ねんきん月間に考える老後の備え
ねんきん月間ってなに?
みなさんは「ねんきん月間」という言葉を聞いたことがありますか?
ねんきん月間とは、日本年金機構が厚生労働省と協力して、公的年金制度に対する理解を深めてもらう目的で毎年11月をねんきん月間と位置づけたものです。
また厚生労働省では、11月30日(いいみらい)を「年金の日」とし、趣旨に賛同した団体等と協働して、年金記録や年金受給見込額を確認し、高齢期に備えその生活設計に思いを巡らしてもらうことを呼びかけています。
今回のコラムでは、ねんきん月間を迎えるにあたり、みなさんが将来と年金についてゆっくりと考えるきっかけにしていただけるように、改めて年金にまつわるお話をしましょう。
年金ってなにで確認できるの?
みなさんは将来どれくらいの年金を受け取ることができるのでしょうか?ご自身で確認ができる方法の主な2つをご紹介しましょう。
ねんきん定期便
日本年金機構から毎年誕生日月に送付されるハガキや封書です。保険料納付額や年金加入期間、加入実績に応じた年金額等を確認することができます。
ねんきんネット
日本年金機構が提供しているサービスで、「ねんきんネット」に登録しておけばインターネットを通じていつでもどこでもご自身の年金情報を確認することができます。
お手元にねんきん定期便がないという方は、この機会にねんきんネットを利用してみてはいかがでしょう。
老後2,000万円問題
老後の備えと年金について世間で大きく注目を集めたのは「老後2,000万円問題」ではないでしょうか?
メディアでも度々取り上げられていましたが、報道の仕方により、なぜ老後に2,000万円必要なのか、誰もが必要なのか、メディア報道からは全体像が見えにくく私自身の見立てでも「2,000万円」だけが一人歩きすることには違和感がありました。
なぜなら、老後にどれだけの備えが必要かは、今までの生活スタイルと、老後にイメージしている生活スタイルによって大きく変わるからです。
日本人の平均寿命は延びており、これからは「人生100年時代」になるといわれています。
厚生労働省「令和4年簡易生命表の概況」[1]によると、平均寿命は、男性が81.05歳、女性が87.09歳で、厚生労働省「健康寿命の令和元年値について」[2]によると、令和元年の健康寿命(健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間)は、男性が72.68歳、女性が75.38歳となっており、平均寿命だけが延びているわけではありません。
人生100年時代に向けて高齢者雇用の促進が加速し、今では70歳まで働ける会社も増えています。
人口が減少する中で少子高齢化が急速に進展し、働き方や年金受給額の変動等により、「65歳で定年、退職金と年金で悠々自適の老後生活」という時代ではなくなってきています。
これは、「今までの社会が良かった」「これからの若い世代が苦しくなる」ということではなく、「働き方やライフスタイルを柔軟に設計できる選択肢が増えてきている」ということだと私は考えています。
今からできる老後の備え
備えと一言でいっても、生活、健康、家族、介護など考えなければならないことがたくさんあります。
その中でも「老後の備え」と聞いて一番初めに思い浮かぶことは、老後資金の準備ではないでしょうか?ご自身がお仕事を引退した後の生活資金や、介護を受けるための資金、通院するための資金など、考えれば考えるほど不安になりますよね。
今からできる備えとして、毎月の給与から貯金をしたり、iDeCoやNISAなどを活用して資産運用をしたり、介護や通院に対応できる保険の見直しをしたり、他にも、健康を維持するための食事管理や運動習慣の改善など、今からできる備えはたくさんあります。
「まだまだ先のことだから」「今は困ってないからきっと大丈夫」と思うかもしれませんが、一度、将来に向けてご家族とお話ししてみる機会を作ってみてはいかがでしょうか?
もし、「なにから始めたらいいのか分からない」ということであれば、大切な資産と将来設計について一緒に考えてくれる保険のプロや、ファイナンシャルプランナーに相談してみることをおすすめします。
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執筆者プロフィール
末藤 智也スエフジ トモヤ
2級ファイナンシャル・プランニング技能士、AFP
株式会社みらいている 代表。大学卒業後、約15年間民間企業にて人事職として勤務。2019年に個人事業主として開業し、2021年に法人化。主に「働き方改善」「キャリアプランニング×ライフプランニング」をテーマとしたセミナーや研修の活動を行っている。
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- ※ この記載内容は、当社とは直接関係のない独立したファイナンシャルプランナーの見解です。
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- ※ 掲載日は2023年10月26日です。