がん保険の先進医療特約は必要か?
医療保険やがん保険への加入を検討する際に、先進医療特約を付加した方が良いのかどうか、迷われた経験のある方は多いかもしれませんね。
先進医療特約の必要性を考えてみましょう。
先進医療とはなにか?
先進医療とは、厚生労働大臣が定める高度な医療技術を用いた治療のことで、公的医療保険の対象にするかを評価する段階の先進的な医療技術です。
平成28年6月1日現在で100種類あります。先進医療は、医療技術ごとに適応症および実施する医療機関が限定されています。また、厚生労働大臣が認める医療技術・適応症・実施する医療機関は随時見直されます。
先進医療の費用は内容によりさまざまで、数千円程度のものから、1,000万円を超える費用がかかるものもあります。先進医療にかかる費用は、患者が全額自己負担することになります。
先進医療特約は必要か?
1,000万円を超える費用がかかる可能性のある先進医療。どんな病気にその医療技術が適用されるのでしょうか。
1,000万円を超える費用がかかるといわれているのは、「重症低血糖発作を伴うインスリン依存性糖尿病に対する心停止ドナーからの膵島移植」ですが、これは糖尿病患者(1型糖尿病)に適用される治療です。
がん保険の先進医療特約はがんの治療に対するものに限られます。そのため、がん以外の先進医療に備えるには、医療保険で先進医療特約を付加する必要があります。
がんの先進医療
がんに関する、高額の費用がかかる先進医療には重粒子線治療が挙げられます。重粒子線治療は、約300万円の費用がかかる、がん治療に適用される先進医療です。
平成19年にはこの先進医療の実施件数が年間で557件であり、がんの種類によっては先進医療が治療方法として適用されないことなどから、がん保険に先進医療特約を付加する必要性は低いという意見がみられました。
しかし、平成27年には、重粒子線治療の実施件数は1,889件と平成19年の3倍以上となっています。
また、同じくがんの先進医療である陽子線治療は約260万円の費用がかかりますが、平成27年の実施件数は3,012件と重粒子治療の約1.6倍となっています。
資料:厚生労働省「平成19年6月30日時点における各先進医療技術に係る費用」「平成27年6月30日時点における先進医療Aに係る費用」をもとに作成
まとめ
がんの先進医療特約は、最近では2,000万円まで保障する商品が一般的であり、多くの場合、保険料は100円程度と少額です。
いざという時に必要な治療を、お金の心配をすることなく受けることのできる備えは大切です。
既に医療保険に加入していて、それに先進医療特約が付加されていない場合は、検討する価値がある保障の一つであると考えます。
※本記事は、2016年8月31日に掲載された記事です。そのため、記事内容は掲載日のものであり、現在と情報内容が異なっている場合がございますので、本記事の閲覧・利用等に際しては、ご注意ください。
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掲載日:2020年5月26日
先進医療特約について知っておきたいポイント
医療保険やがん保険に付加できる先進医療特約ですが、その知っておきたいポイントを押さえておきましょう。
「実損払い」であることが多い
保険金の支払いには、大きく分けて「定額払い」と「実損払い」の2つの方法があります。
保険金の支払方法の違い
定額払い (定額給付) |
あらかじめ決められた一定金額を支払う方法 |
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実損払い | 実際にかかった分の費用を支払う方法 |
「先進医療特約」の保険金は実損払いである場合が多く、上限はあるものの、先進医療にかかった分の費用を支払ってもらえるようになっています。
具体的には、契約者が医療機関で先進医療の費用を支払った後、保険会社に請求することで、保険会社からその分の費用が支払われるという流れになることが多いでしょう。
重複契約に注意
先進医療特約はさまざまな主契約に付加できるため、重複契約になってしまう可能性があります。
例えば同一保険会社の医療保険とがん保険のそれぞれに先進医療特約を付加しようとした場合など、保険会社は重複契約しないよう注意を促したり、そもそも重複契約ができないようにしたりと配慮していますが、自身でも気を付ける必要があるでしょう。
医療保険とがん保険、どちらに先進医療特約を付加すべきか迷った場合、一般的に主契約が医療保険であるほうが保障される先進医療の範囲は広いので、より安心を求める方はそちらを選ぶほうが良い選択です。
決めるのが難しい場合は、ファイナンシャルプランナーなどに相談するのも良いでしょう。
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