地震大国日本の地震保険制度
地震保険の歴史
地震保険は、地震大国日本では保険会社のリスクが高すぎるために、長い間普及することがありませんでした。しかし、1964年の新潟地震を契機に、政府が一部負担する形で地震保険が普及するようになりました。
最近では、火災保険の上乗せとして多くの損害保険会社が地震保険を販売しています。
地震保険とは
火災保険では、火災や風災、水害等の建物の被害について補償されますが、地震によって発生した損壊は免責とされています。阪神大震災のときは、火災保険に入っていた人の住居が地震で起きた火事で焼けてしまっても、ほとんど保険金は出ませんでした。
地震保険では、地震・噴火またはこれらによる津波を原因とする火災・損壊・埋没・流出による被害が補償されます。
今回はそのなかでも、マンションの地震保険がどうなっているのか詳しくみてみましょう。
マンションの分類
(1)分譲マンション
マンションは、専有部分・共用部分・敷地利用権で構成されています。
マンションは戸建住宅とは違い共同で一つの建物に人々が居住していますので、専有部分以外に保険をかける場合は、管理組合との話し合いになります。
(2)収益マンション
いわゆる賃貸マンションのことで、オーナーあるいは不動産業者が管理している場合が多いです。
マンション地震保険とは
(1)分譲マンション
分譲マンションに保険をかける場合、上記の通り各部位があるため、一般的に専有部分は各自で、共有部分は管理組合で保険をかける一方、敷地は土地なので保険対象外となります。
保険料は、地域と建物の構造によって異なります。マンションの場合は非木造ですので、木造に比べると一般的に保険料が割安になります。各種の割引制度が利用できる場合もありますので一度確認してみましょう。
(2)収益マンション
収益マンションは、オーナーが建物全体に火災保険や地震保険をかけます。借主は一般的には契約時に借家人賠償責任保険特約のついた家財保険をかけます。
ここで一つ疑問なのは「オーナーがマンション全体に火災保険や地震保険をかけているから、借主は保険をかけなくてもいいのではないか?」ということです。しかし、オーナーが建物全体にかける保険では、借主の家財は補償されませんし、料理をしていて火を出して部屋を燃やして損害を発生させた場合に負う法律上の賠償責任についても補償はされません。借主は自身の家財に対する補償も欲しいのであれば、個別に火災保険に加入する必要がありますし、そうでなくても借家人賠償責任保険特約のある家財保険に加入する必要があります。
地震保険の加入状況
都道府県別世帯地震保険加入率の推移の全国平均を見ると、約10%(1994年度末)~約30%(2011年度末。一番加入率が高い宮城県は43%)で推移しています。この結果から、年々加入率が増えてはいるものの、意外と地震保険に加入している人が少ないことがわかります。
収益マンションに対する地震保険の加入率も非常に少なく、借主の家財についても地震保険はほとんど加入されていないと思われます。
同じく、分譲マンションや戸建てについても地震保険が普及していないことがわかります。東南海の大地震が来るのではないかと叫ばれている昨今。マンションでは区分により保険契約者が違うこともありますので、地震保険に関しては早めの対策が必要です。
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コラム執筆者プロフィール
徳弘 雅志 (トクヒロ マサシ) マイアドバイザー.jp®登録 - 大学卒業後、大工の修行を積み、2004年父親の経営する四国ハウジングに就職する。
宅建、ファイナンシャルプランナーを取得し2007年M&YFPオフィスを設立する。
現在、空きマンション等の空室改善コンサルティング事業を展開中。
(有)四国ハウジング専務取締役、M&YFPオフィス代表として活躍中。
ファイナンシャルプランナー 徳弘 雅志
※この記載内容は、当社とは直接関係のない独立したファイナンシャルプランナーの見解です。
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