車両保険の種類について
車両保険の3つのタイプ
車両保険は、車(車両)そのものが事故や、台風・洪水・高潮などで壊れてしまった場合などに備える保険です。保険会社による細かな違いはあるものの、大半の損害保険会社で取り扱っている車両保険は、以下の3種類に分類することができます。
- 1)一般的な車両保険 … 補償範囲が最も広い
- 2)車対車+A … 補償範囲が少し狭い
- 3)エコノミータイプ … 相手が特定できる車対車の事故のみに限定
補償内容の違いを表にすると以下のようになります。
表 車両保険の補償内容の違い
一般的な車両保険 | 車対車+A | エコノミータイプ | |
---|---|---|---|
衝突 | ○ | ○ ※相手自動車および その運転者または 所有者が確認された 場合のみ補償 |
○ ※相手自動車および その運転者または 所有者が確認された 場合のみ補償 |
火災・爆発 | ○ | ○ | × |
台風・洪水・高潮 | ○ | ○ | × |
盗難 | ○ | ○ | × |
自損事故 | ○ | × | × |
当て逃げ | ○ | × | × |
資料:日本損害保険協会のホームページをもとに執筆者作成
損害保険会社ごとに個別の商品名は異なる場合がありますが、代表的なタイプとしては、これらの3種類となっています。
「一般的な車両保険」は、最も補償範囲が広い基本的な車両保険だといってよいでしょう。自分で電柱やガードレールにぶつけてしまった場合(自損事故)でも補償が受けられますし、相手の自動車などが特定できない当て逃げの場合でも補償が受けられます。ただし、当然ながら補償範囲が広い分、保険料負担はほかのタイプよりも重くなるのが通常です。
そして、この一般的な車両保険よりも少しだけ補償範囲を狭くして保険料負担を軽くしたのが、「車対車+A」のタイプです。これは、車対車の事故による損害が補償の対象となるだけでなく、「エコノミータイプ」では補償されない火災・爆発、台風・洪水・高潮、盗難などによる損害も補償の対象となっています(地震・噴火・津波による損害は補償されません)。自損事故と当て逃げだけが補償の対象外です。また、車対車の事故でも、相手方が特定できる場合のみを対象としています(相手方が特定できないと、当て逃げと同じことになるため)。なお、このタイプは、車対車を補償する部分はエコノミータイプと同じなので、「車対車+A」ではなく、「エコノミー+A」と表記される場合もあります。
では、そのエコノミーですが、ここまで触れた2つのタイプよりも補償の範囲を狭めて、車対車の衝突のみを対象としているのが「エコノミータイプ」です。「車対車+A」と同様に、相手方が特定できる場合のみを補償の対象としています。エコノミーは、火災・爆発、台風・洪水・高潮、盗難などの場合には一切補償が受けられません。保険料負担が軽い分、補償は小さいわけです。
これらの3つのタイプのうちどれがいいのかは、一概に言えるものではありませんが、自損事故や当て逃げなどでも、車の修理代には保険金を使いたいと思うのであれば、手厚い保障の一般的な車両保険を検討するとよいでしょう。
車種による保険料の違いも
なお、車両保険の保険料は、他の自動車保険同様、車種によって異なります。過去のデータから事故を起こしやすいスポーツタイプの車と、ファミリー向けのセダンタイプやワンボックスタイプの車とでは、事故の確率が違うので、同じ車両保険の保険金額だったとしても、保険料も違ってくるわけです。事故の確率の低い車種は保険料も安め、事故の確率の高い車種は保険料が高めとなります。
また、運転者の年齢区分や運転者限定の有無などでも保険料は違ってきますので、車両保険に加入するかどうか、加入するならどのタイプにするか、免責金額の設定や細かな契約条件をどうするかなど、総合的に検討することが重要でしょう。
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コラム執筆者プロフィール
菱田 雅生 (ヒシダ マサオ) マイアドバイザー.jp®登録 - 早稲田大学法学部卒業後、大手証券会社を経て独立系ファイナンシャルプランナーに。平成20年、ライフアセットコンサルティング株式会社を設立。
資産運用や住宅ローンなどを中心に、相談業務や原稿執筆、セミナー講師等に従事している。
ファイナンシャルプランナー 菱田 雅生
※この記載内容は、当社とは直接関係のない独立したファイナンシャルプランナーの見解です。
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