海外旅行保険の上手な選び方と注意点
自分に合った海外旅行保険はどのような基準で選べば良いのでしょうか。
2023年5月8日より新型コロナウイルス感染症が「5類感染症」となった今、海外旅行保険の上手な選び方と注意点について解説します。
上手な選び方は?チェックすべき4つのポイント
多くの種類から自分に合った海外旅行保険を上手に選ぶには、次の4つのポイントがあります。一つひとつ確認しながら、ベストなプランを選びましょう。
ポイント(1)誰が契約するのか?
補償の対象となる人(被保険者)が1人の場合は個人プランになりますが、家族や複数で旅行する場合は、ファミリープランやグループプランに契約することで割安になる可能性があります。保険料を重視したい人は、まずチェックしましょう。
ポイント(2)補償額は十分か?
一般的に海外の治療費は、日本に比べ高額です。最終的に支払いがドル換算になることを考慮すると、「治療費用」は為替の影響を受けても安心できる「無制限」が無難です。
例えば、ニューヨーク市マンハッタン区の医療費は同区外の2倍から3倍ともいわれており、専門医の診察費が1,000ドルを超えることがあります。入院した場合は室料だけで1日あたり数千ドル、入院費が1日あたり1万~2万ドルにおよぶこともあるそうです。
そのため、渡航前に十分な補償額の海外旅行保険で備えておく必要があります。渡航先の治安や衛生面にもよりますが、少なくとも1,000万円以上の補償を準備しておくと良いでしょう。
クレジットカードの補償もチェック渡航までのスケジュールに余裕があるときは、クレジットカードに海外旅行保険が付帯されていないか、付帯されている場合は、どんな補償内容かをチェックしておきましょう。
もし、クレジットカード付帯の海外旅行保険の補償が十分でない場合は、不足する分だけ海外旅行保険で備える方法があります。請求するときにクレジットカード会社と保険会社に連絡をする手間は発生しますが、保険料を抑えながら、合理的に補償を備えたいという人にはおススメです。
組み合わせの例
※スクロールで表がスライドします。
補償内容 | クレジットカード の補償 |
海外旅行保険 の補償 |
補償の合計 |
---|---|---|---|
傷害死亡・ 後遺障害 |
300万円 | 700万円 | 1,000万円 |
治療費用 | × | 1,000万円 | 1,000万円 |
疾病死亡 | × | 500万円 | 500万円 |
賠償責任 | 1,000万円 | × | 1,000万円 |
携行品損害 | 30万円 | 30万円 | 60万円 |
救援者費用 | 200万円 | × | 200万円 |
資料:執筆者作成
なお、クレジットカードの種類によっては、旅行代金をそのカードを使って支払った場合のみ補償の対象としているケースがあるので注意しましょう。
ポイント(3)サポート体制は安心できるか?
不慣れな土地でトラブルに遭ってしまったら冷静ではいられません。そのようなときに頼れるのが24時間対応の日本語でのサービスです。
多くの保険会社で、病気やケガをしてしまったときの病院の手配など、時差を気にせずサポートを受けられます。また、保険会社の提携病院であれば、保険会社から直接医療機関に治療費が支払われるキャッシュレスサービスを利用できます。
しかしながら、提携している医療機関のエリアと数は保険会社によって大きく違います。特に病気やケガを心配する人は、提携医療機関が充実しているかを確認しておきましょう。
ポイント(4)新型コロナウイルス感染症にどの程度対応しているか?
多くの保険会社では、渡航先の病院でのPCR検査費用や、治療費用が補償の対象となっています。ただし、詳細の取り扱いは保険会社ごとに違うので注意が必要です。
他にも、「感染して入院した場合に、旅行キャンセル料が補償されるプラン」や、「渡航先で感染して治療を受ける場合に、保険期間が自動的に延長されるプラン」を選ぶことができます。旅行前に渡航先の感染状況をしっかり確認しておきましょう。
知っておきたい注意点について
安心のために契約したのに「補償が受けられなかった」では本末転倒です。海外旅行保険で補償されない一般的なケースを知っておきましょう。
補償されない例
- 危険なスポーツによるケガ(スカイダイビングなど)
- 妊娠、出産にかかわる治療
- 持病や既往症が悪化した
- 歯の治療
ただし、特約を付帯することで、妊娠22週未満の場合に補償する保険会社もあるので、当てはまる人は、保険会社や保険代理店に相談してから契約を検討してください。
家族への連絡も忘れずに
以上のように、何を重視するかによって自分に合ったプランが変わります。海外旅行の予定が決まったら、今回のコラムを参考にして慎重に選ぶことをおすすめします。
また、忘れがちなのが、日本にいる家族への連絡です。納得できる保険が契約できたら、出発する前に保険会社の名前と緊急連絡先を必ず伝えておきましょう。
執筆者プロフィール
辻󠄀 理恵ツジ リエ
1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP®、一種証券外務員
地元名古屋を中心に活動しているファイナンシャルプランナー。損害保険会社勤務を経て、証券会社や生損保代理店など約20年の金融キャリアを積む。自身の入院経験をもとに、ピンチのときでも困らない家計の仕組みづくりを提案している。得意分野は保険の見直しと資産運用。
株式会社FPフローリスト 所属
- ※ この記載内容は、当社とは直接関係のない独立したファイナンシャルプランナーの見解です。
- ※ 掲載されている情報は、最新の商品・法律・税制等とは異なる場合がありますのでご注意ください。
- ※ 掲載日は2023年5月30日です。
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