損をしない!がん治療中に利用できる制度を知ろう

もし、あなたが「がん」だと診断されてしまったら…
がんは、昔に比べ良くも悪くも身近になりましたが、がんと診断されたときに動揺しない人はいないでしょう。
家族のことをはじめ、仕事のこと、治療費のこと等、お金の問題を不安に思うことも多いのではないでしょうか。
早期発見、早期治療ができたならば、一週間ほど入院し切除するだけで済み、その後はこれまでと変わらぬ生活を送ることができるケースも多いのですが、少し発見が遅れると治療期間は長引き、治療費も大きくなってしまいます。
抗がん剤が想定外に高価だったり、仕事が続けられなくなって収入が減ってしまったり、経済的な悩みが出てきてしまう現実もあります。
その場合、頼れるものは何でしょう?
まずは、わが国の公的制度です。
がんの治療を受けていくなかで、利用できる制度をご存知でしょうか?
同じ月に同じ医療機関で支払った医療費の自己負担分が一定額を超えた場合に払い戻される「高額療養費制度」は、事前申請しておけば窓口での支払いが自己負担限度額までになり、一度に多額の費用を支払わなくて済みます。
もし、体力低下等によって会社を休職しなければならなくなったときには「傷病手当金」、退職せざるを得なくなったときには「障害厚生年金(3級)」等、公的制度が備わっているのです(各制度にはそれぞれ支給要件があります)。
次に頼るものが、預貯金であり、民間の保険です。
がんに備え「がん保険」や「医療保険」「生命保険」に加入されている方も多いでしょう。
しかし、実際がんを患ったとき、自分が加入している保険がどのように利用できるのかをきちんと把握されていらっしゃいますか?
例えば、「リビングニーズ特約」や「契約者貸付制度」は、条件によって利用でき、経済的な苦しみを払拭できますが、制度を知らない方も多く、あまり活用されていません。
公的制度も民間の保険も、自分から申請しなければ制度を利用できないため、まずは制度を知ることが大切です。
ファイナンシャルプランナーをはじめ各分野の専門家により企画運営されている、がん患者とその家族のための検索ウェブサービス『がん制度ドック』も活用するとよいでしょう。
自身の現状に合わせ、公的なもの民間のものどちらも含めて、お金に関するどのような制度を受けることができるのかを一発で検索でき、その制度の詳細、申請先や申請方法まで教えてくれます。
利用できる制度や保険にはどんなものがあるのか、まず自分自身で知っておくことも、がんに対する備えの一つでしょう。
がんが暮らしのなかに入ってきている今、公的制度や民間の保険を活用することで、がん患者さんが自分らしく暮らすことができることを望みます。

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コラム執筆者プロフィール
川崎 由華 (カワサキ ユカ) マイアドバイザー.jp®登録 - CFP®、1級ファイナンシャル・プランニング技能士、平成24年度日本FP協会「くらしとお金の相談室」相談員。
前職ではがん領域の薬を扱う製薬会社に勤務。
現在は2児の母をしながら、主婦向けのマネー講座や個人相談、執筆等ファイナンシャルプランナーとして活動中。
お金の数字だけの問題でなく、気持ちも汲み取れる身近で気さくな存在のファイナンシャルプランナーをモットーにしている。

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コラム監修者プロフィール
山本 俊成 (ヤマモト トシナリ) マイアドバイザー.jp®登録 - ファイナンシャルプランナー。
大学卒業後、株式会社三和銀行(現三菱UFJ銀行)入社。
2003年、外資系生命保険会社入社。
2005年、総合保険代理店株式会社ウィッシュ入社。
2010年、株式会社ファイナンシャル・マネジメント設立。
銀行と保険会社に勤めていた経験を活かし実務的なコンサルティングを行う。
ファイナンシャルプランナー 川崎 由華
※この記載内容は、当社とは直接関係のない独立したファイナンシャルプランナーの見解です。
※掲載されている情報は、最新の商品・法律・税制等とは異なる場合がありますのでご注意ください。
掲載日:2020年2月21日
がんの治療中でも生命保険に加入できる
一般的に「がん保険」は、がんで入院・手術をしたときに給付金を受け取れるのに対し、「医療保険」は、がんを含む病気やケガなどで入院・手術をしたときに給付金を受け取れます。
がん治療中に生命保険の加入は必要?
日本の公的制度には「公的医療保険(高額療養費制度など)」や「医療費控除」などがあり、医療費の負担を軽減することができます。
まずは公的制度の利用や貯蓄で賄うことを検討してから、民間の保険を検討することも、一つの選択肢でしょう。
民間の保険会社には、がんと診断された後も加入できる保険商品や、女性特有のがんに特化した保険商品もありますので、「がんを治療中で保険の加入を諦めていた方」も、加入できる保険を探してみましょう。
がん治療中の生命保険加入時に気をつけておきたいポイント
傷病歴のある方が保険に加入する場合、保険料は高めに設定されている場合がほとんどで、保険商品のなかには、保険会社が定めるがんの種類や手術、罹患時期によって、給付金が出ないケースがあります。
また、一般的に「待ち期間」と呼ばれる、保険会社が定める免責期間中にがんと診断されても保障の対象になりませんので、保険加入時には保険料や保障内容、約款をよく確認しましょう。
なお、保険加入時に、保険加入者間の公平性を保つため、告知義務が必要な場合があります。告知義務違反が発覚すると、保険会社による契約解除や保険金の支払いが行われない事態になる可能性もありますので、告知が必要な場合は正直に行いましょう。