

2019.03.15
会社員・公務員が知っておきたい年金加入期間の壁(その3)「1年」
老齢年金を65歳より早く受給できる場合があります。
この制度を「特別支給の老齢厚生年金」といいます。
なお、厚生年金加入期間が1年未満の方はこの制度の対象にならないため、65歳より早く受給することはできません。
これが年金加入期間の壁「1年」の1つです。
さらに、もう1つ会社員・公務員が知っておきたい「1年」の壁があります。
万一のことが起こったとき、死亡日または初診日の月の前々月までの1年間に年金保険料の未納があると、遺族年金・障害年金を受給することはできません。
今回は、この2つの年金加入期間の「1年」の壁について紹介していきます。
65歳未満で老齢年金を受給するための「1年」の壁
老齢年金は原則として65歳から受給できます。
しかし、生年月日によっては、厚生年金加入期間が1年以上あれば、特別支給の老齢厚生年金制度により65歳未満でも老齢年金を受給できる場合があります。
なお、男性と女性では、生年月日の条件が異なっています。
65歳未満で特別支給の老齢厚生年金を受給開始できる条件は以下になります。
- ・男性は1961年4月1日以前、女性は1965年4月1日以前の生まれであること
- ・年金保険料を10年以上支払っていること
- ・厚生年金加入期間が1年以上あること
- ・60歳以上であること
上記条件に該当する方であっても、性別と生年月日によって受給できる老齢年金額や受給期間は徐々に少なく、短期間になっていきます。
また、上記条件の生年月日以降の誕生日の方は受給開始年齢が65歳になります。
「65歳未満で年金をもらえるかどうか?」「具体的な年金受給額はいくらか?」など疑問点がありましたら、日本年金機構の「ねんきんダイヤル」に問い合わせてみましょう。
その際には、年金手帳で基礎年金番号を調べてから、電話するとスムーズに対応していただけます。
遺族年金・障害年金を受給するための「1年」の壁
(1)遺族年金・障害年金とは?
遺族年金とは、万一のことがあったときに、被保険者によって生計を維持されていた遺族に支給される年金です。
障害年金とは、心身に障害を負ったときに法令により定められた障害等級の状態である場合、被保険者本人が受給できる年金です。
(2)遺族年金・障害年金受給条件に「1年」の壁がある
遺族年金では2026年4月1日までの間で65歳未満の被保険者の方が亡くなった月から、障害年金では障害の原因となった病気やケガについて初診日のある月から、それぞれの月について、前々月を含めた過去1年間に年金保険料の未納がないことが受給要件の1つです。
将来いつ何があるか分からないので、年金保険料の未納期間がないように気をつけましょう。
(3)転職の際は手続き漏れに要注意
注意したいのは、転職の際に国民年金の加入手続きをしそびれてしまうケースです。
前の会社を退職してから次の会社に入社するまでに、たとえ日曜日や祝日であっても、どの会社の厚生年金にも加入していない期間が1日でもあるときは、国民年金に加入する手続きが必要です。
ところが、うっかり手続きを忘れてしまい、年金保険料の未納期間が発生してしまうと、万一のことがあったときに遺族年金・障害年金という大きな保障が受給できなくなる可能性が出てきます。
今回は、会社員・公務員が知っておきたい年金加入期間の「1年」の壁について紹介しました。
1つ目は、65歳未満でも老齢年金を受給できるかどうかの「1年」の壁で、2つ目は、たとえ不注意でも年金保険料の未納期間があった場合、それが遺族年金や障害年金の大きな保障を受けられなくなる可能性が出てしまう「1年」の壁です。
転職などの際に、未納になっている期間がないかどうか「ねんきんダイヤル」での電話相談や、「ねんきんネット」で確認してみることをおすすめします。
- ※ この記載内容は、当社とは直接関係のない独立したファイナンシャルプランナーの見解です。
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