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世界各国は、グローバル人材をどうやって育てているのか?

藤沢 久美さんコラム-第6回

日本で、グローバル人材育成はできるのか?

日本で議論されるグローバル人材とは

最近、経営者、起業家、政治家、大学教授、スポーツ選手等、どのような方々とお会いしてもグローバル人材が話題になることが多々あります。そして誰もが、これからはグローバル人材が必要だと語ります。では、グローバル人材とはどのような人材を指すのでしょうか?

グローバル人材とは、第一に多様な価値観を受け入れることができる人材といわれています。グローバル化の時代には、国籍や言語のみならず、文化や価値観の違う人たちと共に働いたり、協力し合ったりすることが不可欠となります。その際に、自分たちの価値観に基づいた意見のみを主張していると、不協和音が広がり前に進みません。そのような意味でも、グローバル人材として最も重要なことは、多様性を受容する力といえます。

しかし、この多様性を受容するということは、いろんな人の考えを我慢して受け入れるという意味ではありません。自分とは異なる価値観を理解しようとすることができるかどうかが大切なのです。そのためには、自分自身もまたしっかりとした価値観を持っておく必要があります。自分自身の価値観がしっかりしないまま、他の人の価値観を理解することはできません。そのような意味では、日本人であるという意味を知ることや、日本人としてのアイデンティティもまた、グローバル人材を育成する上では重要となります。

では、語学はどうでしょうか?多くの方々とお話しをすると、「英語が話せることはもちろん重要だが、英語が最も重要というわけではない」と、誰もがおっしゃいます。英語はあくまでも道具であり、何よりもその道具を使って話すための中身が最も重要であるという指摘が数多くあります。

確かにその通りであり、世界には英語を話す人がたくさんいますが、その人たちすべてが活躍しているわけではありません。したがって、中身を磨くことと英語力を磨くこと、これは車の両輪といえるでしょう。

サマーダボス会議で、教育について語る下村博文文部科学大臣

日本政府も動き出したグローバル人材育成

こうしたグローバル人材像を受けて、現在、政府ではグローバル人材育成のための教育の仕組みづくりを始めているようです。9月11日から中国の大連で開催されたサマーダボス会議に出席された下村文部科学大臣は会議の席で、日本においても、中国や韓国と同様に小学校3年生から英語教育を導入しようと考えていること、そして、同時に日本人としてのナショナルアイデンティティの教育も導入していくことを発言されていました。

加えて、日本から海外へ留学する日本人と、海外から日本へやってくる外国人留学生の数を、今後倍増する計画をしていることも発表されました。家庭の経済力に関わりなく、海外での体験を求める学生には、1年未満の留学の機会を国の費用で広く提供したいと下村大臣は発言されていました。

この発言について、会議に参加していた日本の企業経営者や、日本と縁のある外国人たちからは、賛同と期待の声が上がっていました。

入試と入社の壁が変わる日は近い

さて、こうした下村文部科学大臣のお考えには賛同する方が多いでしょうが、これまでも楽天が社内言語を英語にした頃から、グローバル人材の必要性は世間で議論されてきたはずです。それなのになぜ、海外体験をする学生が増えなかったのでしょうか?

このことについても、様々な方々と議論しました。見えてきたのは、大学入試と就職試験という2つの壁です。高校以下の学校では、大学入試に有利な勉強を優先させ、入試と関係ない勉強には力を入れない傾向があります。また、大学は就職に有利となること以外には力が入りません。海外での体験は、大学入試にも就職にも有利であると捉えられていないのです。

企業経営者たちの誰もが、「海外体験のある人材を求めている」と言いますが、実際には、大学の偏差値等が優先されているように見受けられます。しかし、これからは企業から、大学の偏差値に関わらず、海外体験をしている人材を優先して採用するという新たな採用の枠組みを提示してもらう必要があります。実際に、大手財閥企業の経営者の中には、大学卒業後3年間を新卒として扱い、海外体験者を優先して採用するという財界宣言を出すことを考えている方もいらっしゃいました。

親の立場にたてば、子供が将来安心して生活できるような大企業へ就職することを優先し、そのために高校や大学を選ぶ傾向があります。こうした親の子供への思いが逆に、子供たちにとっての21世紀に活躍するグローバル人材になる道を閉ざしている場合も多々あるようです。

入試と入社という2つの壁は、おそらくこの数年以内に大きく変化すると思われます。企業も世界市場の中でどのような人材を採用するかが死活問題となりつつあります。もちろん優秀な外国人を採用するという選択をする企業も出てくるでしょうが、やはり働く人の多くが未だ日本人である企業にとって、優秀な日本人を採用したいと考えるのは自然です。

過去の価値観から未来の価値観へ、大人の役割

政府も動き出しました。企業の採用に対する考え方も変わりつつあります。子供の責任を持つ大人として、子供たちがこれからどのような社会で活躍することになるのかを知り、その未来の社会で活躍できる能力を身につけることができるように、大人たちは子供を導かなければなりません。

もう一度お伝えしますが、グローバル人材とは英語を話せる人材のことではありません。多様な価値観を受け入れる力がある人材です。そして、そのためには本人が自ら個性を際立たせる必要があります。みんなと同じ学力を目指す時代は終わろうとしています。一人ひとりにとって伸ばすべき能力は違います。それを見いだし、それを伸ばすことに手を貸すこと、それが大人の役割であり、グローバル人材育成の第一歩です。

学校教育の変化の前に、民間でグローバル人材育成のための様々な教室や学校も生まれてきていますし、海外体験は子供に大きな気づきを与える機会となります。大切な我が子だからこそ、新たな未来に向かって、新しい価値観で未来を切り拓く機会を与えてあげて欲しいと願います。

PROFILE

藤沢 久美

藤沢 久美(フジサワ クミ)

シンクタンク・ソフィアバンク 代表

国内外の投資運用会社勤務を経て、1996年に日本初の投資信託評価会社を起業。1999年同社を世界的格付け会社に売却後、2000年にシンクタンク・ソフィアバンクの設立に参画。2013年、代表に就任。2003年社会起業家フォーラム設立、副代表。2007年ダボス会議を主宰する世界経済フォーラムより「ヤング・グローバル・リーダー」に選出。法政大学大学院客員教授、情報通信審議会委員など公職も多数兼務。NHK教育テレビ「21世紀ビジネス塾」のキャスターを3年間務め、その間、全国の中小企業やベンチャー企業の取材を行ってきた。同時に、様々なテレビ・ラジオ・雑誌等を通じて、これまでに1000社を超える全国の元気な企業の経営者のインタビューと現場の取材を行い、各種メディアや講演を通じて発信している。

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