家計簿の賢い活用の仕方

家計簿をすでに活用されている方、家計簿をつけてはいるけれど活用できていないと感じている方、家計簿をつけてみたいと思っているけれどまだ始められていない方など、家計簿と皆さまのつきあい方は様々あることと思います。
ここでは、家計簿を活用されている方はさらに一段上を目指していただき、家計簿をまだ活用できていない方は活用に向けて一歩踏み出していただき、家計簿をつけていない方は家計簿の世界へ踏み込んでいただけるようご案内したいと思います。
家計簿の歴史
家計簿のはじまりは、映画の題材にもなった「金沢藩士猪山家文書」を最初と仮定した場合でも1842年となり、170年以上も形を変えながら使われています。
家計簿をなぜつけるのか?
働いた結果として得た収入がどのように使われ、どれだけ残ったか?ある程度支出内容を把握し、目に見える形にするために家計簿を記録します。
この「目に見える」ということが、自分の収入の使い道がどうなっているのかという不安を解消することになり、状況が見えるという点において安心感を得ることに繋がっていきます。
では、ケース別に家計簿の活用の仕方をみていきましょう。
家計簿に興味はあるがまだつけていない方
年末になると書店には様々な種類の家計簿が所狭しと並べられます。どれを選んだらよいか?どのように記入すればよいか?などと迷っているうちに買いそびれたまま、気付くと1年が過ぎている……という方もいらっしゃると思います。
市販の家計簿には種類がたくさんありますが、初めは記入しやすそうなものを選んでいただければよいと思います。初めて家計簿を使われる方にとって重要なのは、「継続して家計簿をつけること」です。そのため、なるべく記入しやすいものを選ぶのがよいと思います。そして、まずはこの「継続する」を意識して、1年間家計簿をつけるところから始めてみてください。
1年間家計簿をつけてみると、何かしら見えてくるものがあると思います。次の1年はこれらを基に1つだけでも改善させましょう。そうすれば5年で5つ、10年で10、改善されることになります。
家計簿はつけているが活用できていない方
家計簿はつけているが活用できていないと感じている方は、家計簿をつけた結果が見えなくなってはいませんか?そのような方は毎年または毎月の目標を定めてみましょう。
広い視野で期間を長期的に見る場合は、「〇年後の〇〇に向けて今家計簿をつけている」という形で目標を定めてみるのもよいでしょう。
また、毎月の家計について、月の初めに今月の予算を立て、1カ月経過したらその結果を集計し、予算内に収まったかを確認したり、予算を超えた場合の原因について分析したりして、次へ繋げるという流れを作ることもおすすめします。
これは、企業において業務を円滑に行うための手法である「PDCAサイクル」とよく似ています。
毎月はじめにP(プラン・予算)を作成し、D(実行)し、C(チェック)し、A(次のアクションへつなげる)という流れです。
家計簿をつけて活用されている方
すでに家計簿をつけて活用されている方は、もう工夫する余地はないのでは?と思いがちですが、消費税をはじめとする各種増税、物価の上昇、社会保険料の負担増など家計を取り巻く環境は厳しくなってきております。合わせて自身の生活スタイルも変化しますし、世の中全体の生活スタイルも変化しています。ということは、家計も必然的に変化していくことになり、工夫の余地がなくなるということはないと思います。
私も結婚してから家計簿をつけ始めて18年になりますが、つけ始めのやり方と今とでは変化していますし、家族構成の変化、子どもの成長による変化により支出の内容も変わってきています。また、企業の経理を行った経験を生かし、企業会計の考え方も取り入れ、予算を立て決算を行ったり、今後見込まれる支出を事前予測し、支払いの準備を行ったりするといったように役立てています。
家計簿を活用していくと、企業会計に近づいていくのではないかと思います。
家庭も「小さな企業」という見方、考え方もできます。
また、家計運営の結果は全てその家庭に直接反映されます。
前述したPDCAサイクルとともに、限られた時間と資金や新しいサービスを有効活用することによって、家計にプラスになる方法への見直しは常にあると思いますので、定期的に家計の見直しを行うことをおすすめします。
最後に
家計簿と現状の関わり方という点から述べてきましたが、家計簿は独身の時からつけることをおすすめします。もっとよいのはもしできれば、子どもの頃からおこづかい帳をつけるのが一番です。小さいお子さんをお持ちの方はぜひつけ方を教えてあげてください。
ご自身は家計簿、お子さんはおこづかい帳。
お子さんと一緒に行ってみるのもよいと思います。
<家計簿活用のポイント>
- 自分のペースを見つけてつけること(他人は気にしない)
- 継続して家計簿をつけること(まずは1年続けることを目標に)
- 毎月、予算(予定)と決算(実際)を意識しながら家計簿をつけてみる
(意識するだけで変化が起き、無駄な支出が減少します) - 毎週、毎月ごとに振り返り、次の週、次の月に1つでよいので改善を行ってみる
(PDCAサイクルを動かしてみる) - 家計簿をつけることに疲れたら、家計簿をつけている目的、目標を再確認する
(つけはじめの原点に立ち返ってみる)
家計簿が皆さまの暮らしの満足度、充実度を向上させるものになりますよう祈念しております。
ファイナンシャルプランナー 大間 武
※この記載内容は、当社とは直接関係のない独立したファイナンシャルプランナーの見解です。
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