地震保険の加入率
最終更新日:2017年5月26日
はじめに
損害保険料率算出機構のホームページで、地震保険の世帯加入率と火災保険の付帯率の推移を確認できる「地震保険 都道府県別 付帯率・世帯加入率の推移」という資料が公開されています。
世帯加入率は、「当該年度末の地震保険契約件数÷当該年度末の住民基本台帳に基づく世帯数×100%」で算出されています。
付帯率は、当該年度中に契約された火災保険契約(住宅物件)に地震保険契約が付帯された割合です。
上記資料をもとに、2006年度以降の推移と傾向についてみていきましょう。
全国的な推移
2006年度から2015年度の世帯加入率と付帯率の推移をまとめたものが、表1です。
世帯加入率・付帯率ともに、年々上昇していることがわかります。
2015年度の世帯加入率と付帯率は、ともに2006年度の約1.4倍になっています。
また、大地震発生後の年度は、他の年度に比べて、世帯加入率・付帯率ともに伸びていることがわかります。特に2011年度については、3月11日の東北地方太平洋沖地震から始まり、3月15日に静岡県東部を震源とする地震、4月7日に宮城県沖を震源とする地震、4月11日の福島県浜通りを震源とする地震など、震度6を超える大きな地震が続き、他の年度に比べ世帯加入率・付帯率とも高い伸びを示しています。
資料:損害保険料率算出機構「地震保険 都道府県別 付帯率・世帯加入率の推移」をもとに作成
都道府県別の傾向
ここでは、都道府県別の傾向をみていきましょう。傾向をみる目安として、等地区分をみておきましょう。
等地区分 | 都道府県 |
---|---|
1等地 | 北海道、青森、岩手、秋田、山形、栃木、群馬、新潟、富山、石川、福井、長野、岐阜、滋賀、京都、兵庫、奈良、鳥取、島根、岡山、広島、山口、福岡、佐賀、長崎、熊本、鹿児島 |
2等地 | 宮城、福島、山梨、愛知、三重、大阪、和歌山、香川、愛媛、大分、宮崎、沖縄 |
3等地 | 茨城、埼玉、千葉、東京、神奈川、静岡、徳島、高知 |
等地区分は、都道府県ごとの地震の危険度を表しています。上記の1等地から3等地までの3区分の等地区分は、2017年1月1日以後の地震保険契約から適用されています。なお、2014年6月30日以前は、4等地に区分されていました。
上位 | 都道府県 | 世帯加入率(%) | 等地区分 |
---|---|---|---|
1位 | 宮城 | 51.5 | 2 |
2位 | 愛知 | 39.4 | 2 |
3位 | 東京 | 36.1 | 3 |
4位 | 神奈川 | 34.4 | 3 |
5位 | 岐阜 | 33.6 | 1 |
下位 | 都道府県 | 世帯加入率(%) | 等地区分 |
1位 | 長崎 | 13.9 | 1 |
2位 | 沖縄 | 14.3 | 2 |
3位 | 島根 | 15.3 | 1 |
4位 | 佐賀 | 19.2 | 1 |
5位 | 長野 | 19.3 | 1 |
全国平均 | 29.5 |
資料:損害保険料率算出機構「地震保険 都道府県別 付帯率・世帯加入率の推移」をもとに作成
上位 | 都道府県 | 付帯率(%) | 等地区分 |
---|---|---|---|
1位 | 宮城 | 86.2 | 2 |
2位 | 高知 | 84.2 | 3 |
3位 | 宮崎 | 76.3 | 2 |
4位 | 岐阜 | 73.1 | 1 |
5位 | 鹿児島 | 73.0 | 1 |
下位 | 都道府県 | 付帯率(%) | 等地区分 |
1位 | 長崎 | 39.2 | 1 |
2位 | 佐賀 | 44.7 | 1 |
3位 | 北海道 | 51.0 | 1 |
4位 | 富山 | 51.2 | 1 |
5位 | 沖縄 | 51.5 | 2 |
全国平均 | 60.2 |
資料:損害保険料率算出機構「地震保険 都道府県別 付帯率・世帯加入率の推移」をもとに作成
傾向として、都道府県ごとの世帯加入率・付帯率ともバラつきは大きく、世帯加入率の最も高い宮城県と最も低い長崎県では約3.7倍、付帯率においても約2.2倍の開きがあります。
また、等地区分と世帯加入率の関連性をみた場合、等地区分が高い(地震危険度が高い)地域は、世帯加入率が高めで、逆に等地区分が低い(地震危険度が低い)地域ほど世帯加入率が低めの傾向があります。
次に、等地区分による基本料率と世帯加入率・付帯率についてみてみましょう。
基本料率(保険金額1,000円 保険期間1年につき)の数値が大きい程、保険料は高くなります。
等地区分 | イ構造(※1) | ロ構造(※2) |
---|---|---|
1等地 | 0.68 | 1.14 |
(注) 北海道・青森・新潟・岐阜・京都・兵庫・奈良は0.81 |
(注) 北海道・青森・新潟・岐阜・京都・兵庫・奈良は1.53 |
|
2等地 | 0.95 | 1.84 |
(注) 福島は0.74 愛媛は1.20 大阪は1.32 愛知・三重・和歌山は1.71 |
(注) 福島は1.49 愛媛は2.38 大阪は2.38 愛知・三重・和歌山は2.89 |
|
3等地 | 2.25 | 3.63 |
(注) 茨城・徳島・高知は1.35 埼玉は1.56 |
(注) 茨城・埼玉は2.79 徳島・高知は3.19 |
- ※1 イ構造:耐火建築物、準耐火建築物および省令準耐火建物など
- ※2 ロ構造:イ構造以外の建物
(注)別途基本料率が定められている地域とその料率
上記表3、表5より、基本料率が高い(保険料が高くなる)地域ほど、世帯加入率は高めですが、基本料率が低い(保険料が安くなる)地域でも世帯加入率と付帯率の高い地域がありますので、基本料率の高低により、世帯加入率・付帯率に与える影響は低いと思われます。
まとめ
以上の点から、いつ、どこで起こってもおかしくない地震の危険度と、大きな地震を目の当たりにしてきたことが、世帯加入率と付帯率に大きく影響していることがわかります。
※掲載されている情報は、最新の商品・法律・税制等とは異なる場合がありますのでご注意ください。
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