学資保険（子供保険）の種類

お子さまが生まれ、幸せいっぱい。そして可愛いわが子の将来の教育費を貯めたいと思い、学資保険（子供保険）を思い浮かべられた方は多いのではないでしょうか。しかし、学資保険にもいろいろな商品があります。ここでは、学資保険の2つのタイプと、教育費の貯蓄に利用できる学資保険以外の保険の種類についてご紹介します。

学資保険の2つのタイプ

学資保険には、貯蓄重視型と保障重視型の2つのタイプがあります。学資保険は教育費を貯めることが目的の1つですので、どちらのタイプも祝い金や満期保険金等を受け取れます。それぞれの違いを確認しましょう。

（1）貯蓄重視型

貯蓄重視型は、払込保険料に対してどれだけの割り合いで学資金（祝い金や満期保険金）を受け取ることができるかがポイントです。

図1　学資金（祝い金や満期保険金）の受け取り方の例

資料：執筆者作成

貯蓄重視型を選ばれる際には、払込保険料に対して祝い金や満期保険金をどれだけ多く受け取ることができるのかを割り合いで表す返戻率（戻り率）で比較することができます。

返戻率＝受取総額÷払込保険料総額×100

返戻率が100％以上であれば、払い込んだ保険料の金額よりも増えるということになります。祝い金は、据え置きできる商品もあります。

貯蓄重視型を選ぶとまったく保障がないというわけではありません。学資保険は基本的に契約者が万一亡くなられた場合や、保険会社所定の高度障害状態になられた場合、それ以降は保険料を支払わなくてよいという保険料払込免除という「特則」をつけることができる商品がほとんどです。保険料払込免除になっても祝い金や満期保険金は予定通り受け取ることができます。

（2）保障重視型（医療保障、養育年金等）

契約者に万一のことがあったとき、以後の保険料が免除になる点は貯蓄重視型と同じです。それに加えてお子さまの入院等に備えることができる医療保障や、契約者に万一のことがあったときにお子さまの生活を支える養育年金の保障がある商品もあります。

図2　保障重視型のイメージ図

資料：執筆者作成

※保障重視型は掛け捨ての保障がついている分、貯蓄重視型より返戻率が低くなります。

保障重視なら終身保険で教育費の準備も可能

親が万一の際の保障を重視されたい方は、「低解約返戻金型終身保険」も検討しましょう。低解約返戻金型終身保険は、実は学資保険と同じように貯蓄性がある保険なのです。低解約返戻金型終身保険は払込期間中の解約返戻金が抑えられ、払込期間終了後は返戻率が100％を超えるものが多く、教育費を準備するには適していると考えられます。また、払込期間中の解約返戻金が抑えられていることにより、一般の終身保険よりも保険料がお手頃になっていることも大きな特徴です。

図3　低解約返戻金型終身保険のイメージ図

資料：執筆者作成

学資保険との大きな違いは満期がないということです。また、学資保険の場合は契約者を親、被保険者をお子さまとして契約しますが、低解約返戻金型終身保険の場合は契約者、被保険者ともに親にして契約をすることで、その親に万一のことがあったとき、死亡保険金をすぐに受け取ることができることも異なる点です。

次に、教育費として積み立てたお金はいつ受け取ることができるのか見ていきましょう。低解約返戻金型終身保険は学資保険のような満期がないため、自分で解約して解約返戻金を受け取るという形になります。払い込んだ保険料よりも解約返戻金が多くなるタイミングは商品やプラン等によって異なりますが、基本的に保険料払込期間終了後になりますので、保険料の払込期間を10年や15年に設定できる商品が教育費準備には適しています。

利回り重視の投資性の強い保険の種類

利回り重視の投資性の強い保険の種類として、外貨建て保険や変額保険があります。それぞれの特徴をご紹介します。

（1）外貨建て保険

外貨建て保険にも終身保険や養老保険があります。外貨建て保険の魅力は、2018年3月現在、利回りが円建てと比べるとよいことが多いこと、為替相場によっては利回り以上の利益が得られる可能性があることです。注意点は為替変動による影響（為替リスク）を受けることや、外貨と円の換算の際に手数料がかかることです。

円高のときに解約返戻金や満期保険金を円で受け取ると、払込保険料総額より受け取る額が小さくなり、損をすることもありますので注意が必要です。米ドル建ての保険に加入した場合、解約返戻金や満期保険金を米ドルのままで受け取ることで為替リスクを防ぐことができます。お子さまの海外留学を考えておられる場合等は、米ドルでの受け取りが可能かどうかも確認しましょう。

（2）変額保険

変額保険は利回りが決まっておらず、運用実績に応じて満期保険金や解約返戻金が増減します。変額保険の魅力は国内や海外の資産への投資をすることで高い利回りが期待できる場合があることです。注意点は運用実績が思わしくないと、解約返戻金や満期保険金を受け取ったとき元本割れになる可能性があることです。

学資保険や学資保険として利用できる保険商品はさまざまですが、教育費の貯蓄目的で加入する場合は必要なときに受け取ることができるかどうかということも大切なポイントです。学資保険、低解約返戻金型終身保険は円で確実に決まった時期に決まった金額を受け取ることができる点が安心です。外貨建て保険は為替リスクがあるものの高利回りになる可能性がありますし、変額保険は資産運用をしながら保障も備えられる点が魅力的です。それぞれ利点・注意点がありますので、十分に内容を理解した上で組み合わせて検討されてみてはいかがでしょうか。

執筆者プロフィール

加藤　葉子カトウ　ヨウコ

女性とシングルマザーのお金の専門家

離婚を機にお金の勉強を始め、3年間で子どもの教育費を貯める。自身のブログ「女性とシングルマザーのお金の話」に全国の女性から切実なお金の相談が寄せられ、NHKのWEBコラム執筆を機に独立。3年間で1,500件以上の相談を受けている。現在は、女性ファイナンシャルプランナーのための実務講座やオンライン講座を配信中。
マイライフエフピー代表