医療保険に入りたくても入れない! 男性編
「ご安心ください!40歳男性ならば、月々○千円の保険料で一生涯の医療保障!」よく耳にするCM。“保険なんていつでも入れるのだからそのうちに”と思っていらっしゃる方も多いかと思います。
医療保険に関する相談で多いのが、“保険に入ろうと思ったら、加入が難しいと言われた”というケースです。
医療保険には審査があります
医療保険に加入する際、過去の病歴等を正しく告知する必要があります。保険会社によって多少差異はありますが、概ね下記のような内容です。
①最近の健康状態(3ヵ月以内の通院、治療歴等)
②過去5年間の病気やケガによる入院、手術、投薬等の治療歴
③過去2年間の健康診断や人間ドックにおける異常の指摘
その他、“身体の障害の有無”や“がんの治療歴”等も告知します。
①②に関しては、本人も自覚がありますし、仮に、過去に治療経験があっても完治していれば、審査に影響せず加入できる可能性がありますが、問題になるのは③“健康診断で異常を指摘された”というケース。特に、子育て世代である40歳前後から増える傾向があります。
男性に多い“保険に入れない”ケース
普段何の問題もなく生活しており、病院にもかかっていない、ただ、会社の健康診断で“C”とか“D”の判定がついてしまっただけで、“異常を指摘された”とみなされ保険に入れない可能性があります。
中年男性に多いのが以下のようなケースです。
- 脂質異常(肥満気味でコレステロール値が高い)
- 血糖値が基準値以上(糖尿病や高血糖症に進行する可能性が高い)
- 尿酸値が高い(痛風や高尿酸血症等の疑い)
健康診断書には
「“要経過観察”と書かれている程度なので気にしていなかった」
「“再検査”とあるが、来年また検査があるからいいか!と放置していた」
といった場合も、加入に影響することがあります。
逆に、“要治療”と指摘されていても、きちんと治療して完治すれば、問題なく加入できる可能性もあります。異常を指摘された部分に関わる疾病に関してだけ保障をしない、という“特定部位不担保”という扱いで加入できるケース(胃潰瘍になった人は、一定期間、胃や十二指腸に関わる病気は保障しない等)もあります。
医療保険に容易に加入できない場合は
- 複数の保険会社での加入を検討する。
- 医療保険に加入できるか否かは、保険会社が告知書や健康診断書等をもとに独自に審査を行います。A社で加入を拒否されても、B社では無条件で加入できたという例もあります。
- 健康診断の結果が悪かった場合は、日をおいてから再検査する。
- コレステロール値が高い場合等は、体重を少し落とすだけで改善されることがあります。数ヵ月軽い運動を続けた結果、肥満が改善され数値が下がり加入できたという例もあります。また、治療することにより改善が見込める場合は、完治してから再検査、再申請するという方法もあります。
- 引受基準緩和型の保険を検討する。
- “通常の保険と比べて審査が緩く、持病があっても加入できる保険”です。ただ、保険料が割高、保障が少ないといったデメリットもあるため、最終手段として考えましょう。
“保険に入れない”と言われると、逆に、“なんとしてでも加入したい”と、一生懸命になる方がいらっしゃいます。
加入制限がついたり、加入できなかったりした場合は、“医療保険に頼らず、将来の医療費負担に備えしっかり貯蓄する”というのも1つの手段です。
また、もっと大切なのは、医療保険を手厚くするよりも、“病気にならず健康でいること”だと思いませんか?
医療保険はいざというときには助かりますが、そうなってしまったときのためのお守りにすぎません。まずは、“健康を心がけ病気になりにくい身体をつくる努力をすること”から始めましょう。
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コラム執筆者プロフィール
合田 菜実子 (ゴウダ ナミコ) マイアドバイザー.jp®登録 - ファイナンシャルプランナー、キャリアカウンセラー。
消費者向けの家計セミナーやFP資格取得講座等の講師業の他、フリーペーパーやWEBコラム等の執筆や個人相談業務等も行っています。
“お金の知識を分かりやすく楽しく伝える”をモットーに、出会った人々に安心感を与えられるようなファイナンシャルプランナーを目指しています。
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コラム監修者プロフィール
山本 俊成 (ヤマモト トシナリ) マイアドバイザー.jp®登録 - ファイナンシャルプランナー。
大学卒業後、株式会社三和銀行(現三菱UFJ銀行)入社。
2003年、外資系生命保険会社入社。
2005年、総合保険代理店株式会社ウィッシュ入社。
2010年、株式会社ファイナンシャル・マネジメント設立。
銀行と保険会社に勤めていた経験を活かし実務的なコンサルティングを行う。
ファイナンシャルプランナー 合田 菜実子
※この記載内容は、当社とは直接関係のない独立したファイナンシャルプランナーの見解です。
※掲載されている情報は、最新の商品・法律・税制等とは異なる場合がありますのでご注意ください。
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掲載日:2019年12月18日
医療保険加入時の審査(告知義務)に違反したときのリスク
「医療保険に入れないけれど、どうしても加入したい!」そんな方の強い味方である引受基準緩和型、限定告知型の保険がありますが、どちらも審査(告知義務)は発生します。
これは、例えば以下の点について事実を正直に答えなくてはならないというもので、保険法第37、66条の規定に基づいて約款で定められています。
健康状態に関する告知項目の例
- 最近3カ月以内に医師の診察または検査により入院・手術をすすめられたことがある
- 過去5年以内にがん・肝疾患・統合失調症等の病気により入院・手術をしたことがある
- 過去2年以内に病気やケガによる入院・手術をしたことがある
※近年の主な告知内容です。
※保険会社により異なります。
この審査(告知義務)に違反すると、保険の契約が解除される場合があります。
保険法第55条では、「保険者は、保険契約者または被保険者が、告知事項について、故意または重大な過失により事実の告知をせず、または不実の告知をしたときは、生命保険契約を解除することができる」と定められています。
契約が解除されると、保険金や給付金が支払われる事由が起きたとしても、受け取ることができません。違反だと分かっていながら事実を黙っておくのはもちろんいけませんが、忘れてしまっていたなど故意なく違反をしてしまった場合であっても、保険金や給付金を受け取れないことがあるため注意が必要です。
また、今の状態だけでなく、過去の病気についても答える必要がありますので、必ず正しい情報のみを伝えましょう。
また、無意識に違反してしまうことを避けるためにも、病院の診察券や診断書などをきちんと保管しておくことが大切です。
公的医療保険制度の利用も
医療保険に入れないと慌てる前に、病気やケガをして急に医療費が必要になっても困らないように、日頃からしっかり貯蓄して備えておくことも大切ですが、そのような事態に陥った場合、1カ月間の医療費が高額になった場合に利用できる高額療養費制度や、病気やケガで仕事を休み、給与の支払いが受けられない場合に支給される傷病手当金などの公的医療保険制度があります。
必ずしも医療保険に加入していなければいけないというわけでなく、手当などで賄えない自己負担分を十分賄える貯蓄さえあれば、医療保険は必要ないとも考えられます。
また、実際に病気やケガをしたときにどの程度の費用が必要となるのかも把握しておくことが大切です。