個人年金保険の給付開始年齢
保険商品にもよりますが、個人年金保険の給付は何歳から受け取ることにするかを、一定の選択肢の中から選ぶことができるというのが一般的です。
では、既に個人年金保険に加入されている方は、何歳から年金を受け取るように設定しているのかをみてみましょう。
生命保険文化センターの平成24年度「生命保険に関する全国実態調査」によると、世帯主の場合、給付開始年齢は全体では「60歳」が32.1%、「65歳」が26.6%となっており、他の年齢は一桁の割合にとどまっています。
また、配偶者の場合も同様で、「60歳」が29.3%、「65歳」が22.0%となっている他は、一桁の割合にとどまっています。
年代別にみてみると…
まず、世帯主の場合、29歳以下では調査サンプル数が少ないため、「65歳」を給付開始年齢としているケースが100%となっています。
また、30~34歳では、「60歳」、「61~64歳」、「65歳」の間で給付開始年齢にバラつきがみられますが、35歳以上59歳以下では全体平均と同様に、「60歳」、「65歳」を給付開始年齢としているケースが多くなっています。
しかし、60歳以上になると、「66歳以降」を給付開始年齢に設定している割合も増えています。
配偶者の場合も、世帯主の場合と概ね同様の結果となっています。
気になる数値が…
全体平均のデータをみたときにも感じたことですが、ここまでみてきて気になったのは、「給付開始年齢が不明」と答えた方の割合、つまり、加入している個人年金保険の給付開始がいつなのか分からないという人の割合です。
この割合、実は世帯主と配偶者で10%近くも異なっています。
この調査の記入者は世帯主であり、その世帯主の91.6%が男性という回答結果から考えると、配偶者のほとんどは女性であると考えられます。
ここで、年代別に給付開始年齢が不明と答えた方の割合をみてみましょう。
世帯主の場合、全体平均では25.9%の方が給付開始年齢不明と答えています。
64歳までは全体平均の割合を超えることはなく、65歳以上になるとやや上回ります。
ただ、既に給付開始年齢を迎えていて、過去いつからもらったか分からないという意味での給付開始年齢不明も含まれているように思います。
一方、配偶者の場合、全体平均では37.5%の方が給付開始年齢不明と答えています。
50代以上になるとその割合は30%を切りますが、29歳以下の年代で80%となっていたり、30代となっても40%を超える割合となっていたり、という結果になっています。
ただ、この調査の記入者はあくまで世帯主のため、調査質問票に「配偶者の方をはじめ、ご家族の皆さまともご相談のうえご記入ください」とは書いてあるものの、なかなか相談して質問票に記入できなかったり、世帯主が配偶者の個人年金保険の内容までは把握していなかったり、という状況の中で「配偶者の個人年金保険の給付開始年齢は不明」と記入するに至ったのではないかと推測することもできます。
個人年金保険の内容を確認しておこう
お子さまが幼いころは、まだ老後の個人年金のことに目を向ける余裕はないかもしれません。
夫婦それぞれがすすめられて個人年金保険に加入しているけれど、子育てに追われて、いつから年金を受け取れるか等、夫婦間でお互いの個人年金保険の契約内容を把握できていないという方もいるでしょう。
ただ、よく内容を把握できていない契約にお金を払い続けるのも考え物です。
世帯全体のキャッシュフローを確認して、出産や子どもの進学等の、生命保険の見直しのタイミングで個人年金保険の内容も確認し、把握をしておきたいものですね。
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コラム執筆者プロフィール
キムラ ミキ (キムラ ミキ) マイアドバイザー.jp®登録 - 鳥取県立米子東高等学校卒業後、日本社会事業大学 社会福祉学部 福祉計画学科にて福祉行政を学ぶ。
大学在学中にAFP、社会福祉士を取得。大学卒業後、アフラックでの保険営業を経て、株式会社アゼル(マンションデベロッパー)にてマンション営業、マンション営業企画に携わる。その後FP会社でのスタッフ経験を経て、ファイナンシャルプランナーとして独立。
ファイナンシャルプランナー キムラ ミキ
※この記載内容は、当社とは直接関係のない独立したファイナンシャルプランナーの見解です。
※掲載されている情報は、最新の商品・法律・税制等とは異なる場合がありますのでご注意ください。
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掲載日:2019年11月12日
個人年金保険はいつから加入する?
個人年金保険には、いつから加入している人が多いのでしょうか。
表 個人年金保険の世帯主年齢別世帯加入率(全生保)
※スクロールで表がスライドします。
(%)
※かんぽ生命を含む
※90歳以上はサンプルが30未満
資料:(公財)生命保険文化センター「平成30年度 生命保険に関する全国実態調査」をもとに作成
上の表をみてみると、個人年金保険の加入率の平均は全体の19.6%となっており、世帯主が40歳~64歳までの世帯では20%を超えています。
29歳以下の加入率が年々増加しており、若いうちから老後について考える方が増えているようです。
図 個人年金保険のライフステージ別世帯加入率(全生保)
※全生保は民保(かんぽ生命を含む)、簡保、JA、全労済を含む
資料:(公財)生命保険文化センター「平成30年度 生命保険に関する全国実態調査」をもとに作成
上の図をみてみると、世帯主が40歳未満で夫婦のみの世帯での加入率は26.7%となっており、59歳になるまでは加入率がほぼ一定に保たれています。
世帯主年齢別世帯加入率では、40歳未満の加入率が20%以下であることから、夫婦のみの世帯の場合、結婚を契機に将来のライフプランを見直す影響で、加入率が高まっているのかもしれません。
そのため、結婚を一つのポイントとして個人年金保険への加入を検討するのも賢い選択といえます。
子どもがいる世帯では、末子が保育園児・幼稚園児の世帯の加入率が16.0%と一番低く、末子が高校・短大・大学生の世帯の加入率が28.9%と一番多くなっています。
末子が高校・短大・大学生になるころには、時間や家計に余裕ができ、自分たちの老後について考えることができるのかもしれません。
そのため、「個人年金保険の保険料が支払えない」から「解約しなければならない」ということにならないように、育児に目途がついてから個人年金保険への加入を検討するという方法もあるでしょう。
また、個人年金保険への加入理由によっても加入時期を逆算することが可能です。
例えば、公的年金が支給されるまでの生活資金を補う手段として個人年金保険を利用する場合です。
60歳で会社をリタイアして公的年金の受給が開始される65歳まで、つなぎとして個人年金保険の給付を受けるケースを考えてみましょう。
このケースの場合、年金支給開始年齢が60歳からのスタートとなり、会社をリタイアしてすぐに支給開始となります。
60歳以降も働く方が増えている現在で考えると、比較的早い段階での支給開始といえます。
早い段階で支給が開始されるということは、個人年金保険の加入を早めるか、保険料の払込期間を短期間にすることになります。
払込期間が短いとその分保険料が高くなるため、公的年金の受給までのつなぎとして個人年金保険を受け取りたいと考えている方は、できるだけ早い段階での加入がおすすめです。
このように、自分自身が個人年金保険をどのように活用したいかという点から加入時期を検討してみてはいかがでしょうか。
計画的に将来の準備をすることで、老後の負担を軽減することを心掛けましょう。
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