結婚すると決めたら考えておくべき事(前編)~未来は霧の中、だから~
今回は「この人と結婚しよう!」そう決めた時に、その人と歩むべき道について、下調べをしておきましょうというお話です。前編と後編に分けてご案内いたします。
よく結婚式で「2人で初めて行う共同作業です!」なんてケーキ入刀の時に言われますが、この下調べは、結婚前に必ずやっておくべき共同作業といえます。
結納、結婚式費用、新婚旅行の費用については省略し、その後の現実の生活、未来にかかるお金に注目してご案内いたします。
未来にかかるお金
未来にかかるお金の主なものは、三大出費といわれる「教育(養育)資金」、「住宅購入資金」「老後生活資金」があります。
結婚して次にくるライフイベントといえば出産、子育てですね。また子どもの成長過程で住宅購入を検討する方もおられるでしょう。ここではざっくりとした目安として生まれてから中学校卒業までの生活費、教育費(学校教育費+学校外教育費+学校外活動費+保育費)、子ども関連費用その他の合計が子ども1人当たり約1,613万円になります(平成21年内閣府 インターネットによる子育て費用に関する調査)。この後、進学した場合、教育費だけでも公立高校で1年当たり約39万円(平成24年文部科学省 子供の学習費調査)、私立文系大学で1年当たり初年度約115万円、2年目以降約90万円(平成24年文部科学省 私立大学入学者に係る初年度学生納付金平均額(定員1人当たり)の調査結果について)なので、公立高校+私立大学文系の7年間の教育費だけでも約502万円になります。これに生活費を中学3年生時の同じ位かかるとして約142万円として7年で約994万円、合計で約1,496万円になります。
参考までに私立文系以外の教育費ですが、私立大学理系は約149万円、医歯系は約472万円(平成24年文部科学省 私立大学入学者に係る初年度学生納付金平均額(定員1人当たり)の調査結果について、いずれも初年度)、国立大学は授業料が約53.5万円、入学料が約28万円なので初年度が約81.5万円になります(文部科学省 平成22年度国立大学の授業料、入学料及び検定料の調査結果について)。国立と私立とでは、教育費だけでも約33万~390万円の差があります。子どもの教育方針も経済的には重要といえます。
今回は、自宅からの通学という設定にしますが、下宿や寮生活をする場合には、これ以上の養育費がかかる事になります。
住宅購入資金は、住宅金融支援機構のフラット35利用者調査報告(2011年度)によると、中古戸建で約2,225万円、新築マンションで約3,840万円、注文住宅(土地付)で約3,607万円必要とします。
またかなり先ですが、老後生活資金に言及すると、高齢夫婦無職世帯の日常生活費を含めた支出が約20.6万円、収入が約18.1万円のうち、社会保障給付が約15.7万円になります(総務省・家計調査 家計収支編2012年より)。つまり自助努力で年間約50万~60万円、65歳から女性の平均寿命である86歳までとして約1,050万~1,260万円を現役時代に準備しておく必要があります。
これらに日常生活費が必要になります。
養育費 (1人当たり) |
合計約3,109万円、中学卒業まで 約1,613万円 高校~私立大学文系約1,496万円 |
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住宅購入費 (物件価格) |
中古戸建:約2,225万円、新築マンション:約3,840万円、注文住宅(土地付):約3,607万円 |
老後生活費 (月ベース) |
収入:約18.1万円(うち社会保障給付約15.7万円) 支出:約20.6万円 |
資料:執筆者作成
お金に対する考え方をすり合わせましょう
結婚すると、それまで他人同士だった2人がこれまで経験してきた環境をベースに新しい生活環境を構築していく事になります。結婚前に思想や嗜好等色々と観察してきたつもりでも、実は結婚してから気づく事は多々あります。
そこで予めお金に対する考え方をすり合わせておいた方がよいでしょう。なぜならば、極論すると「倹約家」と「浪費家」だとお金に対する考え方にかなりの開きがあります。結婚前にある程度の相手の考えを確認する事はできますが、考え方に開きがあるならばそれが負担にならないようにしておく必要があります。
未来にかかるお金の確保の仕方もすり合わせておきましょう。例えば「教育資金」の場合、「学資保険」で作っていくのか、「教育ローン」を活用するのか。「老後生活資金」の場合、個人年金保険で確保するのか、長期の証券積立で確保するのか。そのために教育方針もすり合わせておいたほうが良いでしょう。
お金(生活費)の管理を誰がするのかも重要です。日本の場合は妻が、欧米では夫が管理するケースが多いようですが、共働きの場合には、それぞれで管理し、生活費を双方が拠出するという方法もあります。
参考までに私たち夫婦のお金の管理方法は、貯蓄については各々で行うが、共有財産保有のための貯蓄等については、個人の財産とは別管理で目標額を設定しています。生活費は項目別に担当を決めています。食費等は妻が、水道光熱費等は夫が、という具合に。参考にしていただければと思います。
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コラム執筆者プロフィール
松山 智彦 (マツヤマ トモヒコ) マイアドバイザー.jp®登録 - CFP®、講師業、ITコンサルタント、俳優。
1964年大阪生まれ。
証券会社・生損保のSEとして、また証券ネット取引システム立ち上げに参画。
2003年にファイナンシャルプランナーとして独立、各種資格・セミナー講師などで活躍。
また俳優ドナルド松山として、舞台、ドラマ、映画等に出演。
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コラム監修者プロフィール
山本 俊成 (ヤマモト トシナリ) マイアドバイザー.jp®登録 - ファイナンシャルプランナー。
大学卒業後、株式会社三和銀行(現三菱UFJ銀行)入社。
2003年、外資系生命保険会社入社。
2005年、総合保険代理店株式会社ウィッシュ入社。
2010年、株式会社ファイナンシャル・マネジメント設立。
銀行と保険会社に勤めていた経験を活かし実務的なコンサルティングを行う。
ファイナンシャルプランナー 松山 智彦
※この記載内容は、当社とは直接関係のない独立したファイナンシャルプランナーの見解です。
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