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借家人賠償責任補償特約とは?2つの民法が規定する損害賠償責任の違い

借家人賠償責任補償特約とは?2つの民法が規定する損害賠償責任の違いのイメージ

火災保険は、建物および家財にかける保険です。補償される事故は火災のほか、落雷、風災、水災などの自然災害、盗難、破損など、多岐にわたります。さらに、賠償責任などのリスクに備えるための特約も、オプションで付けることができます。

賃貸物件を借りる際、管理会社から「家財に対してかける火災保険に、借家人賠償責任の特約を付けてください」と言われ、なぜ特約を付ける必要があるのかと疑問に感じたことはないでしょうか。

今回は借家人賠償責任の特約について、2つの民法が規定する損害賠償責任の違いとともに解説します。

借家人賠償責任補償特約とは

借家人賠償責任補償特約は、大家さんから借りて住んでいる賃貸物件に対して入居者が損害を与えてしまったとき、下記の(1)賠償責任保険金、または(2)修理費用保険金の補償を受けられる特約です。

入居者が大家さんに対して負う「損害賠償責任」や「修繕義務」はこれらの補償を備えることによって果たすことができます。

(1)賠償責任保険金

賠償責任保険金は、法律上の損害賠償責任を負担することによって被る損害に対して支払われる保険金です。代表的な事故のひとつとして、入居者が起こしてしまう火災があります。

ここで、「大家さんは自分で契約している火災保険があるはずなのに、入居者が賠償責任を負うのか?」という疑問が発生します。これは、損害賠償を規定する民法の2つの条文が関係します。

民法第709条と第415条の2つの違いと、失火責任法について説明しましょう。

民法第709条・民法第415条・失火責任法

民法第709条 故意または過失によって他人の権利または法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。
民法第415条 債務者がその債務の本旨に従った履行をしないときまたは債務の履行が不能であるときは、債務者は、これによって生じた損害の賠償を請求することができる。ただし、その債務の不履行が契約その他の債務の発生原因および取引上の社会通念に照らして債務者の責めに帰することができない事由によるものであるときは、この限りでない。
明治三十二年法律第四十号(失火ノ責任ニ関スル法律) 民法第七百九条ノ規定ハ失火ノ場合ニハ之ヲ適用セス但シ失火者ニ重大ナル過失アリタルトキハ此ノ限ニ在ラス

資料:執筆者作成

民法第709条では、故意または過失により他人に損害を与えた場合、損害賠償責任を負うことを規定しています。しかし火事の場合、失火責任法により、この民法第709条は適用除外となります。

つまり、賃貸物件で火事を起こしてしまっても、大家さんへの損害賠償責任は発生しません(寝たばこのような重大な過失がある場合を除きます)。

一方で、民法第415条で規定されている損害賠償責任は、失火責任法によって適用除外にはなりません。

民法第415条では、債務不履行による損害賠償責任を規定しています。入居の際に取り交わす賃貸借契約に含まれている「原状回復義務」を火事によって果たせなくなることが「債務不履行」に該当し、損害賠償責任が発生するのです。

賃貸物件で火事を起こし、借りている部屋に損害を与えた場合、大家さんとの間には民法第415条が適用されます。そのため、失火責任法によって損害賠償責任の適用除外とはならず、入居者は大家さんに対して損害賠償責任を負うことになります。

(2)修理費用保険金

修理費用保険金は、民法上の賠償責任の有無によらず、入居者と大家さん・管理会社の賃貸借契約に基づいて、入居者が自己の費用で修繕をしたときに支払われる保険金です。

賃貸借契約上で「入居者が修繕義務を負う」と規定されていれば、入居者への保険金支払いの対象になります。しかし、そのような規定がなく、入居者が修繕義務を負わない契約であれば、修理費用に関しては大家さんが自分の保険を使うことになるので、入居者への修理費用保険金は支払い対象外です。

個人賠償責任補償特約とは

よく似た名前の特約として、個人賠償責任補償特約があります。

これは、日常生活で他人にケガを負わせる、他人の物を壊してしまうなどにより、法律上の損害賠償責任を負った場合に補償が受けられる特約です。

ここでいう法律とは、借家人賠償責任補償特約の賠償責任保険金でも挙げた民法第709条が主たるもので、不法行為による損害賠償責任を規定しています。

しかし、個人賠償責任補償において、保険会社が取り決めている約款では「借りている物については補償の対象外」とされていますので、賃貸物件に対して損害を与えてしまった場合、通常は個人賠償責任補償を使うことはできません。

賃貸住宅の損害に備えるには、借家人賠償責任補償特約が必要となるのです。

賃貸借契約の際は義務や責任の所在を書面で確認しておくこと

借家人賠償責任補償特約は、賃貸物件に住んでいて損害賠償責任・修繕義務が発生したときに使える保険です。

通常、賃貸物件であれば、こういった責任や義務が発生しない限り、民法上、賃貸借契約上でも、入居者が修理費用を負担する必要はないでしょう。それなのに、契約内容の確認がうやむやのまま、入居者が修理費用を負担してしまい、いざ保険会社に保険金請求をしたら補償対象外だった、ということもあり得ます。

賃貸物件を契約する際には賃貸借契約の内容を必ず書面で確認し、入居者が負担する義務があるものについては保険が使えるかどうかも確認するとよいでしょう。また、現在加入中の火災保険をどのような内容で備えているのかも、改めて確認しておくことをおすすめします。

監修者プロフィール

佐藤 益弘の写真

佐藤 益弘サトウ ヨシヒロ

1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP®、宅地建物取引士、賃貸不動産経営管理士、住宅ローンアドバイザー

株式会社優益FPオフィス 代表取締役。
Yahoo!Japanなど主要Webサイトや5大新聞社への寄稿・取材・講演会を通じた情報提供、ライフプラン相談&実行サポートをするライフプランFP®として活動している。NHK「クローズアップ現代」「ゆうどきネットワーク」などテレビ番組への出演も行い、産業能率大学兼任講師(主査)、日本FP協会評議員も務める。
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  • ※ この記載内容は、当社とは直接関係のない独立したファイナンシャルプランナーの見解です。
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  • ※ 掲載日は2022年1月27日です。
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