2020.04.08
年金にも「配偶者手当」がある
配偶者に会社員・公務員などの厚生年金保険の被保険者期間が一定期間ある場合、主婦や主夫が年齢などの一定要件を満たしていれば配偶者が受給できる「加給年金」があります。
今回は、配偶者手当ともいえる加給年金を受給するための要件と期間についてみていきましょう。
加給年金を受給するためには
厚生年金保険の被保険者期間が20年以上(240カ月以上)ある方が、65歳に到達した時点(または定額部分支給開始年齢に到達した時点)で、その方に生計を維持されている妻または夫、子どもがいる場合に加給年金が加算されます。
もし、65歳より後に厚生年金保険の被保険者期間が20年以上となったときは、退職改定時に生計を維持されている妻または夫、子どもがいる場合に加算されます。
この加給年金額加算のためには届出が必要です。
表1 加給年金額と年齢制限(2020年度)
※スクロールで表がスライドします。
資料:日本年金機構ホームページをもとに執筆者作成
加給年金の特別加算
加給年金には、配偶者(受給権者)の生年月日に応じて「特別加算」があり、妻または夫の加給年金額の年額224,900円に33,200円~166,000円が上乗せされます。
表2 妻または夫の加給年金額の特別加算額と合計額(2020年度)
受給権者 の生年月日 |
特別加算額 | 加給年金額 の合計額 |
---|---|---|
1934年4月2日~ 1940年4月1日 |
33,200円 | 258,100円 |
1940年4月2日~ 1941年4月1日 |
66,400円 | 291,300円 |
1941年4月2日~ 1942年4月1日 |
99,600円 | 324,500円 |
1942年4月2日~ 1943年4月1日 |
132,700円 | 357,600円 |
1943年4月2日以後 | 166,000円 | 390,900円 |
資料:日本年金機構ホームページをもとに執筆者作成
加給年金はいつまで受給できるのか
加給年金は、要件を満たした後ずっと受給できるわけではありません。
加給年金を受給できる期間は、主婦や主夫の年齢が65歳になるまでとなります。
例えば、専業主婦の妻が年下の場合、受給権者である夫との年齢差があるほど妻の年齢が65歳に達するまでの期間が長くなり、加給年金を受給する期間も長くなります。
逆に、夫が65歳の時点で専業主婦の妻の年齢が65歳以上の場合、加給年金は受給できないということです。
主婦や主夫が、被保険者期間20年以上の老齢厚生年金あるいは退職共済年金、または障害年金を受給している間は、加給年金は支給停止され特別加算額も支給停止になります。
詳しくはお近くの年金事務所へお問い合わせください。
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原則として65歳以降から受給可能な老齢基礎年金の情報はこちらの記事を参考に
加給年金の手続方法
老齢厚生年金に加給年金の加算を受けるには、次の書類を準備して提出しましょう。
添付する書類は、特別に記載がないものは全て原本が必要です。
また、戸籍抄本、戸籍謄本、住民票の写しは、加算開始日以降に発行され、かつ書類提出の日より6カ月以内の発行日のものが有効です。
表3 必要な書類
添付書類(コピー不可) | 使用目的 | |
---|---|---|
1 | 老齢厚生年金を受給する方の戸籍抄本または戸籍謄本(記載事項証明書) | 受給する方と加給年金額の対象者(配偶者や子)の続柄を確認 |
2 | 世帯全員の住民票の写し(続柄・筆頭者が記載されているもの) | 受給する方と加給年金額の対象者(配偶者や子)の生計同一関係を確認 |
3 | 加給年金額の対象者(配偶者や子)の所得証明書、または、非課税証明書(いずれかひとつで、加算開始日に直近のもの) | 加給年金額の対象者(配偶者や子)が、受給する方により生計維持されているかを確認 |
資料:日本年金機構ホームページをもとに執筆者作成
なお、特別支給の老齢厚生年金を請求した際に、加給年金額の対象者が確認されていないなどの場合、「老齢厚生年金・退職共済年金 加給年金額加算開始事由該当届」の提出が必要です。
提出先は、最寄りの「年金事務所」または「街角の年金相談センター」です。
加給年金についての不明点は、「ねんきんダイヤル」または、最寄りの「年金事務所」等に問い合わせてください。
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