民間医療保険の特長と注意点
掲載日:2020年1月20日
民間の医療保険に加入すると、公的医療保険ではカバーできない支出を補うことができます。
多くの民間医療保険は、入院給付金と手術給付金が基本保障となっています。
民間医療保険の特長、注意点についてみていきます。
民間医療保険の特長
1.経済的・精神的な安心が得られる
民間の医療保険に加入していると、病気やケガで入院や手術をした際には、給付金が受け取れます。
入院や手術を伴う治療には、まとまったお金が必要なこともあり、思いがけない病気やケガが急な出費を招き、戸惑うものです。
いざというときのために民間の医療保険で備えておけば、経済面だけでなく、精神的にも安心を得ることができます。
終身タイプの民間医療保険に加入し、保険料の払い込みを60歳や65歳で終わらせれば、病気やケガをしやすい上に、収入の減る60歳や65歳以降の高齢期を安心して過ごすことができるでしょう。
また、結婚したばかりで貯蓄が少ない場合でも、生活が安定するまでの一定期間を、保険料が手頃な「定期型医療保険」に加入するという方法で備えることができます。
ただし一般的に定期型医療保険は、更新のたびに更新時の年齢に応じて保険料が上がりますので注意が必要です。
なお、日本の公的医療保険は、充実しているといわれていますが、高齢化に伴い医療費が増え続けていることから、現在の公的医療保険の水準を維持していけるかどうかわからない状態です。
将来、自己負担が増えることも考えられますので、民間の医療保険に加入していると、いざというときに、少しでも安心して治療を受けることができるといえるでしょう。
2.生命保険料控除による税金の優遇
生命保険の保険料は、支払った金額に応じて一定額を課税所得から差し引くことができます。これを「生命保険料控除」といいます。
表1 生命保険料控除
新契約 2012年1月1日以後の契約 |
旧契約 2011年12月31日以前の契約 |
---|---|
一般生命保険料控除 介護医療保険料控除 個人年金保険料控除 |
一般生命保険料控除 個人年金保険料控除 |
生命保険料控除は、2012年1月1日以後の新契約で、保障内容によって主契約や特約ごとに3つの控除に分類されるようになりました。
どの控除に該当するかは、毎年10月ごろ、加入している保険会社から送付される「控除証明書」で確認ができますが、手元にない場合は保険会社に確認しましょう。
所得控除が多ければ、課税対象となる収入が少なくなるので、所得税や住民税の負担が軽減されます。
また、民間の医療保険に加入していると、介護医療保険料控除を受けることができ、他の死亡保障等の生命保険料控除とは別に控除を受けることができます(2012年1月1日以後に加入した場合)。
図1 民間医療保険の特長まとめ
- 病気やケガによって入院・手術を行う際に給付金として保障を受けられる(経済的安心)
- 加入していることで病気やケガに対しての不安が減る(精神的安心)
- いろいろなタイプの医療保険があるため、ライフステージにあった保険選びができる
- 生命保険料控除による税金の優遇
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民間医療保険を検討するときの注意点
1.告知義務が必要
民間医療保険の注意点として、健康状態によっては加入できない場合がある点があげられます。
民間の医療保険に加入する際には、現在の健康状態やこれまでの病歴、職業などを告知しなければいけません。
加入できる条件は保険会社によって異なりますが、持病のある方や手術を最近受けた方、健康診断で異常が見つかり再検査が必要な方などは、民間の医療保険に加入できない場合があります。
2.家計に影響がある
毎月の保険料が家計に影響を与える点にも注意をしましょう。
(公財)生命保険文化センター「平成30年度 生命保険に関する全国実態調査」によると、生命保険(個人年金保険を含む)の非加入世帯の35.8%が「経済的余裕がない」から生命保険に加入していないと回答しています。
また、生命保険に加入して毎月の保険料を支払うよりも「ほかの貯蓄方法のほうが有利」と回答している人もなかにはいます。
3.貯蓄で賄える可能性がある
貯蓄で賄える可能性があることも注意すべき点です。
公的医療保険制度には、病気やケガをしたとき、医療費をたくさん支払った場合の高額療養費制度による払い戻しや、労務不能となった場合の傷病手当金などがあります。
表2 公的医療保険制度
高額療養費制度 |
医療機関や薬局の窓口で支払った金額が、1カ月(月の初めから終わりまで)で一定の金額を超えた場合に、超えた金額が支給される制度です。 ※入院時の食費負担や差額ベッド代等は含みません。 |
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傷病手当金 |
健康保険、共済組合などに加入する被保険者本人が病気やケガで会社を休まなければならない場合に支給される制度です。 ※国民健康保険は任意給付 |
資料:厚生労働省ホームページをもとに作成
こういった制度を利用すれば、保険適用内の医療費ならそこまで高額になることは少なく、制度を受けた上で、不足する自己負担分を賄える貯蓄があれば、民間の医療保険で備える必要はないとも考えられます。
図2 民間医療保険を検討するときの注意点まとめ
- 健康状態によっては加入できない場合がある
- 保険料の支払いが家計に影響を与える
- 保険に加入しなくても貯蓄で賄える可能性がある
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持病を持っている人でも加入できる民間医療保険がある
民間医療保険の注意点として、健康状態によっては加入できない場合があると説明しました。
しかし、持病のある方や通院している方でも加入しやすい「引受基準緩和型医療保険」や「限定告知型医療保険」、「無選択型医療保険」などの民間医療保険もあります。
聞きなれない言葉で難しく感じるかもしれませんが、引受基準緩和型医療保険や限定告知型医療保険とは、告知しなければならない項目が通常の医療保険と比べて限定されている民間の医療保険のことです。
そのため、持病のある方や入院・手術の経験がある方でも加入しやすくなっています。
一方、無選択型の医療保険は、診査や告知なしで加入できる民間の医療保険のことです。
ただし、このような医療保険は、その分支払う保険料が高くなるので注意が必要です。
そのため、まずは「通常の民間医療保険に加入できないか」を検討し、次に「無理のない保険料か、保険料が高くても加入すべきか」などをよく考えた上で、引受基準緩和型医療保険や限定告知型医療保険、無選択型医療保険に加入するか検討するようにしましょう。
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