2020.10.23
公務員の年金制度、基礎を学ぼう
公務員の年金については、2015年10月に被用者年金が一元化される・2017年1月にiDeCo(個人型確定拠出年金)の加入が可能になるなど、さまざまな法改正が行われてきました。
そのため、「年金制度は今どうなっているの?」と疑問に思われている公務員の方もいらっしゃるのではないでしょうか。
そこで今回は、公務員の年金制度について、概要を説明していきます。
公務員はどんな年金制度に加入しているの?
(1)公務員は会社員と同じ国民年金の第2号被保険者
公務員は、会社員と同様、国民年金の第2号被保険者に分類され、厚生年金に加入すると同時に国民年金にも加入していることになります。
国民年金を1階部分、厚生年金を2階部分とする年金制度ですが、これに上乗せして給付を行う3階部分として、公務員独自の制度「退職等年金給付」、さらに個人が任意で加入する「iDeCo(個人型確定拠出年金)」があります。
図 年金制度の体系図(会社員と公務員)
資料:執筆者作成
(2)公務員の年金制度は2015年10月に厚生年金に
公務員の年金の2階部分は、2015年9月まで「共済年金」でした。
厚生年金と共済年金では、保険料率や給付水準、給付設計に違いがありました。そこで、給付設計などを統一し、公平性を確保することを目的に、2015年10月に共済年金と厚生年金は一元化されました。
かつて公務員の年金の3階部分として設けられていた「職域加算」も、このときに廃止されています。
現在は、厚生年金の保険料負担や老齢年金・障害年金・遺族年金の給付設計などは、基本的に会社員と同じです。もっとも、2015年9月以前に共済年金に加入していた方は、加入期間に応じた職域加算分が受給できます。
なお、一元化後も、公務員の年金については、各共済組合が管理を行っています。
公務員独自の制度「退職等年金給付」とは?
厚生年金やiDeCoという言葉は耳にしたことがあるかもしれませんが、「退職等年金給付」という言葉は耳慣れないのではないでしょうか。
退職等年金給付は、廃止された「職域加算」に代わり2015年10月に新設された制度で、退職年金など3つの給付があります。
国民年金や厚生年金と比較したときに特徴的なのは、財政運営の方式が「積立方式」という点です。
国民年金や厚生年金は「賦課(ふか)方式」と呼ばれ、年金給付のために必要な財源を、その時々の保険料収入で賄う、つまり現役世代から年金受給世代への仕送りのイメージです。
しかし、退職等年金給付の場合は「積立方式」で、将来自分が年金を受給するときに必要となる財源を、現役時代の間に積み立てておく方式ですので、その積み立てを切り崩しながら年金を受給することになります。
(1)退職年金
退職年金について概要をまとめると、次の表のようになります。
表 退職年金の概要
※スクロールで表がスライドします。
資料:執筆者作成
退職年金が受給できることで、老齢厚生年金に金額を上乗せでき、老後の生活資金がより充実したものになります。
(2)その他の年金
退職等年金給付は、老後に受給することができる退職年金のほかに、公務による病気またはケガにより障がいが残った場合に受給できる「公務障害年金」、公務員が公務による病気またはケガにより亡くなったときに遺族に支給される「公務遺族年金」があります。
各年金を請求する場合は、加入している共済組合へ請求することになります。
自分が受給できる年金見込額を確認するには?
年金制度で一番気になるのは、「私はいくら老齢年金を受け取れるの?」という点だと思います。
公務員の場合も、老齢基礎年金および老齢厚生年金については、2015年10月以降、ねんきん定期便で年金加入期間や年金見込額などを確認できるようになりました。もし手元にねんきん定期便がない場合は、日本年金機構または加入している共済組合に問い合わせることによって確認ができます。
また、退職等年金給付については、加入している共済組合から付与額や利息の累計などを記載した通知書が送付されますので、こちらで確認しましょう。
さらにiDeCoも加入可能に
2017年1月からは、公務員も任意で、iDeCoに加入することが可能になりました。
iDeCoは、国民年金や厚生年金、退職等年金給付とは別に、ご自身の判断で加入できる年金制度です。あくまでも任意の制度であるため、加入の申込手続きや掛金拠出先の決定などの運用を、ご自身の判断で行うことになりますが、拠出額を全額所得控除にできるなど、税制面でのメリットがあります。
ねんきん定期便で年金見込額を確認した上で、さらに老後資金が必要であれば、iDeCoへの加入を検討してみても良いですね。
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