掲載日:2020年10月23日

人生100年
お金の準備はどうするの?

自分は何歳まで生きるのか?それは誰にも分かりません。
平均寿命が延び「人生100年時代」と叫ばれる中、「自分のお金を最期までちゃんと使えるよう計画しよう」といわれても難しいものです。老後のお金の漠然とした不安の中で、少しでも前向きに「自分で」お金のことを考えられるようにしたいですね。

3回連載の1回目は、老後の「お金の計画」をするためにまず「何を」意識すれば良いかをお伝えします。

「現役」と「老後」は同じくらいの「期間」を過ごすことになる

厚生労働省「平成29年簡易生命表の概況」によると、日本人の平均寿命は、2017年のデータで男性が81歳、女性が87歳です。

また、平均寿命を超えて90歳まで生きる男性の割合は約26%、女性は約50%となり、さらに95歳まで生きる男性は全体の約9%、女性は約26%となっています。これを見ると、特に女性は95歳までは生きるかもしれないと思わせる数字ですので、この点が人生100年と叫ばれるようになった理由の一つなのでしょう。

100歳までとはいわずとも、現実に、より近い95歳まで生きるとすれば60歳以降35年の月日を過ごすことになります。大学卒業後に就職をしたとして、23歳から60歳までは37年です。60歳で退職した場合の現役期間と老後期間は、ほぼ同じ年月を過ごすわけですが、お金の使い方、使い道に大きな違いがあります。

現役期間・老後期間で異なる支出

現役期間は、働くことによる収入から、日々の生活に必要なお金を使います。また住宅資金や教育資金など、まとまった資金が必要となるイベントに対しては、時間をかけて準備をして使っていくというスタイルです。

一方老後の35年は、「公的年金」が収入のベースとなります。支出の面では、日々の生活費は減り、まとまった資金が必要なイベントが少なくなる代わりに、医療や介護に関する支出項目が増える傾向にあります。

現役期間は、家族構成などによる「属性」で必要となるお金に変化がありますが、老後期間は属性ではなく自分の「健康」をいかに長く保てるかで、必要となるお金は変わってきます。

健康であれば、公的年金以外に働くことによる収入を増やすことができ、趣味や社会貢献活動など暮らしを充実させるためにお金を使うことができる上に、介護や医療の支出は抑えられます。

お金の計画を立てるには、いつまで生きるかということを「仮に」でも決めないと前に進めません。仮に95歳まで35年という長い期間について経済的な見積りができれば、安心へとつながりますね。

老後に必要なお金と準備手段

老後の長い期間を意識しながら、具体的に老後に必要なお金(老後資金)をイメージしてみます。
老後に必要なお金は、以下のように4つに分けると整理しやすいでしょう。

表1 老後資金の種類

※スクロールで表がスライドします。

(1)生活のためのお金 食費、日用品費、通信費など 必ず必要なお金
(2)住まいのためのお金 自宅のリフォーム・維持管理費、施設などへの住替え費用など
(3)リスクのためのお金 病気や事故のときの医療費、介護費など 何か起こったときに必要なお金
(4)生活を充実させるためのお金
子どもへの援助のためのお金
余暇など楽しみのための費用
結婚資金など子どもへの援助金
人によって必要度の違うお金

資料:執筆者作成

老後期間において(1)と(2)は重要度が高く、現役期間とほぼ同じ年月をどこでどのように過ごすのかは、計画のための最も重要な事柄です。

とはいえ、老後資金準備を意識し始めることが多いと思われる40代頃は、子育て真っ最中だったり住宅ローンを抱えていたりと生活に精いっぱいで、老後をどう過ごすのかは決めづらいかもしれませんね。
まずは、子どもが独立し、具体的に老後期間をイメージし始める50代後半の時点で(1)~(4)において選択肢を広げられるよう、時間をかけて少しずつ資金準備をすることから始めてみましょう。

さらに、老後に必要なお金を性質別に2つに分けて、それぞれの準備手段を以下にまとめました。

表2 お金の性質とその準備手段

※スクロールで表がスライドします。

さまざまな使い道に対応できるお金
(主に自分で備える(1)(2)(4))
積み立て(私的な積み立て、iDeCoやつみたてNISAなどの公的制度活用)
民間個人年金保険
見積りが難しいリスクに対するお金
(主に保険で備える(3))
公的保険(年金、医療、介護)
民間生命保険…死亡・医療・介護など
民間損害保険…交通事故・火災・自然災害など

資料:執筆者作成

人生100年時代における老後の資金計画として大切なのは、長い「期間」を意識することと、「具体的な老後生活を決める際に選択肢を広げられるための資金準備」という意識を持ち、時間をかけて少しずつ準備を進めることです。

積み立てなどで老後資金を蓄える以外にも、収入を確保するための準備も必要です。
公的年金は、老後期間の基盤となる収入です。現役期間に公的年金制度の正しい知識を得ることは、老後の計画においてとても重要となります。知っているようで知らない公的年金制度について、次回、詳しく解説します。

監修者プロフィール

佐藤 益弘サトウ ヨシヒロ

株式会社優益FPオフィス 代表取締役
1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP®、宅地建物取引士、賃貸不動産経営管理士、住宅ローンアドバイザー
Yahoo!Japanなど主要Webサイトや5大新聞社への寄稿・取材・講演会を通じた情報提供、ライフプラン相談&実行サポートをするライフプランFP®として活動している。NHK「クローズアップ現代」「ゆうどきネットワーク」などテレビ番組への出演も行い、産業能率大学兼任講師(主査)、日本FP協会評議員も務める。
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