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2020.03.26

ケース別 会社員世帯の年金額(その2)

夫婦共働き世帯の場合、将来受給できる老齢年金額や、もしものときの遺族年金額はいくらぐらいになるのでしょうか。

前回のコラムでは、「夫が会社員、妻が専業主婦または扶養内パートタイマー」という世帯を具体的にイメージして、将来の老齢年金額などをシミュレーションしました。

今回は、「夫・妻ともに会社員」という夫婦共働き世帯をイメージして、将来受給できる老齢年金額や遺族年金額をシミュレーションしてみましょう。

夫・妻ともに会社員の世帯の具体的なイメージ

ここでは、次のような会社員世帯を例として想定します。

計算のモデル世帯例

  • 夫:1983年生まれ、大学卒業後は65歳まで約43年間会社員。
  • 妻:1983年生まれ、大学卒業後は65歳まで約43年間会社員。30歳と33歳で出産し、産前産後休業・育児休業を取得。
  • 子2人の4人家族。

夫・妻ともに大学卒業までの2年間は国民年金に加入し、大学卒業後に就職したときから会社を退職するまで、厚生年金に加入します。

妻は出産による産前産後休業と育児休業を取得していますが、どちらの休業中にも年金保険料免除制度があるため、制度を利用し、年金保険料を支払った期間として扱われたものとします。

なお、このシミュレーションは、2019年度の保険料率・老齢年金額による概算であり、実際に受給する老齢年金額とは異なる可能性があります。

受給する老齢年金額の計算方法

まず、老齢年金額について考えてみましょう。

65歳から受給できる老齢年金は、国民年金から支給される老齢基礎年金に、厚生年金から支給される老齢厚生年金が上乗せされます。

それぞれの老齢年金額を計算してみましょう。

(1)老齢基礎年金

このケースでは、夫・妻ともに20歳から60歳になるまでの40年間の全期間保険料を支払ったことになるため、それぞれ満額の年間約78万円が受給できます。

(2)老齢厚生年金

老齢厚生年金は、厚生年金に加入していた期間の「報酬比例部分」の年金額となります。

65歳になった時点で厚生年金被保険者の方に生計を維持されている配偶者または子がいるときに加算される「加給年金」は、今回は妻・子ともに年齢制限によって対象外となるため、受給できません。

さらに具体的に計算していきましょう。

報酬比例部分の年金額は、厚生年金に加入していた期間と、その期間の報酬(給与)で計算されます。

今回、給与については、国税庁「平成30年分民間給与実態統計調査」を参考に、夫婦それぞれが前述のとおりの期間、平均的な給与額を受け取ったとして計算します。

図 年齢・男女別の平均給与額(年間)

資料:国税庁「平成30年分民間給与実態統計調査」をもとに執筆者作成

日本年金機構の計算式にあてはめて計算すると、今回の場合、報酬比例部分の年金額は、夫は年間約133万円で、妻は年間約74万円となります。

上記より、老齢基礎年金と老齢厚生年金を合算すると、受給する老齢年金額は次の表のようになります。

表 夫婦の65歳以降の老齢年金受給額(年間)

老齢厚生年金 約133万円
老齢基礎年金 約78万円
老齢厚生年金 約74万円
老齢基礎年金 約78万円
合計 約363万円
(月間 約30万円)

資料:日本年金機構「年金の受給(老齢年金)」をもとに執筆者作成

老齢年金額を1カ月あたりにすると、約30万円です。

なお、総務省統計局「家計調査報告(家計収支編)平成30年(2018年)」によると、2人以上の1世帯当たり1カ月間の消費支出は、世帯主の年齢が60歳~69歳で約29万円、70歳以上で約24万円です。

会社員として夫婦共働きを続けると、夫婦が受給する老齢年金額は、妻が専業主婦または扶養内パートタイマーの世帯に比べて手厚いことが分かりましたが、ご家庭によって出産や育児、転勤など、さまざまな事情があるでしょう。

今回は統計調査結果を使用して老齢年金額を計算しましたが、日本年金機構「ねんきんネット」でご自身の将来の老齢年金見込額を確認することができます。

支給される遺族年金額の計算方法

支給される遺族年金額の計算方法のイメージ

上記例の世帯で、夫・妻ともに40歳のときに夫が死亡したとして、遺族年金額を計算してみましょう。

今回の場合、妻には、下の子が18歳になる年度の末日まで「遺族基礎年金+遺族厚生年金」が支給されます。

(1)遺族基礎年金

遺族基礎年金の金額は、妻に対して年間約78万円、子に対する加算として第2子までは1人あたり年間約22万円が支給されます。

ここでは、第1子が18歳になる年度の末日まで、年間約123万円が支給されます。その後、第2子が18歳になる年度の末日まで、年間約100万円が支給されます。

なお、国民年金から支給される遺族基礎年金は、第2子が18歳になった年度の末日を過ぎると支給が停止されます。

(2)遺族厚生年金

夫の平均標準報酬額48万円、夫死亡時の年齢40歳とすると、日本年金機構の計算式にあてはめて、年間約62万円の遺族厚生年金が支給されます。

遺族基礎年金と遺族厚生年金を合わせて、第1子が18歳になる年度の末日までは年間約185万円、その後第2子が18歳になる年度の末日までは年間約162万円、第2子が18歳になる年度の翌年度からは年間約62万円が支給されることになります。

また、妻が65歳以降に夫が死亡した場合、妻自身の老齢厚生年金は全額受給できますが、その受給額に相当する額の遺族厚生年金が支給停止となるなど、公的年金の受給には注意する点があります。

具体的なシミュレーションの結果をどのように感じたでしょうか。

前回および今回のシミュレーション結果や、ご自身の年金に関する情報を活用して、ご家庭に合わせたシミュレーションを行い、老後資金やもしものときの資金をどのように準備していくか、考えてみてはいかがでしょうか。

半沢 まり子の写真
執筆者 半沢 まり子 ハンザワ マリコ
AFP/2級FP技能士/GCS認定コーチ
貯金ゼロで離婚。パート収入のみとなり、お金の知識の重要性を痛感する。ファイナンシャルプランナーの勉強をした結果、生活の質を変えずに離婚前よりも貯蓄できるようになる。現在は、離婚前後の女性の「お金と心の専門家」として、講座や個別相談をはじめ、シングルマザー向けのコーチングでも活動中。
オフィスシンシア代表
  • ※ この記載内容は、当社とは直接関係のない独立したファイナンシャルプランナーの見解です。
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