免疫力アップは腸内環境と糖質制限から
コロナ禍になって3年以上が過ぎました。昨年までは手洗いうがいが浸透したおかげか、インフルエンザがほとんど発症しませんでしたが、昨年末から今年にかけて筆者の周りでもかなり罹患している人がいます。
新型コロナウイルス感染症とインフルエンザどちらにしても、発症したときの症状はさまざまで、高熱やのどの痛みに咳、その他後遺症などで苦しむ方も多くいます。
これらを予防するには、自己免疫力をアップする必要があります。まず食生活を見直すことからはじめましょう!
ポイント1.免疫力アップは腸内環境を整えることから
最近、「腸内環境を整えましょう」というフレーズをよく聞きませんか?実はこれが免疫力アップにつながるからです。
体力が落ちたときはしっかり食事をしてエネルギーを補給する必要がありますが、腸内環境が整っていないと必要な栄養分が身体に取り込まれず、身体に栄養が行きわたりません。
腸の中の細菌のことを腸内フローラといい、善玉菌、悪玉菌、そしてどちらにも属さない日和見菌がいます。悪玉菌だから悪いわけではなく、3種類のバランスによって腸内の状態が良くなったり悪くなったりします。
整腸剤の薬のコマーシャルで、通勤電車の中で急にお腹が下って苦しむ場面を見たことはありませんか?
実は、ストレスを感じてお腹が痛くなるのは、腸内で悪玉菌が増殖し、腸内環境が悪くなってしまったからです。精神的なストレスが、急な腹痛につながる大きな原因であることが分かりやすい例だと思います。
ストレスをあまり溜めないようにすることはもちろん、疲れや寝不足からも腸内環境が悪くならないように気を付けたいところです。
腸内環境を改善する食品としては、以下のようなものがあります。
- 食物繊維が豊富な食品(野菜類、キノコ類、豆類など)
- 発酵食品(納豆、チーズ、ヨーグルトなど)
- オリゴ糖が含まれる食品(大豆、バナナなど)
これらを他の食材とバランス良く組み合わせて取ると腸内環境を整えてくれます。
ポイント2.糖質に着目!
腸内環境を整えたら、次に着目したいのは糖質量です。
実は、今の日本人の食生活で糖質について知ることは、免疫力アップにも大事といわれているからです。
日本人のメインの主食となる米、パン、パスタ、ラーメンといったポピュラーに食べられている全てが糖質量の多い炭水化物です。
表1 主食の糖質量の目安
※スクロールで表がスライドします。
品目 | 量 | 糖質 | カロリー |
---|---|---|---|
ご飯 茶碗1杯 | 150g | 55.2g | 252kcal |
食パン 6枚切1枚 | 60g | 26.6g | 158kcal |
パスタ(乾) | 100g | 71.2g | 379kcal |
中華めん(ゆで) | 190g | 53g | 283kcal |
資料:江部康二監修「ダイエット・糖質制限に必携!食品別糖質量ハンドブック」(宝島社)をもとに執筆者作成
厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」[1]によると、1日の基礎代謝量を1,500kcalとした場合、1日に最低必要な糖質量は100gと推定されています。朝食に食パン1枚、昼と晩にそれぞれお茶碗1杯のご飯を食べた場合、主食だけで1日の糖質量は100gを超えてしまいます。
では、根菜類は野菜の中では糖質が高い、ということをご存じでしょうか?
表2 野菜の糖質量の目安
※スクロールで表がスライドします。
品目 | 量 | 糖質量 | カロリー | 10gあたりの 糖質量 |
10gあたりの カロリー |
---|---|---|---|---|---|
ごぼう | 10g | 1g | 7kcal | 1g | 7kcal |
じゃがいも | 110g | 16.1g | 75kcal | 約1.46g | 約6.82kcal |
蓮根 | 25g | 3.4g | 17kcal | 約1.36g | 約6.8kcal |
にんじん | 30g | 1.9g | 11kcal | 約0.63g | 約3.67kcal |
白菜 | 50g | 1g | 7kcal | 約0.2g | 約1.4kcal |
小松菜 | 100g | 0.4g | 12kcal | 約0.04g | 約1.2kcal |
ぶなしめじ | 20g | 0.3g | 4kcal | 約0.15g | 約2kcal |
まいたけ | 15g | 0.1g | 2kcal | 約0.07g | 約1.33kcal |
ブロッコリー | 50g | 0.4g | 17kcal | 約0.08g | 約3.4kcal |
資料:江部康二監修「ダイエット・糖質制限に必携!食品別糖質量ハンドブック」(宝島社)をもとに執筆者作成
例えば、根菜を少な目にして糖質量の低い葉野菜やキノコなどと一緒に調理したり、腸内環境を整える発酵食品などと合わせたりと、バランス良く食事をすることで免疫力アップにつながります。
なお、ブロッコリーも100g食べても糖質が0.8gほどですので活用したい食材です。
身体活動量などによって一日に必要なエネルギー量は違います。糖質制限といっても「1日の糖質量を100gに抑えるように」というわけではありませんので誤解しないでくださいね。
糖質量を抑えた方が良いのはなぜ?
もし、糖質を取りすぎて血液中のブドウ糖が増えると、血糖値が上がります。過剰に増えたブドウ糖は、エネルギーとして使われずに中性脂肪に変わり、さらに体脂肪として体内に蓄積されることで肥満へとつながります。
また、余分な糖質とタンパク質が結合して糖化した物質は、肌や骨の老化を加速させ、動脈硬化や骨粗しょう症、糖尿病の合併症などのリスクが高まります。動脈硬化が進行すると、心筋梗塞や脳梗塞を引き起こすことにもつながるといわれています。
必要以上に糖質を取ることで身体の老化や病気への罹患率が高まるということがお分かりいただけたでしょうか?
結果、病気を発症すると、人工透析を受けることになれば治療費がかかるほか、通院日に休みを取らざるをえなくなり、収入も減少してしまうリスクが発生することになります。
糖質制限の食事方法
糖質制限には「タンパク質ファースト」をおすすめします。
筆者のおすすめは、人の栄養源である低糖質のタンパク質を1番、次に腸内細菌のエサである野菜、そして食後高血糖になりやすい炭水化物を最後に持ってくる方法です。
その理由の一つとして、3大栄養素で1番満腹中枢を刺激するのはタンパク質といわれているからです。
「最後にご飯だけ食べるのは……」という方もいらっしゃると思います。その場合はひとまず、お肉や魚などのタンパク質から食べ始めるのを心がけるだけでも良いのではないかと思います。
免疫力を上げて健康に生きる
少し古いデータですが、厚生労働省「糖尿病実態調査報告 平成14年度」[2]によると、糖尿病の可能性を否定できない人は1,620万人と推計されています。日本の人口の10%以上が糖尿病もしくは予備軍となっているこの現実をどう受け止めますか?
自分は大丈夫と思っていても、身体はいつどうなるかわかりません。医療保険で不意の出費に備えることも選択肢の一つですが、まずは免疫力を上げて、最後まで健康に生きる人生を目指しましょう。
出典 |
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執筆者プロフィール
矢澤 理惠ヤザワ リエ
CFP®
株式会社オフィスヤザワ 代表。ファイナンシャル・プランナーを目指したきっかけは「知っていると得をする」ことを自分で実感したため。祖父母が亡くなった時に発生した「争続」。その時に「前もって知っていることの大切さ」に気付き、知っていると幸せになることが世の中にたくさんあるとお知らせするべく、個人相談、執筆活動を行う。
- ※ この記載内容は、当社とは直接関係のない独立したファイナンシャルプランナーの見解です。
- ※ 掲載されている情報は、最新の商品・法律・税制等とは異なる場合がありますのでご注意ください。
- ※ 掲載日は2023年2月22日です。