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2020.08.28
労災年金って、こんなに手厚い!
前回までは「労災保険とはどのようなものなのか」「労災年金はどんなときに受け取ることができて、どのような種類があるのか」「配偶者など、受給権利者の範囲に違いがあるのか」などをみてきました。
今回は実際の受給額がいくらなのかについてみていきましょう。
受給額の算出について
障害年金や遺族年金は、労災保険だけでなく厚生年金・国民年金からも受給できますが、受給額の算出方法は制度によって異なります。
労災保険については、障害年金の場合は障がいの程度に応じて、遺族年金の場合は遺族の数などに応じて、いずれも「給付基礎日額」「算定基礎日額」に基づいて算出されます。
給付基礎日額とは?
給付基礎日額は、受給額のうち、基礎となる年金や一時金を計算する際に用いられる、1日あたりの金額です。
原則として労働基準法の平均賃金に相当する金額をいい、基本的には、年金や一時金を受給する原因となる事故が発生した日や、疾病の発生が確定した日(賃金締切日が定められているときは傷病発生日の直前の賃金締切日)の直前3カ月間の賃金総額を日数で割った金額になります。
なお、直前3カ月の賃金には、ボーナスや臨時の賃金は含みません。
図1 給付基礎日額の例
![図1 給付基礎日額の例](https://images.microcms-assets.io/assets/bd0a9e8c88d14fbd8aa25fdb8fccc8f3/6ff80ee8e7964c4dbf84518db2039eb7/6fb19401-1a77-4ce2-b822-f97011c80e60.png)
資料:執筆者作成
算定基礎日額とは?
労災保険では、基礎となる年金や一時金に上乗せできる「特別年金」「特別一時金」があります。算定基礎日額は、そのような特別年金などを計算する際に用いられる、1日あたりの金額です。
算定基礎日額の基本的な計算方法は、年金や一時金を受給する原因となる事故が発生した日や、病気にかかったことが確定した日以前1年間に受け取ったボーナスなど、特別給与の総額(算定基礎年額)を365で割って算出します。
図2 算定基礎日額の例
![図2 算定基礎日額の例](https://images.microcms-assets.io/assets/bd0a9e8c88d14fbd8aa25fdb8fccc8f3/46a8620fe8b54ab9a2e506bf24221035/7f8016ec-1ac7-4e88-8c4c-9d3a78f53085.png)
資料:執筆者作成
障害年金の受給額を計算してみよう
実際の障害年金の受給額を例にとってみていきましょう。
障害年金の給付内容を表にすると、次のようになります。
表 障害年金の給付内容
※スクロールで表がスライドします。
※同一の災害により、既に傷病特別支給金を受給した場合はその差額
資料:厚生労働省「障害(補償)給付の請求手続」をもとに執筆者作成
図1・図2で求めた給付基礎日額と算定基礎日額を使って、障害等級第1級に該当する場合の受給額を計算してみましょう。
なお、障害年金と障害特別年金は、毎年6期に分けて受給します。障害特別支給金と障害特別一時金は生涯で1回のみの受給です。
図3 労災保険の障害給付の例
- <例:月30万円の賃金、年間50万円のボーナスを受け取り、障害等級第1級に該当する場合>
- 障害年金:3,062,079円(給付基礎日額9,783円×313日分)
- 障害特別支給金:3,420,000円
- 障害特別年金:428,810円(算定基礎日額1,370円×313日分)
- 障害特別一時金:なし
※スライド率(賃金水準の変動に対応するための調整率)の影響を除外して計算
資料:執筆者作成
労災年金がいつまで受給できるのかは、年金の種類によって異なる場合があります。気になる方は、労働基準監督署などで相談することができます。
労災年金のなかでも、今回は障害年金の給付を一例にみてみましたが、年金や一時金が受給できることから、労災年金の手厚さを分かっていただけたと思います。
このような労災保険の制度に守られていることを、私たち自身で知っておくことはとても重要ではないでしょうか。
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