解約返戻金と生存給付金

医療保険に加入して受け取ることができるお金は、入院や手術をした場合の給付金だけではありません。
最近は掛け捨て型の医療保険が主流ですが、解約返戻金や生存給付金が受け取れるタイプの医療保険もあります。
1.解約返戻金とは
解約返戻金とは、主に保険契約者が保険を解約したときに契約者へ払い戻されるお金になります。
ただし、これまで支払った保険料がそのまま戻ってくるとは限りませんし、一般的に加入してからの年数が短いと、解約したときの返戻金も少なくなります。
支払った保険料と払い戻されるお金の比率を返戻率と言いますが、保険商品によって返戻率は異なりますので、保険契約時に解約返戻金の推移や返戻率を確認するようにしましょう。
2.低解約返戻金型商品について
保険料を支払っている期間の解約返戻金を抑える低解約返戻金型の商品があります。終身保険で多く見られるタイプですが、一部の医療保険でも取り扱いがあり、保険料の支払いが終わると解約返戻金が大きく増加することになります。
ただし、保険料を支払っている期間は解約返戻金が抑えられることになりますので、この期間に解約すると返戻金は少ないことが多いので注意しましょう。
3.生存給付金とは
生存給付金とは、保険期間中に被保険者が生存していることを条件に受け取ることができるお金になります。
3年や5年ごとに所定の給付金が受け取れるタイプや、一定期間に入院や手術がなかった場合に給付金が受け取れるタイプなどがあります。
例えば、3年ごとに15万円受け取ることができる保険だと、1回目は旅行資金に、2回目には教育資金に、3回目は自分へのご褒美に、など生存給付金を有効に活用することができます。
女性向けの保険に多い生存給付金が受け取れるタイプですが、掛け捨てタイプに比べ保険料は貯蓄性がある分だけ一般的に高くなりますので、加入前に生存給付金の必要性をしっかり考えるようにしましょう。
4.解約返戻金・生存給付金の税金
解約返戻金・生存給付金を受け取った場合、契約者と受取人の関係によって課税のされ方が変わってきます。
契約者と受取人が同じなら所得税の対象になり、一時金で受け取る場合は一時所得、年金で受け取る場合は雑所得として課税されます。
契約者と受取人が異なるなら贈与税の対象になります。また、保険期間が5年以下、契約日から5年以内に解約した場合は、金融類似商品として、受取金額と払込保険料との差益に対して預貯金のように源泉分離課税されます。
5.考え方
解約返戻金や生存給付金がある医療保険は、これらがない医療保険よりも保険料は高いのが一般的ですし、昔に比べれば貯蓄性も悪くなっているのが現状ですので、最近は保険料を抑えた掛け捨て型の医療保険が主流になっています。
もちろん、貯金が苦手なので保険を活用したいという方や、掛け捨てに抵抗がある方には一つの選択肢になってくるでしょう。
6.まとめ
現在、さまざまな医療保険が販売されており、選択に迷うという方も多いと思います。
まずは貯蓄性がある方が良いのか、掛け捨ての方が良いのか、自分にはどちらのタイプが適しているか理由も含めて考えてみるようにしましょう。
特に貯蓄型については、保険以外の預貯金や資産運用で行うこともできますので、慎重に検討するようにしましょう。
私が相談対応をしている中では、保険料を抑えたいという理由で掛け捨て型の医療保険を選択される方が圧倒的に多いです。
しかし、なかには掛け捨てに抵抗があるという方もおられ、解約返戻金や生存給付金がある貯蓄性のある保険を選ばれる方もおられます。
また、保険契約してから日が浅い段階で解約すると、思ったほどの解約返戻金が受け取れない場合もありますので、解約の可能性も考えてみるようにしましょう。
掛け捨て型には抵抗が…まとまった金額が受け取れる時期を考えて
気になる 医療保険 を調べる
-
コラム執筆者プロフィール
長谷 剛史 (ハセ タケシ) マイアドバイザー.jp®登録 - 学校法人・会計事務所勤務を経て2007年1月、大阪府堺市に独立系FP事務所を開業。
ファイナンシャルプランナーはお金の専門家ではありますが、幸せな家庭を作る専門家でありたいと常々思っています。
住宅・資産運用・保険の3つの分野に強いファイナンシャルプランナーとして、ライフプランを基本とした個別相談・講演・執筆等の活動を行っています。
ファイナンシャルプランナー 長谷 剛史
※この記載内容は、当社とは直接関係のない独立したファイナンシャルプランナーの見解です。
※掲載されている情報は、最新の商品・法律・税制等とは異なる場合がありますのでご注意ください。
掲載日:2020年1月21日
解約返戻金や生存給付金を受け取る際の注意点
解約返戻金を受け取る際の注意点
解約返戻金を一括で受け取る場合、金額によっては税金がかかることがあります。
解約返戻金は、一括で受け取ると一時所得となりますが、その全額が課税対象となるわけではありません。
解約返戻金の額が、払い込んだ保険料の総額から50万円を超える場合、超えた額の半分が課税対象となります。
つまり、課税対象となる一時所得の額は、下記の式で求められます。
課税対象となる一時所得の額の計算式
課税対象となる一時所得={(解約返戻金の全額-払込保険料の合計)-50万円}÷2
差益が50万円以下であれば、税金の心配はしなくてもよいといえるでしょう。
特に低解約返戻金型商品の保険料払込期間内の解約であれば、一時所得の課税対象になることはレアケースです。
生存給付金を受け取る際の注意点
生存給付金にかかる税金も、考え方は解約返戻金と同じです。
今まで払い込んだ保険料の合計額よりも生存給付金の額の方が多いことはまれなので、生存給付金に関しても解約返戻金と同様に、税金がかかってくるケースはほぼないといえます。
ただし、契約者(保険料を負担している人)と生存給付金を受け取る人が別人の場合は、生存給付金が贈与税の課税対象となります。
契約時に、誰が生存給付金を受け取るかよく考えておく必要があります。
こちらの記事も読まれています