから「老台北」と親しみを込めて呼ばれた方だ。その蔡さんが小学校時代の「綜合教育読本」を自費で復刻した。昭和10年8月に出された本で、当時の台湾中部にある清水という町の公学校、当時は日本人が通う小学校と台湾人が通う公学校があり後に名称は国民学校に統一されたが、これは差別という解釈も成り立つが、一から日本語を勉強する台湾人の公学校と、すでに日本語ができる日本人、プラス日本語が達者な台湾人家庭の子弟、1割か2割だが、の小学校に分かれていた。つまり最初から日本語ができていて文字から勉強する小学校と、一から日本語を勉強する公学校という、ある意味では合理的な教育上の区別だった。

それでもこの公学校の「綜合教育読本」を改めて見ると、実に素晴らしい教育をしていたことがよく分かる。台湾の中部という地方の公学校でこういう分厚い本を出している、小学校唱歌がこんなにも沢山あったのかと驚くほど豊かな中身で、蔡焜燦さんは日本統治時代に日本が台湾で行った教育の一環を残す為にこの本をポケットマネーで復刻した。清水小学校第38回卒業生蔡焜燦ということで、これが植民地の学校だろうか、と訴えている。

この本発行の意図を、当時の校長が序文で述べている。箇条書きで10項目、その内の2つを紹介しよう。
二、公学校教育の目的は日本精神を涵養し 眞の日本人を造るにあり 国語教育の徹底は 其の目的達成上重要な位置を占む。本書は同讀本として使用せしむ。
四、趣味を日本人化し 日本人的生活をなさしむことに依って 眞の日本人は造られるものと信ず。

私のところに蔡さんが数冊寄贈して下さったのでご希望の方にはお送りしたいと考えている。着払いで送料だけは負担いただくことにはなるが、実際に手に取ってご覧いただければ、当時の台湾における、日本人による教育がどういうものだったのかが分かると思う。それこそ手に取るように分かるでしょう。

戦後もその流れで教育が続けられていれば、日本ももう少し若者がしゃんとしたはずだが、終戦を境に、戦争の反省をするということで、全否定してしまった。それは日本人の、特にメディアの傾向だと思っている。オール・オア・ナッシングという思考は問題だ。歴史というのは常に光と影があるのは当然で、人間、組織、社会、国家、皆完璧ではあり得ない。何事もコインの両面で、裏表がある。もっと冷静に、何が良くて、何が悪かったのか。反省し改善すべきは何なのか、大切に残すべきは何なのか。「歴史問題、歴史問題」と中韓両国に揺さぶられる切札にされているが、それはむしろ日本人の受け止め方が問われているのだ。

台湾人が大いに評価する「日本精神」は今でも脈々と日本人のDNAに引き継がれている。それを活性化すれば良い。先ず自虐史観から脱却。そして日本人としての自信と誇りを取り戻す。

安倍晋三首相の「日本を取り戻す」とはこういうことなのだ。


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2014年1月29日(水)16:00をもちまして、終了させていただきました。
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※このコラムは、保険市場コラム「一聴一積」内に、2014 年1月28日に掲載されたものです。

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PROFILE

金 美齢 (きん びれい)

金 美齢 (きん びれい)

評論家

1934年生まれ、台北出身。1959年来日、早稲田大学第一文学部英文科入学。
1971年早稲田大学大学院文学研究科博士課程単位修了。
多くの大学で講師を歴任、早稲田大学では20年以上英語教育に携わる。
テレビを始め、新聞・雑誌など各種メディアにおいて、家族・子育て・教育・社会・政治等、幅広い分野にわたって様々な提言を行っている。

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