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伊藤 洋一の視点

伊藤 洋一さんコラム-第24回

2022年の世界経済:(3)日本 新たな形を求める年

「過去は過去。新たな形を求める」が今年の日本の大きな課題かも知れない。

今、日本はGDPで世界第3位だ。アメリカと中国に次ぐ。つい最近までは日本は第2位だった。それを懐かしむ声も国内にある。しかし筆者は「長い目で見ればベスト5の維持もなかなか難しい」と考えている。人口が多くて、日本をGDPで追い抜きそうな国(インドなど)が、日本の下に目白押しなのだから。

日本は何を目指すべきか。恐らくそれは世界から「ああいう形は良いよね。尊敬するし行ってもみたい」と思ってもらえる国ではないか、と最近思う。「行ってみたい国」には日本は大分接近した。コロナで減ったが、日本に行きたいと思って実際に観光に訪れた海外からの観光客は、ピーク時には年間3,000万人を超えた。恐らく日本はコロナ終息後には再び「世界で行きたい国」の最上位に位置する。日本は東西南北に長い列島で、各地に四季折々があり、料理は世界で一番だ。安全だし、海外の人々がリピーターになりたくなる理由は十分にある。

「形」はどうだろうか。市場経済で民主主義。それは良い。しかし筆者は思う。「少し活力に欠けないか」と。世界のあらゆる国に政治的・社会的問題がある。日本にもある。しかし、問題があっても活力がある国が多いし、それはそれで魅力的だ。安全などは申し分ない。しかし、日本はもっと「活力のある国、活力を感じられる国」を目指すべきではないか。今年だけでなく、今後数年の日本の課題だ。

活力の目安の一つは、そこに住む人が手にする所得だ。それが増えれば、それは経済の大きな活力になる。今はどこの国でも「消費」がGDP項目では最大の存在だ。所得の増加は消費を活発化させる。日本はその所得が伸びていない。よって物価も上昇圧力を受けることなく、今まではデフレ寸前の物価状況を続けてきた。

しかし、今の世界はコロナ禍故に物流が乱れ、働く人の働き方が変わって30年ぶりのインフレ時代を迎えようとしている。所得を伸ばさなければならない理由は十二分にある。今年の春闘でもそうだが、思うような“流れ”ができていない。日本は既に韓国にも賃金水準で抜かれている。日本経済の活力維持には「賃金が上がる枠組みの構築」が喫緊の課題だ。

政府も旗を振っているのに、なぜ日本の賃金水準は低いままか。それは経済に熱を持ったセクターが少ないからだ。熱があればそこに資本と人材が集まり、そこの賃金水準は自然と高くなる。それが日本経済全体の牽引力になる。そのためには、新しい企業が「日本の新しい顔」として登場し、そこに資本と人材が集まる仕組みが必要だ。「古い顔」はその活力に煽られて活性化するだろう。そして日本経済全体が活力を帯びる。

今の日本にはこの“好循環”の起点がない。日本の株式時価総額トップリストの中に、「新顔」の台頭は限られている。本当に残念だ。アメリカでも他の国でも5年、10年もたつと顔ぶれががらりと変わる。それが欲しい。優秀な人が既存組織から離れられ、そこに資本が集まる仕組みがどうしても必要だ。当然だが、日本にも優秀な人は多い。それがうまくマッチングしていないのだ。

それには今の官僚組織の改革が不可欠だ。どう見ても「縦割り」「人事中心」が弊害の根源だ。テクノロジーはデジタルを中心に「壁崩し」になっているのに、日本の場合は組織形態が旧態依然として「壁の維持」が大前提となっている。これでは日本という国全体の新陳代謝がうまく行かない。急速に、官僚は若者が希望する職種から外れてきている。それは官僚、そしてその組織が時代の要請に合致しなくなってきているからだ。官僚の人気低下は良いことかも知れない。何か変えなくては、という気付きが生まれる切っ掛けになる。

「日本の官僚組織の劣化」は既に顕著だ。国交省の統計書き換え問題は、「もしかしたら」の劣化懸念を「残念な確信」に変えた。国の基幹統計での書き換え。その経緯も分からない。過去分の資料は廃棄され、GDPの再算出も難しくなった。果てには、コロナ関連の国の支援金をだまし取る高級官僚まで出現した。矜持も倫理もない。国が主導したコンピューター・システムの不備は記憶に新しい。国際的信用まで失いかねない事態だ。

官僚のサイドにも言い分があるだろう。恐らく「働かされすぎ」はある。官僚が国会対応で忙殺されていることは、よく報道されている。そして首相初め大部分の閣僚は、官僚が作った答弁を国会などで読み上げる。もたれあいすぎだ。政治家には「答弁くらい自分でお考えになったら」と言いたい。国会対応が少なくなれば、官僚の方々はもう少し余裕が出て、本来の仕事に戻れるはずだ。

新興企業が台頭する中で、官僚組織がより柔軟に本来の仕事ができるシステムになれば、日本は大きく変わる。戦後暫くして日本はドイツをGDPで追い抜いた。しかし、その後もドイツは世界から尊敬を集める国であり続ける。日本もそうなって欲しいし、恐らく政策を間違わなければそうなれる。今年はその出発年で、必要なのは大胆な改革だ。

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PROFILE

伊藤 洋一

伊藤 洋一(イトウ ヨウイチ)

経済評論家

1950年長野県生まれ。金融市場からマクロ経済、特にデジタル経済を専門とする。著書に『ほんとうはすごい!日本の産業力』(PHP研究所)、『日本力』(講談社)、『ITとカースト インド・成長の秘密と苦悩』(日本経済新聞出版社)、『カウンターから日本が見える―板前文化論の冒険―』(新潮社)など。「金融そもそも講座」などに書評、エッセイ、評論などを定期寄稿。

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