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企業における生成AIの活用

野口 悠紀雄さんコラム - 第1回

ChatGPTが企業活動を大きく変える

新しい産業革命が起きつつある

ChatGPTなどの生成AIが登場し、世界に大きな衝撃を与えている。AI(人工知能)が事前に大量の学習をし、そこで得た知識をもととして、人間の自然言語を理解し、人間の質問や指示に対して、自然言語で答えを提供する仕組みだ。コンピューターが人間の言語を理解できるようになったのは、画期的なことだ。これによって様々の大きな変化が起きる。

18世紀にイギリスで起きた産業革命と同じような変化が起きるという考えがある。あるいは、活版印刷技術やインターネットと同じような、あるいはそれらより大きな影響を及ぼすだろうという見方もある。これからの仕事や経済活動が甚大な影響を受け、大きく変わることに間違いはない。

ChatGPTは、2022年11月に公表されてからわずか2ヶ月間で、全世界の利用者が1億人を超えた。これほどのスピードで普及した新技術はこれまで例がない。これを見てみても、ChatGPTの重要性がわかる。これにうまく対応できるか否かによって、企業や個人の将来は大きく変わることになるだろう。

バックオフィス業務が自動化される

ChatGPTは様々な用途に利用できる。第1に、文書の誤りの訂正や、定型的な文章作成などに用いることができる。定型的な事務連絡等は、ChatGPTによって自動化することが可能だ。

また、文章の要約を行ってくれるので、大量の書類や資料などを整理することが容易になる。

さらに、外国語の翻訳と要約をしてくれる。機械翻訳のサービスはこれまでも利用できたが、それらより適切な訳を提供してくれる。また、翻訳だけでなく要約もしてくれるのは大変便利だ。外国語の大量の文献等を読むには、極めて便利に使える。日本人は、これまで外国語の文献を読むことがあまり得意でなかった。これが大きく変化することが期待される。

しかも、英語だけではなく、様々な言語の翻訳が可能だ。今後、AIなどの分野では中国語の文献が増えることが予想される。こうした文献を読むのに、ChatGPTは大きな力を発揮するだろう。

また、日本人が研究成果を発表する場合、日本語では影響力に限度がある。ところが、ChatGPTを使えば簡単に外国語に翻訳できるので、日本人の活躍範囲が広がることになるかもしれない。

個人も企業も、こうした用途にChatGPTを用いることによって、能力を向上させ、活動範囲を拡大させることができるだろう。

企業の場合、バックオフィス業務の多くがChatGPTの利用によって自動化されることになるだろう。

ホワイトカラーの仕事が自動化される

これまでの自動化は、ブルーカラーを中心にして行われてきた。産業革命は、労働者の仕事を機械に置き換えた。AIの分野でも、これまでは、自動運転に見られるように、労働や作業の自動化が中心だった。しかし、ChatGPTは、オフィス業務のようなホワイトカラーの労働に影響を与えることが重要な点だ。

どの程度の自動化が可能かに関して、すでに様々な調査や研究が行われている。それらを見ると、オフィス業務の半分程度は、ChatGPTによって自動化することが可能だとの研究が多い。

しかも、単純な繰り返し作業だけではなく、もっと高度な作業の自動化が可能になることが指摘されている。学歴の高い人が行っている仕事、給与が高い仕事の方が大きな影響を受けるとの研究結果が多い。

これまで、ホワイトカラーは自動化によってはあまり影響を受けないと考えられていた。ところが、生成AIの影響は、これまでの自動化とは全く性質が異なるものになると考えられる。オフィスオートメーションの可能性はこれまでも言われてきたが、これまで考えられていたのとは全く違う、革命的な変化が起きることが予想される。

カスタマーサービスの利用で、企業と顧客の関係が大きく変わる

企業の場合には、さらにカスタマーサービスへの利用がある。これまでの電話自動応答サービスやチャットボットでは、あらかじめ決められた定型的な回答しかできなかった。しかし、ChatGPTを組み合わせれば、顧客からの様々な問い合わせなどに対して、人間が行うようなきめの細かいコミュニケーションを行うことができる。これによる顧客とのコミュニケーションの改善は、大変大きな効果をもたらすだろう。

家庭電化製品などでは、取扱説明書を読んでもよくわからない点が多く、故障が起きた時などに苦労することが多い。それを、ChatGPTで細かく説明するようなサービスが提供されれば、顧客の利便度は大きく向上する。

そうなると、製品のハードウェアの性能だけでなく、こうしたバックアップの仕組みが商品の売り上げに影響を与えることになるだろう。

また、広告のキャッチコピーやウェブ記事等の作成をChatGPTで行うことも、すでに行われ始めている。顧客への直接のコミュニケーションにも利用できる。このようにして個々の顧客ごとにコミュニケーションをとり、適切な情報を提供していくことが可能になる。これによって、製品やサービスの提供者と利用者との関係が大きく改善されることが期待される。

このように、デジタルマーケティングの分野では、ChatGPTが果たす役割は大変大きい。そして、企業の営業戦略が大きく変わることが予想される。

利用者にとっては利便性が増加し、企業にとっては、売り上げと収益が増加することが期待できる。

ChatGPTは、金融において大きな変革をもたらすだろうと考えられている。金融サービスは顧客ごとに細かく異なり、それらに対応する必要があるからだ。

PROFILE

野口 悠紀雄

野口 悠紀雄(ノグチ ユキオ)

一橋大学名誉教授

1940年東京都生まれ。1963年東京大学工学部卒業。1964年大蔵省入省。1972年エール大学Ph.D.を取得。一橋大学教授、東京大学教授、スタンフォード大学客員教授、早稲田大学大学院教授などを経て、現職。専門は日本経済論。近著に『日本が先進国から脱落する日』(プレジデント社/岡倉天心賞)、『2040年の日本』(幻冬舎)、『日銀の責任』(PHP研究所)、『プア・ジャパン 気がつけば「貧困大国」』(朝日新聞出版)、『どうすれば日本経済は復活できるのか』(SBクリエイティブ)などがある。2024年1月19日に『生成AI革命』(日本経済新聞出版)が刊行。

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