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2018.12.21

会社員・公務員の年金制度 厚生年金の基礎を学ぼう

厚生年金は、会社員・公務員が加入する年金制度です。会社員・公務員になると、20歳未満であっても働き始めたときから退職するときまで、あるいは在職70歳まで厚生年金に加入します。
厚生年金保険料は給与から天引きされるので、支払っていることをあまり意識していない人や、給与明細に記載された厚生年金の保険料の額に驚いた人もいるかもしれません。
また、年金の受給要件を満たせば、老齢・障害・遺族の3つの年金を国民年金だけでなく、厚生年金の分も上乗せして受給することができます。
ここでは厚生年金の基礎について説明します。

厚生年金に加入できる就労条件

厚生年金に加入できる就労条件は、厚生年金の適用事業所になっている勤め先で常時使用されることです。「常時使用される」とは、雇用契約書の有無などとは関係なく、適用事業所で働き、報酬を受けるという使用関係が常用的であることをいいます。
そのため、正社員・正規職員だけでなく、パートタイマーやアルバイト、臨時職員(公務員の場合)も条件を満たすと厚生年金に加入することになります。
企業に勤務するパートタイマーやアルバイトの場合は、表1のことが条件になります。

表1 企業に勤務するパートタイマー・アルバイトの厚生年金の加入条件
※スクロールで表がスライドします。

(1)1週間の所定労働時間および1カ月の所定労働日数が同じ事業所で同様の業務に従事している一般社員の4分の3以上であること。
(2)一般社員の所定労働時間および所定労働日数の4分の3未満であっても、以下の5つの要件をすべて満たすこと。
  • ・1週間の所定労働時間が20時間以上であること
  • ・雇用期間が1年以上見込まれること
  • ・1カ月の給与が88,000円以上であること
  • ・学生ではないこと

資料:日本年金機構ホームページ「適用事業所と被保険者」をもとに執筆者作成

厚生年金保険料の特徴

(1)厚生年金保険料は定額ではなく、報酬によって違う

厚生年金保険料は、勤め先から受け取った報酬に対して保険料率18.3%(2017年9月以降)を掛けた額です。このことから、報酬によって厚生年金保険料は違うといえます。したがって、報酬が高くなれば厚生年金保険料も上がりますが、将来受け取る年金の受給額が増えるという仕組みです。

(2)給与の厚生年金保険料の決まり方

具体的にどのように厚生年金保険料が決まっているのかを、例として4月に会社員になったAさんの給与と厚生年金保険料で説明していきます。会社員Aさんの給与明細には、5月の給与は178,000円で、厚生年金の項目には16,470円と記載されています。
前回のコラムでも少し触れましたが、厚生年金保険料の計算では給与の額がそのまま使用されるのではなく、給与を一定の幅で区分した「標準報酬月額」が用いられます。標準報酬月額は1等級(88,000円)から31等級(62万円)までの31等級に分かれています。
原則として、4月~6月の基本給のほか、交通費などの手当てや、事業所が提供する宿舎費や食事代などの現物給与を含めた税引き前の額をもとに決定されますが、Aさんは就職したばかりなので、平均的な給与の額は就業規則や労働契約の内容に基づいて決定されます。
Aさんの平均的な給与の額178,000円は、厚生年金保険料額表では報酬月額175,000円~185,000円の範囲内になるので、標準報酬月額は12等級の18万円に決定されます。

(3)事業主が厚生年金保険料の半分を負担

Aさんの給与明細の厚生年金の欄に記載された保険料の金額は16,470円です。厚生年金保険料額表12等級の厚生年金保険料は32,940円となっています。なぜかというと、従業員である加入者のために勤め先の事業主も半額を負担しているからです(労使折半)。
そのため、Aさんの勤め先の事業主は、Aさんの給与より天引きした16,470円と事業主負担額16,470円を合計した額32,940円を日本年金機構に支払っているということになります。

(4)国民年金の分も含まれている厚生年金保険料

厚生年金に加入している人は、厚生年金の加入者であると同時に「第2号被保険者」として国民年金の加入者でもあります。国民年金保険料は厚生年金保険料に含まれます。平成30年度(2018年4月~2019年3月まで)の国民年金保険料は月額16,340円ですので、Aさんにとっては厚生年金に加入しても自己負担額が16,470円でほぼ同じ額ですが、Aさんには厚生年金と国民年金の両方の保障があります。

表2 厚生年金保険料額表の一部
※スクロールで表がスライドします。

(単位:円)

等級 標準報酬月額 報酬月額の範囲 厚生年金保険料 自己負担額
円以上 ~ 円未満
1 88,000 93,000 16,104 8,052
11 170,000 165,000 ~ 175,000 31,110 15,555
12 180,000 175,000 ~ 185,000 32,940 16,470
13 190,000 185,000 ~ 195,000 34,770 17,385
14 200,000 195,000 ~ 210,000 36,600 18,300
31 620,000 605,000 ~ 113,460 56,730

資料:日本年金機構「厚生年金保険料額表(平成29年9月分~)(厚生年金保険と協会けんぽ管掌の健康保険)」をもとに執筆者作成

(5)賞与からも厚生年金保険料の天引きあり

毎月の給与だけでなく、年3回以下で支給されるボーナスや期末手当などの賞与からも厚生年金保険料を支払います。賞与からも厚生年金保険料の天引きがあることを覚えておきましょう。

ねんきんネットで支払保険料の確認もおすすめ

前回のコラムでも少し触れましたが、ねんきんネットでは、年金保険料の支払記録や将来受給できる年金見込額などを確認することができます。支払記録がきちんと合っているか、昇給や転職、出産などの機会に応じて確認しておくことをおすすめします。
また、就職前の国民年金保険料の支払記録も確認しておきましょう。過去1年間に国民年金保険料の未納があると、いざというとき、例えば就職してすぐの事故で障害を負って働けなくなってしまっても障害年金を受け取れないことや、または万一のときにご家族が遺族年金を受給できないといったようなことも起こりえます。年金保険料の未納期間がないようにしておきましょう。
なお、国民年金保険料を納めることが可能な期間は、保険料の納付期限(納付対象月の翌月末)から2年間となっており、この2年間を過ぎてしまうと保険料を納めることはできなくなります。
また、支払記録に漏れや誤りがある場合は、年金事務所や年金相談センターに問い合わせることも忘れないでくださいね。
将来受給できる年金見込額も確認して、将来のためのマネープランに役立てましょう。

朝日 莉恵の写真
執筆者 朝日 莉恵 アサヒ リエ
AFP/2級FP技能士/ライフオーガナイザー2級
数回の引っ越しと育児で日々の時間とお金の大切さを知り、ファイナンシャルプランナーの資格を取得。ブログにて家計のコツと家事のヒントを伝えながら、個別相談・マネー講座・執筆などで活動中。家事と家計の両方で主婦の笑顔を作る快適生活を実践中。
  • ※ この記載内容は、当社とは直接関係のない独立したファイナンシャルプランナーの見解です。
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