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専業主婦・主夫の年金
離婚時の年金分割

2021.02.26

離婚時の年金分割

結婚生活を送っていくうちに、どうしてもこの生活を続けていくことができないと、「結婚」するときには考えていなかった「離婚」を真剣に考えるようになることもあると思います。

厚生労働省「令和元年(2019)人口動態統計(確定数)の概況」によると、婚姻件数は599,007組で、前年の586,481組より12,526組増加し、離婚件数は208,496組で、前年の208,333組より163組増加しています。

毎日1,600組以上の婚姻件数が増加しているものの、毎日500組以上の夫婦が離婚していることになり、他人事とは言い切れないのではないでしょうか。

もし、離婚するとなった場合、子どものことや、家のこと、財産などについて考えなければならないことはたくさんありますね。

では、年金のことを考えたことはありますか?

今回は、離婚時の年金分割制度について、ご説明しましょう。

年金分割制度とは

年金分割は、離婚した場合に、二人の婚姻期間中の保険料納付額に対応する厚生年金記録を多い方から少ない方へ分割して、それぞれを自身の年金記録とすることができる制度です。

図1 年金分割の対象期間(婚姻期間中、専業主婦や専業主夫だった方の場合)

図1 年金分割の対象期間(婚姻期間中、専業主婦や専業主夫だった方の場合)

厚生年金保険では、毎月の月給および賞与をもとに標準報酬月額・標準賞与額を記録し、標準報酬月額・標準賞与額をもとに老齢厚生年金額が計算されます。

年金分割は、「年金受給額を分ける」のではなく、「厚生年金記録の分割」をする制度だということを覚えておきましょう。

年金分割の方法

年金分割には、2つの方法があります。

合意分割制度

2007年4月1日以後に離婚等をした場合に、二人の婚姻期間中の厚生年金記録(標準報酬月額・標準賞与額)を当事者間で合意の上、多い方から少ない方へ分割することができる制度です。

図2 合意分割のイメージ(婚姻期間中、共働きの場合)

図2 合意分割のイメージ(婚姻期間中、共働きの場合)

※1 老齢厚生年金は、分割した分を除いた厚生年金記録をもとに算出
※2 老齢厚生年金は、分割を受けた分の記録を含めた厚生年金記録をもとに算出

当事者双方の合意で按分(あんぶん)割合が決まらない場合、どちらかが家庭裁判所に按分割合を定める審判または調停の申し立てをすることができます。

審判の申し立てがあると、裁判官が書面照会等により相手の意見も聞いた上で、按分割合を決定する審判を行います。

また、調停の申し立てがあると、調停委員会が按分割合について話し合うための手続きを進めます。

申し立てには、「年金分割のための情報通知書」が必要になります。年金事務所、各共済組合等に請求しましょう。二人一緒でも一人でも請求できます。

情報通知書の請求手続には以下の書類が必要となります。

  • 請求者の年金手帳または基礎年金番号通知書
  • 婚姻期間等を明らかにできる書類
  • 事実婚関係にある期間の情報通知書を請求する場合は、その事実を明らかにできる書類

3号分割制度

2008年5月1日以後に離婚等をした場合に、専業主婦や専業主夫だった方が請求することで、2008年4月1日以後の婚姻期間中の第3号被保険者期間について、相手の厚生年金記録(標準報酬月額・標準賞与額)を2分の1ずつ当事者間で分割することができる制度です。

3号分割の請求については、当事者双方の合意は必要ありません。

ただし、相手が障害厚生年金を受給している場合、その年金額の基礎としている期間の3号分割請求は認められません。

図3 3号分割のイメージ(婚姻期間中、専業主婦や専業主夫だった方の場合)

図3 3号分割のイメージ(婚姻期間中、専業主婦や専業主夫だった方の場合)

※1 老齢厚生年金は、分割した分を除いた厚生年金記録をもとに算出
※2 老齢厚生年金は、分割を受けた分の記録を含めた厚生年金記録をもとに算出

もし、合意分割の請求が行われた場合、婚姻期間中に3号分割の対象となる期間があると、合意分割と同時に3号分割の請求があったとみなされます。

その場合、3号分割の対象となる期間は3号分割による年金記録の分割が行われ、それ以外の期間は合意分割による年金記録の分割が行われますが、2分の1が分割の上限となります。

分割は、厚生年金記録が対象となるため、国民年金記録には影響しません。また、年金受給資格期間等にも算入されません。

年金分割の請求手続について

年金分割の請求は離婚後、「標準報酬改定請求書」に按分割合を明らかにできる書類を添付して行います。

表 年金分割の請求手続に必要な書類
※スクロールで表がスライドします。

合意分割 3号分割
・請求書に個人番号(マイナンバー)を記入したとき…マイナンバーカード等
請求書に基礎年金番号を記入したとき…年金手帳または基礎年金番号通知書
・婚姻期間等を明らかにできる書類
・請求日前1カ月以内に作成された、当事者二人の生存を証明できる書類
・年金分割を明らかにできる書類
・年金分割の請求をされる方(代理人を含む)の本人確認ができる書類
・請求日前1カ月以内に作成された、相手の生存を証明できる書類
・離婚をしていないが、事実上離婚状態にあることを理由に3号分割を請求する場合は、その状態にあることを明らかにできる書類
<事実婚の場合>
・事実婚関係であった事実を明らかにできる書類

資料:日本年金機構「離婚時の年金分割について」をもとに作成

按分割合に基づき、厚生年金保険の標準報酬が改定され、改定後「標準報酬改定通知書」が届きます。共済加入期間を有する場合には、共済組合等からも通知が届きます。

分割を受けた場合の老齢厚生年金は、自身の厚生年金記録(標準報酬月額・標準賞与額)と相手方から分割された標準報酬に基づき年金額が計算されます。もし、相手が死亡したとしても、自身の厚生年金記録には影響しません。

請求手続は、年金事務所、各共済組合等の窓口において行う必要があり、当事者のどちらか一方からでも行うことができますが、原則として、離婚をした翌日から起算して2年を過ぎると年金分割の請求はできませんので注意しましょう。

第3号被保険者である専業主婦や専業主夫は、何も対策を考えていない場合、老後の生活は老齢基礎年金に頼ることになります。

厚生年金保険に加入している方と比べると年金受給額は大きく異なりますので、離婚を考えるときには年金についても考えることをおすすめします。

次回は、「年金分割で注意すること」をご説明します。

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