海外旅行保険ってどんなもの?加入を検討する際のチェックポイント!

1.海外旅行保険ってどんなもの?
海外旅行中に起こるさまざまなトラブルに備えるための保険が「海外旅行保険」です。例えば、海外旅行中に事故にあってケガをしたり、旅先で病気を発症して入院や手術をしなければならなくなったり、また、カメラ等が壊れたり、盗難にあったり、物質的な損害を被ることもありますね。
海外旅行保険に加入することにより、そのような突発的なアクシデントに見舞われて発生する「金銭的な損害」の負担を軽減することができます。
海外旅行保険の契約の仕方は、「申込書を書き、保険料を支払い、証券を受け取って契約完了」という従来の形から、最近は、ネットで簡単に申し込みから決済までできるものや、特に手続きが必要ない「クレジットカードに付帯された保険」等、さまざまなものがあります。
2.加入を検討する際のチェックポイント
(1)具体的な補償内容と注意すべきポイントは?
表1 補償内容と保険金が支払われる場合
補償内容 | 保険金が支払われる場合 |
---|---|
傷害死亡・後遺障害 | 海外旅行中のケガが原因で死亡したり後遺障害が生じたりした場合 |
疾病死亡 | 海外旅行中に発症した病気が原因で死亡した場合 |
傷害・疾病治療費用 | 海外旅行中にケガや病気になり治療費が発生したとき |
賠償責任 | 海外旅行中に誤って他人の物を壊したり、他人にケガをさせてしまったりして法律上の賠償責任を負った場合 |
携行品損害 | 海外旅行中に所持品を盗まれたり、破損したりした場合等 |
資料:執筆者作成
この他にも、旅行者が万一の場合に家族が現地に駆けつけるための「救援者費用」、航空機が遅延したり、スーツケースが届かなかったりした場合等の損失を補てんしてくれるもの、留守宅財産、弁護士費用、テロ対応費用、緊急の歯科治療や既往症まで補償してくれるもの等、保険会社によってさまざまです。
表1の中で特に注意したいのは「傷害・疾病治療費用」です。というのは、海外で治療を受ける場合、同じ病気でも日本国内よりも高額になるケースがあるからです。海外で病気やケガの治療をした場合も、健康保険の「海外療養費」という制度があるため、医療費等の証明書等、所定の書類があれば、国内での治療と同様に健康保険を利用することができます。ただ、その負担額は、「国内で同じ治療を受けた場合の治療費を基準にして計算した額から、自己負担分である3割」が基準となるので、高額な治療費がかかった場合は自己負担が大きくなります。
(2)加入の際のチェックポイント
・必要な項目を選択していますか?
傷害・疾病治療費用に次いで保険請求する人が多いのが「携行品損害」です。バッグを盗まれたり、誤ってカメラを壊してしまったりした場合、契約金額内で時価額を限度として修理費等が支払われます(保険商品によっては、免責額として自己負担が発生するものもあります)。
ただし、現金やクレジットカード、コンタクトレンズ、データ、書類等は対象となりません。また、盗難は対象ですが、自分で置き忘れたり、紛失したりした場合は対象外ですので気を付けましょうね。
・保険の期間は適切ですか?
ネット保険等の場合、出国前であれば当日まで申し込みが可能です。海外旅行保険の補償期間は、自宅を出発してから自宅に戻ってくるまでの期間、つまり、自宅から空港に向かうバスや電車におけるアクシデント等も補償の対象となります。空港で加入したり、ネットで出国ギリギリに手続きしたりする方法もありますが、万一に備えて、前日までに手続きをしておくことをおすすめします。
(3)クレジットカードに海外旅行保険が付帯されているけれど、別途加入は必要?
「クレジットカードに海外旅行保険がついているので、わざわざ加入しない」という話をよく耳にします。確かに、保険が付帯されているカードは多いですが、契約や補償内容は問題ないでしょうか?
クレジットカード付帯の海外旅行保険の場合、カードの種類にもよりますが、通常の海外旅行保険と比較して補償が少なめに設定されているものがあります。特に「補償項目は揃っているし、傷害死亡は高額だけれど傷害・疾病治療費用の補償額が少ない」という場合は要注意です。
ポイント(1)に書いた通り、海外での治療費は高額になることもあります。傷害・疾病治療の補償額が50~100万円だと保険で治療費がカバーできない可能性があります。
表2 クレジットカード付帯の海外旅行保険の例
担保項目※1 | 保険金額 |
---|---|
傷害死亡・後遺障害 | 最高2,000万円 |
傷害治療費用(1事故の限度額) | 50万円 |
疾病治療費用(1疾病の限度額) | 50万円 |
賠償責任(1事故の限度額) | 2,000万円 |
携行品損害 | 15万円 ※2 |
救援者費用(1年間の限度額) | 100万円 |
※1 全ての担保項目について、事前に旅費等を当該カードで支払うことが前提となります。
※2 自己負担:1事故3,000円、1旅行中かつ1年間の限度額
資料:三井住友VISAカードのホームページをもとに執筆者作成
クレジットカード付帯保険は、項目ごとにみると補償額が少なかったり、補償されなかったりすることがあります。また、旅費等をそのクレジットカードで支払うことが条件になっているケースがありますので事前にしっかり確認しましょう。
トラブルなく海外旅行を楽しめるのがベストですが、いざというとき海外旅行保険は強い味方になってくれます。必要な補償は何か?金額はいくらぐらい必要か?しっかり内容を確認し加入を検討しましょう。

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コラム執筆者プロフィール
合田 菜実子 (ゴウダ ナミコ) (マイアドバイザー.jp®登録) - ファイナンシャルプランナー、キャリアカウンセラー。
消費者向けの家計セミナーやFP資格取得講座等の講師業の他、フリーペーパーやWEBコラム等の執筆や個人相談業務等も行っています。
“お金の知識を分かりやすく楽しく伝える”をモットーに、出会った人々に安心感を与えられるようなファイナンシャルプランナーを目指しています。
ファイナンシャルプランナー 合田 菜実子
※この記載内容は、当社とは直接関係のない独立したファイナンシャルプランナーの見解です。
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