2020.10.09
新入社員必見!就職したら確認しておきたい、年金のイロハ
就職活動が終わると、会社員や公務員としての新生活が近づいてきます。就職すると加入する「厚生年金」も、新しく始まることのひとつといえるでしょう。
新社会人になったら、老後の備えとなる厚生年金についての知識は身に付けておきたいものです。
そこで今回は、厚生年金の基礎知識や国民年金の追納など「年金のイロハ」についてお伝えします。
厚生年金加入時に必要な「年金手帳」
これまで学生だった新卒の方は、会社などに就職することで、初めて厚生年金に加入することになります。
厚生年金への加入手続きは勤務先が行うため、すでに国民年金に加入している場合でも、切り替えの手続きを自分でする必要はありません。ただし、入社時に基礎年金番号が記載された年金手帳の実物やコピーを提出するように言われることが一般的ですので、その準備は必要でしょう。
学生時代に20歳を迎えた方は、国民年金へ加入した際に年金手帳を受け取っているはずです。親御さんが年金手帳を保管している家庭もあるかと思いますので、早めに確認しておきましょう。
もしも年金手帳が見つからないときは、お住まいの市区町村の役所などで再交付の申請をすることができます。
厚生年金保険料はどうやって決まるの?
基本的に厚生年金保険料は、給与の金額をもとに「標準報酬月額」を算出し、そこに保険料率である18.3%を掛けて決まります。
例えば、入社時の標準報酬月額が20万円の場合、毎月の厚生年金保険料は36,600円(20万円×18.3%)となります。厚生年金保険料の半分は勤務先が負担してくれるため、自己負担額は半額の18,300円となります。
表1 厚生年金保険料(一般・坑内員・船員の被保険者の方)の自己負担額の例
※スクロールで表がスライドします。
資料:日本年金機構「平成29年9月分(10月納付分)からの厚生年金保険料額表」をもとに執筆者作成
4月入社であれば、入社時に決まった厚生年金保険料はその年の8月まで適用されます。9月以降は、4月~6月の標準報酬月額に基づいて計算された厚生年金保険料が、翌年8月まで適用されることになります。2年目以降は、毎年4月~6月の標準報酬月額に基づいて、その年の9月~翌年8月までの1年間の厚生年金保険料が決まります。
なお、厚生年金保険料の計算のもとになる給与には通勤交通費も含まれるため、初任給が同じである勤務先の同期との間で、金額が違っているということも起こります。
給与が多い方ほど厚生年金保険料の負担も増しますが、老後に受給できる年金額も多くなります。損だと思わず、将来への備えとして前向きに考えておくと良いでしょう。
支払い忘れに注意!学生時代の国民年金保険料
学生時代に国民年金を支払っていなかった方は、過去の分もさかのぼって支払うことをおすすめします。なぜなら、国民年金保険料を支払った期間を増やすことで、一生涯にわたって受給できる老後の年金額を増やすことができるからです。
未払いにしていた国民年金保険料は、その支払期限から2年以内であれば、後からでも支払うことができます。
学生向けの猶予制度である「学生納付特例制度」を利用していた場合には、後から支払える期間は、追納(免除または猶予された国民年金保険料を後から支払うこと)が承認された月の前10年以内です。ただし、猶予の承認を受けた期間の翌年度から起算して3年度目以降は、経過期間に応じて金額が高くなります。
未払いや猶予の期間がいつだったのかを確認し、早めに支払いをしておくと良いでしょう。
表2 国民年金保険料を後から支払うことができる期間
※スクロールで表がスライドします。
資料:日本年金機構ホームページをもとに執筆者作成
給与からは、厚生年金保険料のほか、健康保険料や所得税、住民税(通常は社会人1年目ではなく2年目から)の支払いが発生するため、「思ったよりも自由に使えるお金が少ない」と驚くかもしれません。
しかし、第1回のコラムでもお伝えしましたが、厚生年金保険料には国民年金保険料も含まれているため、将来は国民年金と厚生年金から年金を受給できます。
人生100年時代といわれるなかで、手厚い年金額を一生涯受給できる厚生年金は、強い味方となるでしょう。ぜひコツコツと将来の安心を築いていってください。
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