家族が増えたときの保険の考え方
家族が増えたときの保険というと、まず頭をよぎるのは生命保険や学資保険ではないでしょうか。今まで夫婦二人だったところに、自分たちが全責任を持って守らなければならない、赤ちゃんがやってきたのです。食べることにすら手助けが必要な存在です。自分達に万一のことがあったらどうやって生きていけばよいのでしょうか。今回は、家族が増えたときの保険の考え方として、子どもが生まれたときに心配する教育費と保険の考え方についてみていきます。
ライフプランから考えよう
子どもが生まれたときは、ライフプランが大きく変わるときです。ここが、ライフプランを作るのに最適なタイミングです。家族の将来を考え、希望を実現する計画を立てましょう。ここでいうライフプランとは、単に人生のイベントを羅列したものではありません。各イベントにかかるお金を調べ、将来にわたる家計の収支を計算し、実現可能なマネープランを検討する資料となるものです。ですから、現状と改善点、改善のための具体的な方策まで含んだものになります。
ライフプランは、人生のイベントに金額を付けて、人生の流れをお金の面から見ることができるように作ります。まずは、現在の収入はいくらで、生活費がいくらで、貯金がいくらあるという書き出しからスタートします。次に、これから起こるであろうこと、子どもの進学、マイホーム、これから実現したい夢、人生の終局をどう迎えたいかなど、すべてを書き出してみましょう。そして、その時期と必要な金額を調べて書き込みます。将来の臨時収入や年金、親からの相続もおおよその目星をつけて書き込んでみましょう。
このようにライフプランを考えていくなかで、子どもの教育費は何年後にいくらかかるかなどといった具体的に対応を考えなければならない問題が見えてきます。
教育費と学資保険
教育費は何年後にいくらくらいかかるのかが大体わかります。大学までの進学を想定しているケースで教育費の考え方をみていきましょう。
表1 学校種別の学習費総額
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(円)
資料:文部科学省「平成28年度子供の学習費調査」をもとに執筆者作成
表2 幼稚園2年、小学校6年、中学校3年、高等学校3年間の総額
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(円)
資料:文部科学省「平成28年度子供の学習費調査」をもとに執筆者作成
高校までの教育にかかる年間費用は表1で、4歳から幼稚園に入園した場合の18歳までの14年間にかかる費用の目安は表2で確認できます。これによると、幼稚園から高校まで公立に進学するとトータルで約519万円かかることになります。単純に14年で割れば年間約37万円(月額約3万円)となります。高校までの教育費年間約37万円を、家計費のなかでやり繰りすれば、大きな金額が必要になる大学入学時から4年間の金額を18歳までに貯めればよいことになります。
では、大学4年間の費用として、一体くらい貯めればよいのでしょうか。
表3 居住形態別・収入平均額及び学生生活費の内訳(大学昼間部)
※スクロールで表がスライドします。
(円/年)
資料:独立行政法人日本学生支援機構「平成26年度学生生活調査」をもとに執筆者作成
この調査データは全国平均となっていますので、首都圏はもう少し金額が上がります。また、子どもがどのような進路を望むかによって、かかる金額は大きく違います。
教育費は必要な金額と時期がある程度分かるので、学資保険や積立貯蓄で準備できます。学資保険の保障額や貯蓄額の目安として、表3を活用しましょう。例えば、自宅から私立大学に通うのに必要な学費は、年間約137万円となっています。4年間で約548万円となるため、必要な教育費は学資保険や貯蓄で約550万円を準備し、生活に必要な約40万円の費用は子どもにアルバイトをしてもらう、進路変更など想定外なことが起こったときの不足分は、奨学金や教育ローンを利用することなどを想定しておくのが教育資金計画です。
教育資金を貯める手段の一つである、学資保険の仕組みはどのようになっているのでしょうか。学資保険は保険料の一部が契約者(父親など)の生命保険の機能に使われています。その保険機能は、契約者にもしものことがあったときには、以降の保険料を免除したうえで、約束通りの満期保険金や祝い金などを受け取ることができるというものです。そして残りの保険料の部分を学資の積み立てに充てます。この保険の部分と積立部分のバランスはさまざまで、保障を厚くしたものや、貯蓄を厚くしたものなど各社違いのある商品を出しています。また、貯蓄と異なるのは学資部分が決まったときにしか受け取れないということです。一般的に18歳前後での受け取りが多く、そのときが来ないと受け取ることができないため、ついお金を使ってしまうかもしれない方にはおすすめです。
子どもの未来のために
子どもが生まれたら、親はその子が将来に渡って、健康で幸せに生きて行けるように守る責任があります。そして、そのためには周囲の大人の愛とともに、お金が必要です。子どもが生まれたら今までのように自由にお金が使えなくなるかもしれません。生活を見直さなければならないことも有るでしょう。でもとても大切な家族がやってきてくれたことは本当に喜びです。これまで以上に、しっかり仕事をして、健康にも留意して、子どもの教育のため、未来のために必要なお金を貯めましょう。そのうえで、それでも起こってしまう、不測の事態のために、保険に加入することも考えてください。
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コラム執筆者プロフィール
桑野 恵子 (クワノ ケイコ) - CFP®、1級ファイナンシャル・プランニング技能士
子ども3人と保険金を遺して夫が亡くなり、アパートを保険金で購入し、賃貸経営をはじめました。相談相手のいない不安からファイナンシャルプランナーになり、不動産の法律を学びました。誰に相談していいか、お困り方の疑問にお答えします。
- コーディネーター:(株)優益FPオフィス
ファイナンシャルプランナー 桑野 恵子
※この記載内容は、当社とは直接関係のない独立したファイナンシャルプランナーの見解です。
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