自転車の個人賠償責任保険
自転車に乗っている際に事故を起こし、加害者となった場合、たかが自転車の事故とはいえない、重い損害賠償責任を負うケースがあります。
自転車事故の損害賠償の例
自転車事故で損害賠償責任を負うケースには、具体的にどのような事例があるのでしょうか。日本損害保険協会の「ファクトブック2013」をもとに、加害者に高額の損害賠償を命じた裁判例をみてみましょう。
自転車を運転する男子高校生が朝、赤信号で交差点の横断歩道を走行中、旋盤工(62歳)の男性が運転するオートバイと衝突し、旋盤工が頭蓋内損傷で13日後に死亡した事故では、4,043万円の損害賠償を命じる判決(東京地方裁判所、平成17年9月14日判決)が出されています。
この事例のように、自転車とオートバイとの事故であっても、状況によってはオートバイを運転していた人が死亡することもあります。
自転車を運転する男子高校生が朝、自転車で歩道から交差点に無理に進入し、女性の保険勧誘員(60歳)が運転する自転車と衝突し、保険勧誘員が頭蓋骨骨折を負い9日後に死亡した事故では、3,138万円の損害賠償を命じる判決(さいたま地方裁判所、平成14年2月15日判決)が出されています。
このように、自転車同士の事故でも、高額な損害賠償責任を負うケースもあります。
損害賠償責任への備え
自転車事故により、高額の損害賠償責任を負うことになってしまうリスクには、「個人賠償責任保険」で備えることができます。
個人賠償責任保険とは、個人またはその家族が、日常生活で誤って他人にケガをさせたり、他人の物を壊したりして、損害賠償金や弁護士費用などを負担した場合の損害を補償する保険のことをいい、自転車事故も補償対象になります。なお、仕事中の事故など補償の対象外となるケースもありますので、免責となるケースについてはパンフレットなどで詳細を確認しておきましょう。
また、個人賠償責任保険の被保険者は、「生計を共にする同居の親族」となっています。そのため、家族一人ひとりがそれぞれ加入する必要はなく、世帯主が契約すれば子どもが起こした事故も補償されます。
また、子どもには「生計を共にする別居の未婚(これまでに婚姻歴のないこと)の子」が含まれます。例えば進学のため、同居せず仕送りを受けながら下宿などをしている子どもも補償の対象となります。
個人賠償責任保険は、自動車保険や傷害保険などにセットして加入する場合、保険料も月額数百円程度です。
ご自身やご家族が加入している自動車保険や傷害保険などで、すでに個人賠償責任補償がカバーされている場合がありますので、補償が重複しないかを、まずは確認してから加入を検討しましょう。
※本記事は、2017年7月12日に掲載された記事です。そのため、記事内容は掲載日のものであり、現在と情報内容が異なっている場合がございますので、本記事の閲覧・利用等に際しては、ご注意ください。
自転車保険の基本情報