告知義務と告知義務違反 その1
死亡保険や医療保険、がん保険には、誰でも加入できる訳ではありません。それは、加入時に、最近の健康状態や過去の病歴などを保険会社に告知する必要があるからです。このことを「告知義務」といいますが、これは保険法により定められています。それでは、「告知義務とはどのようなものなのか?」そして、「これに違反するような行為があった場合は、どのようなことになるのか?」についてみていきましょう。
保険料はどのようにして計算されているのか?
死亡保険や医療保険、がん保険などの保険料は、下記にある3つの法則をもとに算出していきます。
保険料の算出の考え方
|
---|
資料:執筆者作成
告知義務とは?
保険料を算出し、その後、保険会社が保険契約を締結し運営していく上で、加入者の健康状態などを把握しておく必要があります。もし、加入者の健康状態などが分からなければ、上記の3つの法則が機能せず、保険の仕組みが破綻してしまうことになります。
告知義務とは、保険の仕組みを破綻させないために、保険を契約する前に健康状態や身体の障害、これまでの病歴(傷病名、治療期間など)について、加入者が保険会社に申告する(告知する)ことをいいます。
この告知の種類は、表1にてご確認ください。医療保険やがん保険、個人年金保険などは、告知書へ記入するのみで申し込める場合が多くなっています。死亡保険については、少額の加入額であれば告知書へ記入するのみで申し込める場合が多いですが、保障額が多くなればなるほど、一般的には告知すべき内容が多くなっていきます。
表1 告知の種類
告知の種類 | 主な方法 |
---|---|
告知書への記入のみ | 被保険者(保険の対象者)本人が、告知書の質問事項に記入し、保険会社に提出します。 |
健康診断書の提出 | 被保険者(保険の対象者)本人が、告知書の質問事項に記入し、健康診断書とともに保険会社に提出します。 |
生命保険面接士による診査 | 被保険者(保険の対象者)本人が、告知書の質問事項に記入します。そして、生命保険面接士が被保険者と面談を行い、告知書に記入されている内容などの確認や外観の観察を行った上で、「診査報状」を保険会社に提出します。 |
医師による診査 | 被保険者(保険の対象者)本人が、保険会社が指定する医師(嘱託医)と面談を行い、健康状態や過去の傷病歴などを医師が確認します。それとともに、尿検査や血液検査なども行います 。 |
資料:執筆者作成
最近は、告知が不要な保険や、告知の質問項目を簡素化して保険契約の引受基準を緩和している保険も登場しています。健康状態に不安のある方や既往症・傷病歴のある方でも、保険に加入することができる時代になっています。
ただし、引受基準を緩和している保険は、告知を必要とする通常の保険と比べると、保険料は一般的に高くなっています。健康状態などに問題がなく、告知を行っても保険に加入できる状況であれば、告知を必要とする保険を選択するようにしましょう。
では、告知の時にウソをついた場合は、どうなるのでしょうか。
「告知義務と告知義務違反 その2」でみていきます。
-
コラム執筆者プロフィール
岡田 佳久 (オカダ ヨシヒサ) マイアドバイザー.jp®登録 - 大学卒業後、商社勤務を経て、ファイナンシャルプランナーとして開業。
現在は、ファイナンシャルプランナー(CFP®)、キャリアカウンセラー(CDA)として高校生と大学生向けの金銭教育やキャリア教育、社会人を対象とした“お金”と“働く”に関する講演業務、雑誌などへの一般向けマネーコラムなどで活躍中。
ファイナンシャルプランナー 岡田 佳久
※この記載内容は、当社とは直接関係のない独立したファイナンシャルプランナーの見解です。
※掲載されている情報は、最新の商品・法律・税制等とは異なる場合がありますのでご注意ください。