留学保険
2018.05.15
人気の留学先、ワーキング・ホリデー先ランキング
グローバルな活躍を目指して海外留学をしたり、ワーキング・ホリデーを利用して異国の地で働きながら学ぶ学生や社会人は少なくありません。文部科学省が公表している日本学生支援機構が実施した調査によると、2016年度に留学した日本人学生数は96,641人(※1)。また、ワーキング・ホリデービザの発給数も2013年には2万人(※2)を超えています。学生の留学については、国もグローバル人材育成を推進すべく、官民協働で返済不要の留学奨学金を給付する「トビタテ!留学JAPAN」というプログラムを展開しており、今後もますます留学者が増えていくことが予想されます。
今回は、留学やワーキング・ホリデーで人気の国について紹介します。
- ※1 独立行政法人日本学生支援機構の「協定等に基づく日本人学生留学状況調査」より
- ※2 一般社団法人日本ワーキング・ホリデー協会ホームページより
大学生等に人気の留学先ランキング
前述の「協定等に基づく日本人学生留学状況調査」によると、国(地域)別留学生数は表1のように、断トツでアメリカ合衆国が人気となっています。学生に人気の留学先から上位3つの国について、みていきましょう。
表1:国(地域)別日本人留学生数
(人)
留学先の国(地域) | 人数 |
---|---|
アメリカ合衆国 | 20,159 |
オーストラリア | 9,472 |
カナダ | 8,875 |
韓国 | 6,457 |
英国 | 5,827 |
中国 | 5,782 |
タイ | 4,271 |
台湾 | 4,237 |
フィリピン | 3,212 |
ドイツ | 2,882 |
その他 | 25,467 |
総計 | 96,641 |
資料:(独)日本学生支援機構のホームページをもとに執筆者作成
- <第1位>アメリカ合衆国
- 世界中から留学生が集まるアメリカには、留学できる大学や語学学校が数多くあり、留学の目的や条件に合わせて選びやすく、留学生に対するサポートも整っているのが特徴。2016年度には、海外留学した学生のうち2割以上の人がアメリカに留学しています。
- <第2位>オーストラリア
- アメリカに続いて人気の国は自然豊かなオーストラリアです。オーストラリアにはESOS法という留学生を保護するための法律があり、留学生にとって勉学に励みやすい環境が国をあげて整えられているのが特徴。例えば、留学先の教育機関が決められたコースを実施できなかった場合などに、同じまたは同様のコースを提供する別の教育機関へ転校することや、授業料の払い戻しを受けられることが保証されていたり、留学生に対する情報発信やサポートについてオーストラリアの教育機関が満たすべき基準が規定されていたりする心強い法律です。
- <第3位>カナダ
- すばらしい自然と広大な国土に恵まれたカナダは第3位にランクイン。費用も比較的リーズナブルとされていて人気です。日本の約27倍もの国土を持ち、ナイアガラの滝やカナディアンロッキーなど大自然が魅力のカナダですが、最大の都市トロントでは最先端の建築物などを見ることができますし、バンクーバーでは大都市と自然の共存を満喫できるのがうれしいですね。
人気のワーキング・ホリデー先ランキング
ワーキング・ホリデーとは、日本国籍を持つ18歳から30歳までの人が、一定期間休暇目的で外国に滞在中に、滞在期間中の旅行・滞在資金を補うための付随的な就労をすることができる制度のことです。この制度を利用すれば、就労しながら滞在することが許されているため、異国の地で生活費を稼ぎながら学んだり旅行したりすることができます。ただし、どこの国でも行けるわけではなく、留学できるのは日本と協定を結んでいる20カ国・地域(平成30年2月現在)のみ。その中には学生に人気のアメリカは入っていません。協定国と日本でお互いに、ワーキング・ホリデーを利用するためのビザの発給数を取り決めしており、国によってその数が異なります。人気のある国の場合は、抽選になることもあります。
それではワーキング・ホリデーを利用して渡航できる国の人気ランキング(日本ワーキング・ホリデー協会調べ)をみていきましょう。
表2:ワーキングホリデー人気の国
順位 | 国名 | ビザ発給枠 |
---|---|---|
第1位 | オーストラリア | なし |
第2位 | カナダ | 6,500 |
第3位 | ニュージーランド | なし |
第4位 | イギリス | 1,000 |
第5位 | フランス | 1,500 |
第6位 | アイルランド | 400 |
第7位 | ドイツ | なし |
第8位 | スペイン | 500 |
第9位 | デンマーク | なし |
第10位 | オーストリア | 200 |
資料:日本ワーキング・ホリデー協会、外務省各ホームページをもとに執筆者作成
第1位は学生の留学でも人気のオーストラリア。オーストラリアとの取り決めではワーキング・ホリデービザの年間発給枠が設けられておらず、申請もいつでもできることが人気要因の一つと考えられます。
第2位はカナダです。カナダへ行くためのビザ発給枠は年6,500ですが、毎年人気が高く埋まってしまうそうですよ。2018年度のビザ申請は2017年11月にスタートしています。登録しておくと、発給対象者に「招待状」が届く仕組みです。ドキドキしますね。
第3位はニュージーランドです。羊の数の方が人口より多いといわれるニュージーランドは、自然があふれ、年間を通じて気候も穏やかで、その生活しやすい環境からワーキング・ホリデー先として選ぶ人が多いのでしょう。また、ビザ発給枠もなく、いつでも申請ができるのも魅力です。
ワーキング・ホリデーを利用する場合は、入国の際に当面生活していくだけの資金力がある証明を求められる場合が多いです。例えばオーストラリアの場合、5,000豪ドル(1豪ドル83円として41.5万円)が目安とビザ発給条件に規定されています。好きな国で働けて長期滞在できるのは魅力ですが、思いつきで行くのではなく、目的を明確にして、事前にしっかりと資金計画を立てておくことが重要ですね。
滞在中に病気やケガをしたらどうなる?
留学やワーキング・ホリデーで海外に滞在するときに抱える不安の一つが「もし病気やケガをしたら……」ということではないでしょうか。日本では保険診療では3割の自己負担で済み、高額療養費制度もあるためそれほど高額になることは多くありませんが、海外の治療費は高額なことが多く100万円単位で請求がくることもあります。例えば、米国で急性虫垂炎をおこして入院、手術後腹膜炎を併発したケース(8日入院)ではなんと7万ドル(1ドル108円として756万円)。集中治療室は1日あたり1万ドルが珍しいことではないようです。治療を受けるため日本へ移送する場合の費用は数百万円を超えることもあるそうですよ。
安心して渡航するためにも、大切なことを2点お伝えします。
(1)日本の健康保険に加入していれば帰国後に一部払い戻しが受けられる
あまり知られていませんが、国民健康保険や会社の健康保険加入者が海外旅行や留学などした際にかかった医療費について、後払いではありますが「海外療養費」としてその一部が払い戻される制度があります。民間の海外旅行保険などから保険金を受け取っている場合でも、払い戻される海外療養費の支給額が減額されることはありませんので覚えておきましょう。
支給される金額は、同じ治療を日本国内でした場合にかかる治療費を基準に計算した額(実際に海外で支払った額の方が低いときはその額)から、自己負担相当分(3割など)を差し引いた額です。
ただし、現地で精算することはできないため、どんなに高額でもいったんは自分で払わなければならないこと、治療日から2年が請求期限であること、日本国内で保険診療と認められている医療行為でないと対象にならないことには注意してください。また、あくまで健康保険加入者の制度のため、海外転出届を出して出国している場合は対象となりません。
(2)民間保険に加入して「入国拒否」や「高額請求」から身を守るべし
海外療養費を後から請求できるとしても、海外留学保険やワーキング・ホリデー保険といった民間の保険に入らずに渡航するのは絶対に避けたいもの。なぜなら、国によっては民間の保険に入っていないと入国できない場合があることや、病気やケガをすると現地で高額の支払いが必要になったり治療を受ける前に保証金を請求されたりする可能性があるからです。慣れない海外では、健康な人でもストレスから病気をすることもありますし、文化や言語の違いからトラブルに巻き込まれる可能性も高まります。救急車も有料なことがよくありますし、治療費以外にも日本から身内が駆けつけたりなどすると滞在費用や渡航費などのお金もかかります。民間の保険で備えておけば、入国拒否や高額請求の不安をなくせて、安心してチャレンジできますね。
まとめ
留学やワーキング・ホリデーで人気の国、いかがでしたでしょうか?各国それぞれいろいろな特徴があり興味深いですね。充実の滞在期間を過ごすためにも、現地でかかるお金や想定外の出費への対応など、お金についても事前にしっかりと調べて計画しておきたいものですね。
- 監修者 柳澤 美由紀 やなぎさわ みゆき
- CFP®/1級ファイナンシャル・プランニング技能士
- 関西大学社会学部卒。大学時代に心理学を学び、リクルートグループに入社。求人広告制作業務に携わった後、1997年ファイナンシャルプランナー(FP)に転身する。
相談件数は800件以上。家計の見直し、保険相談、資産づくり(お金を増やす仕組みづくり)が得意で、ライフプランシミュレーションや実行支援も行っている。
家計アイデア工房 代表
- ※ この記載内容は、当社とは直接関係のない独立したファイナンシャルプランナーの見解です。
- ※ 掲載されている情報は、最新の商品・法律・税制等とは異なる場合がありますのでご注意ください。