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老後が気になりだした50代夫婦ですが、このまま住宅ローンを払い続けていけるのか心配です

掲載日:2015年10月6日

埼玉県在住 高田正男さん (仮名)

54歳男性です。妻は53歳で夫婦ともに会社員です。教育費の負担は終わったのですが、住宅ローンの返済がまだ20年近く残っています。老後にお金で苦労はしたくないと思っているのですが、今の家計で住宅ローンを払い続けていけるでしょうか?

(家計状況)

家族構成 夫(相談者) 54歳会社員
53歳会社員
長女 25歳
次女 23歳
毎月の収入
(手取り)
280,000円
150,000円
430,000円
毎月の支出 住宅ローン 114,290円
住居関連費 23,500円
食費 40,000円
水道光熱費 16,000円
通信費 11,810円
医療費 10,000円
雑貨・被服費 6,730円
娯楽・交際費 10,000円
小遣い(夫) 30,000円
自動車関連費 16,500円
保険料(保障と医療) 48,170円
保険料(貯蓄目的) 53,000円
380,000円
毎月の貯蓄 50,000円
賞与収入
(手取り)
0円
250,000円
現在の
貯金額
150万円

(住宅ローン)

借入元本
 2,405万円
返済年数
 20年
固定金利
 1.34%

(保険の加入状況)

夫:
死亡保険 1,600万円
定期保険 700万円
医療保険、がん保険
妻:
終身保険(貯蓄) 900万円
定期保険 1,000万円
医療保険、がん保険

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回答住宅ローンの早期返済に向けて家計の見直しを!リタイア後の家計の収支について、具体的なイメージをつかんでおくことも大切です

(ファイナンシャルプランナー 小林 美智子からのアドバイス)

夫婦ともに50代になり、老後の生活も視野に入りはじめる頃ですね。住宅ローンを払い続けていけるのかご心配とのこと。残りの返済年数はまだ20年近くあり、不安を感じられるのも無理はありません。

現在の家計の状況ですが、二人の娘さんはすでに25歳と23歳ということで、教育費の負担は終わっています。基本的な生活費についても、特に無駄遣いをされているような項目はないようです。今のところ、夫婦二人の手取りの収入を合わせると約43万円となり、住宅ローンも含めた毎月の支出、約38万円をまかなうことができています。このまま今の収入が維持できれば、当面は住宅ローンの返済を続けていけるでしょう。

しかし、住宅ローンの返済が70歳を過ぎるまで続くことを考えると、ずっと安心というわけにはいかないかもしれません。漠然とした不安を解消していくには、リタイア後の暮らしを具体的にイメージしていくことが必要になります。リタイア後の暮らしをイメージするために、50代になったらチェックすべきポイントをみていきましょう。

■勤務先の退職金制度や再雇用制度、老齢年金等について確認しよう

いつまでどのくらいの収入が得られるのか、退職金はいくらもらえるのかによって、リタイア後の生活設計は大きく変わります。

「高年齢者等の雇用の安定等に関する法律」(高年齢者雇用安定法)により、定年が60歳の場合でも、本人が希望すれば、最長65歳まで雇用(再雇用を含む)することが企業に義務付けられています。ご自身の勤務先がどのような制度を導入しているのか調べておきましょう。また、再雇用制度を利用する場合、働き続けることができても収入が大きくダウンすることがあります。どの程度の収入が想定されるのか、事前に確認しておきましょう。

リタイア後の主な収入は公的年金です。高田さまは、ご夫婦ともに50歳以上ですので、「ねんきん定期便」で老齢年金の見込み額を知ることができます。その他にも、厚生年金基金などの企業年金や個人年金保険などの私的年金があれば、何歳からいくら受け取ることができるのか把握しておきましょう。

■生命保険を見直して、老後資金の原資にしましょう

高田さまの場合、現在の毎月の収支は約5万円のプラスとなっています。毎月5万円の貯蓄をされているということで、年間で約60万円、これに奥さまのボーナス25万円を全額加えることができると、1年間で約85万円の貯蓄が可能です。仮にこの収支が、ご主人さまが60歳になられるまで続くとすると、6年間で約510万円となり、現在の貯蓄150万円と合わせると660万円になります。

基本生活費については、堅実なやりくりをされているようですね。しかし、今回、見直しを提案させていただきたいのは、保険料についてです。加入されている保険の状況を拝見すると、ご夫婦ともに死亡保障額が適正な水準よりも多い可能性があります。お子さまの教育費負担も終わっていますし、貯蓄目的の終身保険はそのまま継続するとして、それ以外の死亡保障については削減の余地がありそうです。住宅ローンの名義がご主人さまで、団体信用生命保険に加入されている場合、ご主人さまに万一があったときは、住宅ローンの返済はなくなります。ファイナンシャルプランナーなどの専門家に相談して、適正な必要保障額を計算してもらうとよいでしょう。

医療保険についても、現役時代は収入補てんとしての意味合いもあるかもしれませんが、今後はシンプルに医療費への備えと考え、高額療養費制度など公的な保障も踏まえて費用対効果を考えた保障へ見直していきましょう。

保険料を節約できれば、先ほどの蓄えにさらに上乗せすることができます。ここに退職金を加えたものが老後資金の原資となります。また、貯蓄目的で加入している奥さまの終身保険を解約することで、さらなる上積みも可能です。解約返戻金がどのくらいになるか確認しておくとよいでしょう。

60歳以降に収入が減少すると、家計の収支が赤字になることも予想されます。できれば住宅ローンは早めに返済してしまいたいところです。ご主人さまが60歳で定年を迎える頃の住宅ローン残高は、約1,600万円。退職金の額にもよりますが、完済も視野に入ってくるかもしれません。退職金も含めた貯蓄で住宅ローンを繰上返済(または完済)する場合は、手元に残るお金と60歳以降の就労による収入、65歳以降の年金収入と、老後の生活費とのバランスをとりながら返済に回せる金額を考えましょう。きちんとした計画もないままに住宅ローンの返済に回してしまうと、老後の早いうちに貯蓄が底をついてしまったり、介護や病気など不測の事態に備えることができなくなったりしてしまいます。

厚生労働省が2015年7月30日に発表した「平成26年簡易生命表の概況」によれば、日本人の平均寿命は、男性が80.50歳、女性が86.83歳で、男女ともに過去最高を更新しています。リタイア後のセカンドライフは想像以上に長いものです。健康で自分らしく豊かなセカンドライフを送るためにも、50代の今から計画的に準備していきましょう。

コラム執筆者プロフィール
小林 美智子(こばやし みちこ)

小林 美智子の写真

CFP®/1級ファイナンシャル・プランニング技能士/住宅ローンアドバイザー

大手電機メーカーの経理部、会計事務所で通算20年のキャリアを経て独立。
長年の実務経験と家計を預かる主婦の視点をいかして、お金に振り回されないこころ豊かな人生の実現をサポートしている。2016年日本FP協会「くらしとお金のFP相談室」相談員担当、2017年日本FP協会「FP広報センター」スタッフ担当。
こころFP事務所 代表

コラム監修者プロフィール
柳澤 美由紀(やなぎさわ みゆき)

柳澤 美由紀の写真

CFP®/1級ファイナンシャル・プランニング技能士

関西大学社会学部卒。大学時代に心理学を学び、リクルートグループに入社。求人広告制作業務に携わった後、1997年ファイナンシャルプランナー(FP)に転身する。
相談件数は800件以上。家計の見直し、保険相談、資産づくり(お金を増やす仕組みづくり)が得意で、ライフプランシミュレーションや実行支援も行っている。

家計アイデア工房 代表

  • ※ この記載内容は、当社とは直接関係のない独立したファイナンシャルプランナーの見解です。
  • ※ 掲載されている情報は、最新の商品・法律・税制等とは異なる場合がありますのでご注意ください。

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