40代は保障の見直しどき 子どもの成長などに合わせてスリムに
- 論語「四十にして惑わず」の通り、ものの考え方やライフスタイルが固まってくる40代。自分やパートナーのキャリア、子どもの進路など、将来進む道が見えてくる時期でもあります。今の暮らしにあった備えになっているか、保険の棚卸を行いましょう。無駄な保障があなたの家計を苦しめているかもしれません。
【1】死亡保障は子どもの成長に応じて減らしていく
生命保険(死亡保険)は、主に万一のとき家族の暮らしを支えるために加入するものですが、ずっと同じ保障を備えておく必要はありません。残された家族がひとり立ちするまでの備えがあればいいので、死亡保障のピークはいちばん下の子どもが生まれたとき。その後、家族の成長とともに死亡保障額は少しずつ減っていきます。
20~30代で結婚・出産し、それを機に保険に入り、そのままになっている人は死亡保障をかけすぎているかもしれません。適切な死亡保障額を計算し直してみてください。
では、イメージをつかんでもらうために、今後かかる教育費をもとに死亡保障をプランニングしてみましょう。下記はそれぞれの段階でかかる教育費の例です。空欄になっている右側の図を埋めて、あなたの家計の教育費を考えてみましょう。
(※保育料は自治体によって異なるため、神奈川県横浜市の例をあげています)
<表1:幼稚園・保育園の1年間にかかる学費>
(単位:万円)教育費の統計値 | わが家の教育費 | |||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
学校教育費 | 学校給食費 | 1年間の合計 | 第1子 | 第2子 | 第3子 | |||
幼 稚 園 |
公立 | 13 | 1.9 | 14.9 | (1年間の教育費) |
(1年間の教育費) |
(1年間の教育費) |
小計 |
私立 | 35.8 | 2.8 | 38.6 | |||||
今後必要となる期間(年) | ( )年 | ( )年 | ( )年 | |||||
最低限用意したい教育費 (1年間の教育費×必要な期間) |
(1子+2子+3子) |
|||||||
保 育 園 |
3歳未満 | 53.4 | - | 53.4 | (1年間の教育費) |
(1年間の教育費) |
(1年間の教育費) |
小計 |
今後必要となる期間(年) | ( )年 | ( )年 | ( )年 | |||||
3歳以上 | 32.2 | - | 32.2 | (1年間の教育費) |
(1年間の教育費) |
(1年間の教育費) |
||
今後必要となる期間(年) | ( )年 | ( )年 | ( )年 | |||||
最低限用意したい教育費 (1年間の教育費×必要な期間) |
(3歳未満+3歳以上) |
(3歳未満+3歳以上) |
(3歳未満+3歳以上) |
(1子+2子+3子) |
- ※出典:文部科学省「子どもの学習費調査(平成22年度)」より
- ※統計値は神奈川県横浜市の平成24年度保育料(第1子) 親の年収500万円の場合(配偶者控除等なし、社会保険料控除33万円、生命保険料控除5万円)
- ※兄弟姉妹で認可保育所、幼稚園、認定こども園に通っている場合、2人目の保育料は割引に、3人目以降の保育料は無料になります(神奈川県横浜市の場合)
<表2:小学校~高校の1年間にかかる学費>
(単位:万円)教育費の統計値 | わが家の教育費 | |||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
学校教育費 | 学校給食費 | 1年間の合計 | 第1子 | 第2子 | 第3子 | |||
小 学 校 |
公立 | 5.5 | 4.2 | 9.7 | (1年間の教育費) |
(1年間の教育費) |
(1年間の教育費) |
小計 |
私立 | 83.5 | 4.6 | 88.1 | |||||
今後必要となる期間(年) | ( )年 | ( )年 | ( )年 | |||||
最低限用意したい教育費 (1年間の教育費×必要な期間) |
(1子+2子+3子) |
|||||||
中 学 校 |
公立 | 13.2 | 3.5 | 16.7 | (1年間の教育費) |
(1年間の教育費) |
(1年間の教育費) |
小計 |
私立 | 99 | 0.9 | 99.9 | |||||
今後必要となる期間(年) | ( )年 | ( )年 | ( )年 | |||||
最低限用意したい教育費 (1年間の教育費×必要な期間) |
(1子+2子+3子) |
|||||||
高 校 |
公立 | 23.8 | - | 23.8 | (1年間の教育費) |
(1年間の教育費) |
(1年間の教育費) |
小計 |
私立 | 68.5 | - | 68.5 | |||||
今後必要となる期間(年) | ( )年 | ( )年 | ( )年 | |||||
最低限用意したい教育費 (1年間の教育費×必要な期間) |
(1子+2子+3子) |
- ※出典:文部科学省「子どもの学習費調査(平成22年度)」より
<表3:大学の初年度納入金>
(単位:万円)教育費の統計値 | わが家の教育費 | |||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
第1子 | 第2子 | 第3子 | ||||||
大 学 |
初年度 納入金/年 |
国立大学 | 81.8 | (1年間の教育費) |
(1年間の教育費) |
(1年間の教育費) |
小計 | |
私立 | 文系 | 115.6 | ||||||
理系 | 149.7 | |||||||
2年目以降の 納入金/年 |
国立大学 | 53.6 | (1年間の教育費) |
(1年間の教育費) |
(1年間の教育費) |
|||
私立 | 文系 | 90.3 | ||||||
理系 | 122.9 | |||||||
最低限用意したい教育費 (初年度納入金×初年度必要な期間+ 2年目以降納入金×2年目以降必要な期間) |
(1子+2子+3子) |
- ※出典:文部科学省「平成23年度私立大学入学者にかかる初年度学生納付金平均額」、国公立学費データ(平成24年度)より
- ※百円単位は四捨五入しています
幼稚園に入園する前の子ども1人にかかる学費(幼稚園=私立3年通園、小学校~中学校=公立、高校=私立、大学=私立文系)は約816万円です。これは学校に納める純粋な教育費で、その他に部活動にかかる費用や塾などの習い事、大学の下宿代、制服・体操服代、私立校の寄付金などは別途かかります。
この子どもが12歳(新年度より中学1年生)になると、その後必要となる教育費は約641万円です。15歳(新年度より高校1年生)では約592万円、18歳(新年度より大学1年生)では約387万円になります。さらに、子どもを育てるために必要な生活費も子どもが社会人として巣立つまでの期間にあればいいのですから、子どもの成長に伴って必要資金は少なくなります。
子どもは成長するにつれ学費が上がるので、死亡保障を上乗せしなければいけないと錯覚してしまいがちです。しかし、子どもの成長に応じて死亡保障は減額できますので、こまめに見直すことで余分な出費を防ぐことができます。
とはいえ、子どもの進路を変えた場合は要注意です。生まれたときには想定していなかった進路(例えば、私立中学を受験することになったなど)は死亡保障・医療保障の再計算をしてください。親が入院したり、万一のことがあったりしたことによって私立校に通えなくなるケースは少なくありません。学費負担の大きい私立に進学する場合はいざというときの備えを万全にしておきたいものです。
【2】生きかたの覚悟が決まった時が保障の見直しどき
40代は人生の折り返し地点です。さまざまな決断を迫られる年頃でもあります。持家にするか、賃貸暮らしを貫くか。婚活や不妊治療をいつまで続けるか。転職や独立をする、しない、など、大きなターニングポイントとなることが多くみられます。
生命保険の見直しでいうと、持家にするかしないかで、必要な死亡保障額が大きく異なります。持家の場合は住宅ローンを組む時に団体信用生命保険に加入することが大半です。これに加入できれば万一のときにローンの残債相当の保険金が銀行など金融機関に支払われるので、家族にローンなしの家を残すことができます。つまり、「家を買う=生命保険の死亡保障を減らすことができるタイミング」なのです。
結婚をしないと決めた場合、自分に万一のことがあっても生活に困る家族がいないケースが多いので、死亡保障の優先順位は格段に下がります。三大疾病保障や介護保障などの生前保障と一体となった終身保険に切り替えるなど、生きるための保険にシフトチェンジしていきましょう。
不妊治療をやめて子どものいない生活を選択した場合は、パートナーの就業状態によって生命保険の見直しを行いましょう。パートナーが専業主婦(夫)の場合、再就職するまでに時間がかかる可能性があります。だいたい5年分の生活費相当額を死亡保障として備えておくことをおすすめします。お互いに万一のことがあったとしても自力で生活していける場合は、死亡保障よりも医療・がん・介護保障に主軸を置くのが吉。シングル同様に、生きるための保険に切り替えるのがよいかもしれません。
転職や独立をした場合は、これまでと保障の必要性が変わる可能性が高くなります。特に会社員から個人事業主になると、それまで当り前のように保障されていた健康保険の傷病手当金や死亡退職金(弔慰金)、遺族厚生年金などがもらえなくなります。自助努力で備えておかなければいけない部分が増えるのです。会社員から独立開業をする場合は会社を辞める前にファイナンシャル・プランナーなどに相談してください。独立をすることで家計にどのようなインパクトを与えるか、事前に調べておくことをおすすめします。
コラム執筆者プロフィール
柳澤 美由紀(やなぎさわ みゆき)
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コラム執筆者プロフィール
柳澤 美由紀(やなぎさわ みゆき ) -
CFP®/1級ファイナンシャル・プランニング技能士
関西大学社会学部卒。大学時代に心理学を学び、リクルートグループに入社。求人広告制作業務に携わった後、1997年ファイナンシャルプランナー(FP)に転身する。
相談件数は800件以上。家計の見直し、保険相談、資産づくり(お金を増やす仕組みづくり)が得意で、ライフプランシミュレーションや実行支援も行っている。
家計アイデア工房 代表
※この記載内容は、当社とは直接関係のない独立したファイナンシャルプランナーの見解です。
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