「介護医療保険料控除」って何?

今年の確定申告は、平成25年2月18日から行われました。
この確定申告は個人事業主の方たち等が、平成24年1月1日~12月31日までを課税期間として、その期間内の収入や支出、扶養家族状況等から所得を計算した申告書を税務署へ提出し、納付すべき所得税額を確定することです。
この計算をするときに、所得から様々な所得控除を差し引くことができますが、生命保険の契約で一定の要件を満たしている場合は、支払った保険料の一定の金額を「生命保険料控除」として、生命保険の契約者の所得から控除することができます。
■介護医療費保険料控除とは?
この生命保険料控除については、平成22年度の税制改正において改正があり、従来の「生命保険料控除」や「個人年金保険料控除」の他、新たに「介護医療保険料控除」が創設されました。また、この改正は平成24年分の所得税から適用されることになっています。
したがって、平成24年分の所得税の計算においては契約している保険の内容に応じて、「生命保険料控除」「個人年金保険料控除」「介護医療保険料控除」が適用されることになりました。
■介護医療費保険料控除の対象となる契約は?
介護医療保険料控除の対象となる契約は、平成24年1月1日以後に契約した医療保険、医療費用保険、がん保険、介護保障保険、介護費用保険等の契約です。
「入院・通院等にともなう給付部分にかかる主契約保険料や特約保険料が対象となる」と考えると分かりやすいでしょう。
■控除できる金額は?
生命保険料控除に金額を計算するときは、契約日が平成23年12月31日以前なのか、それとも平成24年1月1日以後なのかということが関係してきます。
①旧契約(平成23年12月31日以前に締結した保険契約等)に基づく場合の控除額
平成23年12月31日以前に締結した保険契約等に基づく旧生命保険料と旧個人年金保険料の控除額は、それぞれ次の表の計算式に当てはめて計算した金額になります。
年間支払保険料合計 | 控除される金額 |
---|---|
25,000円以下 | 払込保険料の全額 |
25,000円超 50,000円以下 | (正味払込保険料×1/2)+12,500円 |
50,000円超 100,000円以下 | (正味払込保険料×1/4)+25,000円 |
100,000円超 | 一律50,000円 |
②新契約(平成24年1月1日以後に締結した保険契約等)に基づく場合の控除額
平成24年11月1日以後に締結した保険契約等に基づく新生命保険料、介護医療保険料、新個人年金保険料の控除額は、それぞれ次の表の計算式に当てはめて計算した金額になります。
年間支払保険料合計 | 控除される金額 |
---|---|
20,000円以下 | 払込保険料の全額 |
20,000円超 40,000円以下 | (正味払込保険料×1/2)+10,000円 |
40,000円超 80,000円以下 | (正味払込保険料×1/4)+20,000円 |
80,000円超 | 一律40,000円 |
③旧契約と新契約が混在するときの控除額
旧契約と新契約の両方の契約があった場合、両方の支払保険料について、生命保険料控除または個人年金保険料控除の適用を受ける場合は、それぞれの控除ごとに①新契約に該当する控除額(4万円限度)、②旧契約に該当する控除額(5万円限度)、③新契約と旧契約両方について適用を受ける場合の控除額(4万円限度)のうち、有利なものを選ぶことができます。
いずれの場合も、介護医療保険料控除と合わせた最大の控除額は、所得税の場合12万円となります(下記の図参照)。
なお、住民税の計算の場合の適用金額は、所得税の場合と異なっていますのでご注意ください。
●新契約と旧契約が混在する場合の所得税の生命保険料控除額

出典:国税庁「生命保険料控除」より
■生命保険料控除の手続きは?
「生命保険料控除」の手続きは会社員の場合、生命保険会社が発行する生命保険料控除証明書を勤務先に提出して、年末調整で手続きをされる場合が多いでしょう。
一方、自営業者の方の場合は、原則として生命保険料控除証明書を確定申告書に添付し、手続きを行うことになります。
また、勤務先で手続きをしなかった会社員の方についても、生命保険料控除証明書を確定申告書に添付して還付申告を行うことができますので、年末調整で手続きされていない方も忘れずに手続きをしてくださいね。
なお、公益財団法人 生命保険文化センターのホームページには「新しい生命保険料控除制度とは?」という内容でQ&Aが掲載されています。もう少し調べてみたいと思われた方は、参考にしてください。

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コラム執筆者プロフィール
瀬尾 由美子 (セオ ユミコ) マイアドバイザー.jp®登録 - ファイナンシャルプランナー(CFP®)、宅地建物取引主任、エフピーおふぃす瀬尾代表。
銀行勤務後、FP資格取得。
家計を預かる生活者としての視点を活かし、個人向けに生活設計や保険の見直しなどのセミナー講師として活動。
同時にFP資格取得講座などの講師も務める。
モットーは「難しい話をわかりやすく」。

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コラム監修者プロフィール
山本 俊成 (ヤマモト トシナリ) マイアドバイザー.jp®登録 - ファイナンシャルプランナー。
大学卒業後、株式会社三和銀行(現三菱UFJ銀行)入社。
2003年、外資系生命保険会社入社。
2005年、総合保険代理店株式会社ウィッシュ入社。
2010年、株式会社ファイナンシャル・マネジメント設立。
銀行と保険会社に勤めていた経験を活かし実務的なコンサルティングを行う。
ファイナンシャルプランナー 瀬尾 由美子
※この記載内容は、当社とは直接関係のない独立したファイナンシャルプランナーの見解です。
※掲載されている情報は、最新の商品・法律・税制等とは異なる場合がありますのでご注意ください。
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掲載日:2020年1月7日
介護医療保険料控除の計算と上限
介護医療保険料控除は、2010年度の税制改正によってできた制度です。
2012年から制度が適用されたため、2011年12月31日以前に契約した医療保険やがん保険は、介護医療保険料控除の対象とならず、旧生命保険料控除の対象となります。
介護医療保険料控除の額は支払った保険料の額に応じて決まり、一定の計算式に基づいて算出します。
例えば、1年間に支払った保険料が30,000円だった場合の介護医療保険料控除による所得税の控除額を計算してみると、「(払込保険料×1/2)+10,000円」の計算式に当てはめ、25,000円となります。
なお、控除額には上限があり、介護医療保険料控除による所得税の控除額の上限は40,000円です。
上限は生命保険料控除の区分ごとに設けられており、介護医療保険料控除について最高40,000円、一般の生命保険料控除と個人年金保険料控除についてもそれぞれ最高40,000円で、3つを合計すると所得税の控除額の上限は12万円となります。
制度を利用すれば所得税や住民税の負担を抑えることができます。
所得税などの控除は、年末調整や確定申告で手続きができるため、対象になる保険に加入している場合は手続きを忘れないようにしましょう。
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