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伊藤 洋一の視点

伊藤 洋一さんコラム - 第3回

日本、強めたい東南アジアとの関係

実は筆者は、「日本はアジアの国だからアジアでこそ存在感を発揮すべきだ」的な「アジア重視論」にはあまり与しない。世界には200近く国があって、その中には日本の技術やシステム(インフラなど)を欲している国もあれば、日本に来たい潜在的観光客を数多く抱えている国もある。それらの国と幅広く貿易・観光で関係を深めることが、将来の日本にとっての賢明な道だと思っている。

しかしその私でさえ、中国より南、バングラデシュより東のアジア地域を指す「東南アジア」諸国との関係は、将来の日本にとって非常に重要だと思っている。具体的国名を挙げると、インドネシア・カンボジア・シンガポール・タイ・フィリピン・ブルネイ・ベトナム・マレーシア・ミャンマー・ラオス、つまりASEAN諸国だ。その一つのミャンマーについては前回取り上げたが、何よりも成長余力の高い国が多い。インドネシアしかり、フィリピンしかりであり、ベトナムも成長ラインに乗っていると思う。

まず人口だ。戦後の日本もそうだが、経済成長で非常に重要な要素となる。ASEANの人口は6億人を数える。かつ今後も大幅に伸びると思われる国が多い。例えばインドネシアは今世紀の半ばには3億人(現在は2億3,800万人)に達すると思われている。今のアメリカと同じ規模だ。フィリピンは現在9,400万人の国だが、同じく今世紀半ばには1億3,000万人になると見込まれている。

かつ重要なのは国民の平均年齢が、世界の他の地域に比べて非常に若いことだ。日本人の平均年齢は男女合わせて既に45歳前後となっているが、東南アジア諸国では30歳前後の国も多い。私が行った中ではベトナムの平均年齢は29歳に達していなかったし、インドネシアもそれより少し上くらいである。これらの国では一般的に「人口ボーナス」(生産年齢人口に対し年少人口や老年人口が少ない状態を指し、労働力が豊富なため高度経済成長が可能な状態)が成長要因として働く。

ASEANは既に「貧しい国の集まり」ではない。先進国が資本と技術を携えながら投資を行った結果、常用雇用と定期所得が生まれ、富裕層も生まれ、消費が盛り上がっている。重要性は今後一段と高まる。第一に、ASEANは中国からの工場移転の受け皿となる。既に中国の湾岸地帯では一般労働者の賃金は月3万円前後となり、また人手不足もあって、中国は「世界の工場」の地位を失いつつある。受け皿となるのはベトナムであり、ミャンマーだ。人々の労働意欲は高く、中国の労働者のように露骨な要求はあまりしない。労働賃金は中国の半分以下だ。

つまりASEANは二つの意味で日本にとって重要、ということだ。リスクの低い、政治的安定度を見込める「投資の受け皿」であり、加えて今後成長が期待できる「輸出市場」としての重みを持つということだ。どの国でも、消費者が豊かになると日本企業が得意とする高品質品を欲するようになる。「ジャパン・クオリティー」は、何かと日本と衝突する中国でも消費者の高い評価を得ているが、東南アジアの消費者も今後その傾向を強めるだろう。

日本とASEAN諸国は「win-win」の関係樹立が可能だ。世界第2位の経済大国になり、対外的には威圧的な態度を強める人口大国・中国とはともに微妙な関係にある。中国が13億という巨大なマーケットを持つが故に、周辺国にとって“磁力”があることは確かだ。しかし、その「遅れてきた帝国主義」的な強引なスタンス(軍事・外交など)は、周辺国にとっては不快だ。つまり、日本と東南アジア諸国は、対中国という大きな図式で手を組んで損をしない関係にある。

日本とASEAN諸国はお互いにないものを持つ。日本には資本と技術があり、それは東南アジア諸国には十分ではない。日本の投資をどの東南アジア諸国も歓迎するし、政治的関係も良好だ。一方で日本にはないものとして、東南アジア諸国には若手労働者が多く、彼等は同時に経済力を付けつつある消費者となりうる、ということだ。今のタイのように政情不安に陥っている国もあるが、ASEAN諸国は全般的には西アジアの国々に比べれば非常に政情は安定しており、世界から幅広く有望な投資先として受け入れられている。

2013年の12月半ばには、東京でASEAN特別首脳会議が開催された。日本とASEANの交流40周年を記念したもの。今後日本とASEANの関係は一層深まるだろう。

本稿では3回に渡って日本とアジアの関係に触れてきたが、筆者としては少しでも読者の皆さんの考えるヒントになれたら幸せだ。

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PROFILE

伊藤 洋一

伊藤 洋一(イトウ ヨウイチ)

経済評論家

1950年長野県生まれ。金融市場からマクロ経済、特にデジタル経済を専門とする。著書に『ほんとうはすごい!日本の産業力』(PHP研究所)、『日本力』(講談社)、『ITとカースト インド・成長の秘密と苦悩』(日本経済新聞出版社)、『カウンターから日本が見える―板前文化論の冒険―』(新潮社)など。「金融そもそも講座」などに書評、エッセイ、評論などを定期寄稿。

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