長期火災保険の見直し
掲載日:2016年5月25日
更新日:2020年10月15日
はじめに
損害保険料率算出機構が算出する「参考純率」は、社会環境の変化などによるリスクの実態から毎年度検証が行われ、必要に応じて、参考純率そのものや適用条件が改定されます。
(参考純率について、詳しくはコラム「火災保険の値上げ」をご参照ください。)
2014年7月には「火災保険の参考純率の適用は保険期間が10年までの契約とする」と改定されたことに伴い、2015年10月以降、各損害保険会社が販売する火災保険も見直しが行われました。
以下、長期火災保険の見直しの内容について見ていきます。
長期契約の保険期間は最長10年に短縮
2015年9月末日まで、火災保険(住宅総合保険など)の保険期間は最長36年でした。
そのため、その日までに住宅を購入された方の場合、住宅ローンの完済まで1回の火災保険契約で済ませられることが多いのではないでしょうか。
しかし、2014年7月に損害保険料率算出機構が行った改定により、2015年10月以降の火災保険は、最長10年までの保険期間となりました。
住宅ローンの返済期間によっては、返済期間中に当初加入した火災保険が満期となり、契約の継続(更新)や新しい保険に加入するなどの検討を行う必要があります。
改定の背景
損害保険料率算出機構は、火災保険の参考純率の適用を保険期間10年までと改定した背景の一つとして、「地球温暖化により自然災害の将来予測に不確実な要素が増している」との、IPCC(気候変動に関する政府間パネル)による研究成果を挙げています。
つまり今後発生する自然災害について、規模や頻度の予測がしにくく、予測期間が長くなるほど予測と現実の差が大きくなりやすいことから、10年を超える契約(保険期間)ではリスク評価が難しくなったということです。
また、台風や台風以外の風災、雹(ひょう)災、雪災など、自然災害による支払保険金の増加や、建物の老朽化による水濡れ事故の増加による支払保険金の増加も、当時の改定の背景として挙げられています。
長期契約のメリット
長期契約のメリットは、保険料が割引になることです。
火災保険では、長期契約をすると、支払方法によっては保険料の割引を受けられることがあります。
また、火災保険の長期契約をすることで、地震保険も長期契約ができるようになります(最長5年)。長期契約の地震保険であれば、保険料を一括払いすると、保険期間に応じた長期係数を用いて地震保険料の割引が受けられます。
その他にも、火災保険の長期契約をすることにより、その火災保険の期間内に参考純率の引き上げがあった場合でも保険料が上がることはないという点も、メリットとして考えられるでしょう。
まとめ
以上、長期火災保険の見直し(保険期間短縮)について、改定の背景や長期契約のメリットとともに見てきました。
自然災害の多さが改定の理由となっていることをお伝えしましたが、近年自然災害が多発していることから、今後さらに保険期間を短縮する案も出ているようです。
火災保険の契約を考えている方は、長期契約のメリットも踏まえ、早めに検討するほうが良いでしょう。
※掲載されている情報は、最新の商品・法律・税制等とは異なる場合がありますのでご注意ください。
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